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3jyou
〔ショートショート〕ジンジャーブレッドマン・イブ
今日はイブ。俺は仕事帰りに、恋人の晴子が勤める洋菓子店に立ち寄った。そこで彼女にダイヤのピアスを贈り、彼女からはラッピングされたジンジャーブレッドマンを3つ貰った。
「日付が変わってから食べてね」
「うん。サンキュ」
俺はそっとクッキーをポケットに仕舞う。晴子はにっこり微笑み、忙しく仕事に戻っていった。
その夜11時頃、俺の家に強盗団が押し入ってきた。警報が鳴らなかったのは、屋敷内に裏切り者がいたためか。奴らの足音は真っ直ぐに俺の部屋へ向かい、やがてバン!と部屋のドアが乱暴に開く。
「お前が持ってる機密書類を寄こせ!」
俺は並べておいたジンジャーブレッドマンに叫んだ。
「頼む!」
ただのクッキーだったはずの彼らは、突然、目出し帽を被った強盗団に襲いかかった。生姜の粉を強盗団の目に振り撒き、奴らがパニックになったところへ警備員が来て、一件落着。
実は晴子は安倍晴明の末裔。それにしても式神クッキーとは、イブにピッタリのプレゼントだったな。
(完・414字)
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