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〔雑記帳〕男子バレーについて思うこと

いよいよ、いよいよだ。パリ五輪が始まる。一部の競技は既に始まっているが、開会式は今日の夜中。そして男子バレーの初戦、対ドイツは明日。日本時間では午後4時、現地時間では何と午前9時の開始だ。朝の開始は珍しいが、条件はドイツも同じなので、何とかまず1勝して勢いに乗りたい。


男子バレーは、しばらく冬の時代が続いていた。様々なルール改正があり世界のトレンドが変わる中、残念ながら協会のトップは「日本式」に拘りすぎていたように思う。初めて招いた外国人の指導者に拒否反応を示し、これまでとは違うやり方から学ぶことはせず、すぐに「結果が出ないから」と解任してしまった。「海外から学ぶのは情けないこと」という誤った考えが、トップの方には蔓延っていたのかも知れない。かつて様々な技を生み出したように、あくまでも日本発のやり方を突き詰めようとして、どんどん世界から取り残されてしまったのではないだろうか。


選手達はみんな必死に戦っているのに、結果がなかなか出ないばかりに、「勝ちたいという執念がない」だの「チャラチャラしているからダメなんだ」だの「男子バレーはもういい」だの、酷い言葉を浴びせられることも多かった。協会からは勝つことよりも「客を増やす」ことを求められるような面もあり、「勝ちたい、強くなりたい」という彼らの思いは、充分に叶えらえる環境ではなかったように思う。


そんな中、まず変革をもたらしてくれたのは、南部監督だったのではないだろうか。「海外の戦術を学ぶには、海外のコーチを招くのが手っ取り早い」と動き、積極的に新しい練習や考え方を取り入れてくれた。ただ、もっとやりたいことはあったはずだが、当時の協会は「儲かるかどうか」が大切だったようで、いくら要望を出しても通らないこともあったと言う。充分なバックアップもせず、ただ強くなれと言われても、それは無理というものだ。


だが、ここから男子バレー界は大きく変わっていく。柳田選手、石川選手という若い才能が加わってもリオ五輪の出場が叶わなかったためか、協会は南部監督の続投を認めず、中垣内氏が新たに監督に就任した。これでまた日本式に逆戻りかと思われたが、中垣内監督は何とかフィリップ・ブラン氏にコーチに来てもらおうと、自ら要請に出向いたそうだ。そして「この人に監督を任せたい。自分はそのための繋ぎになろう」と最初から考えていたと言う。当時の協会は、まだ「日本人監督」に拘っていたので、それを踏まえての作戦だったようだ。

そしてその硬直していた協会も、不祥事が発覚し、会長以下メンバーがガラリと変わった。南部元監督も、男子バレーの強化部長に就任。すると、これまで許可されなかったことが通るなど、現場の要望が届きやすくなったようだ。才能ある選手達は海外でスキルアップし、それに呼応するように国内のリーグでも選手間で切磋琢磨することで、個々のレベルが目に見えて上がっていった。川合俊一会長が現役の頃は、海外からオファーがあっても「国内の収益が落ちたら困るから」と本人に伝えることなく握りつぶされていたらしいので、良い時代になったと思う。


この体制が出来たことで、石川選手、高橋藍選手など、春高のスーパースターが世界最高峰とも言われるイタリアで戦い、類い稀な才能に高いレベルで戦い続ける経験をプラスした選手達が生まれた。また、宮浦選手や西田選手も、海外の「高い壁」と戦い、経験を積んできている。関田選手も海外経験があるし、パリの後は大塚選手のミラノ行きが決まっていて、まだまだ後に続く選手達が出てくるかも知れない。そういう選手たちの存在は、他の選手達にも大きな刺激となり、今の男子バレーの強さの源になっているのではないか。


また、直接点を取ることはなくても、世界一だと思う選手達もいる。リベロの山本選手と、先ほど名前が出たセッターの関田選手だ。
山本選手は小川選手と、リベロの座を争いながらも協力しあって、どんどんレベルを上げてきた。五輪のみの「リベロを無視した登録選手数」のため、小川選手は残念ながら選ばれなかったが、パリへも帯同して練習に加わってくれている。
また、セッターの関田選手は、東京五輪では藤井選手と切磋琢磨してレベルアップしていた。藤井選手はミドルを使うのがとても上手く、李博選手との高速コンビは唯一無二の武器だったと思う。このタイプの違う二人のセッターは、お互いに尊敬し合い、励まし合い、高め合いながら東京で戦っていた。だが、藤井選手は東京五輪後、病気で他界してしまい、私のようなただのファンも大変なショックだった。ましてや選手達は、どれほどの衝撃だっただろう。必ずもう一度、コートに帰ってきてくれると信じていたはずだから。それからしばらくは、「第2セッター」枠にいろいろな選手が挑戦していたが、最後に選ばれたベテランの深津選手が、ブラン監督の狙い通り、気迫溢れるプレーで関田選手の負担を減らしてくれているように見える。


ミドルも大きくレベルを上げているし、本当に今の日本は強い。今回代表から外れてしまったけれど、ラリー選手も若くてもレベルが高く、とても楽しみな選手。日本の選手も層が厚くなったと感激している。
だが、強いチームは複数あり、その時の選手のコンディションや作戦、試合の流れで、どちらが勝ってもおかしくない戦いが続くだろう。正直、気を抜くとやられると、誰もが思っているはずだ。
既にパリには、元日本代表の福澤さんが行っているらしい。清水選手と共に、日本が勝ち切れない時代に苦しみ、もがき、必死で努力を重ねても、頑張って当たり前で負ければ責められ続けてきた選手たちの一人だ。彼らが今の男子バレーを心から喜び、応援している姿が嬉しい。
厳しい試合が続くだろうが、選手たちはもちろん、監督やコーチ陣、スタッフ、いろいろな形で支えてきた人たちみんなが、曇りのない笑顔で終われる大会であるよう、遠く日本から祈らずにはいられない。

(ただのファンのひとりごとです。勘違いなどあるかも知れませんが、ご容赦を…💦)


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