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「きりのなかのはりねずみ」(ユーリー ノルシュテイン と コズロフ (著) ・ ヤルブーソワ(絵)・ こじま ひろこ(訳))

  • 書籍名:「きりのなかのはりねずみ」

  • 著者:ノルシュテイン (著)・コズロフ (著)・ ヤルブーソヴァ (絵)・ こじま ひろこ(訳)

  • 定価:1300円(税別)

  • 棚主ID:2350

★スリップの内容
 
 ハリネズミは、友だちのこぐまを訪ねる日を楽しみにしていました。一緒にお茶を飲みながら星を数えるのです。約束を叶えるためにひとりで森を抜けていくハリネズミ。手にはこぐまの大好きな野苺のはちみつ煮を持って。

「きりのなかのはりねずみ」は、ロシアの短編アニメーション「霧につつまれたハリネズミ」を絵本にしたもの。
 絵本になっても、映像の詩人ノルシュテインの物語の世界はそのまま。
森に響く木々のざわめきや水の流れる音、ハリネズミの息遣いが聞こえてきそうです。

 ★この小さな作品で表現されているのは。

 たとえば。幼子が柔らかな殻から出て外の世界を知る。未知のものと遭遇する経験を経て、安全基地にたどり着く……。そんな冒険と成長の物語と捉えることもできるでしょう。変わらない場所と、これまでとは少し違っている自分。ハリネズミの心に刻まれた白馬の存在が象徴的です。
 人生に例える人もいるかも知れません。「霧の中を行く」こと。不安、恐怖心、畏れを感じつつ、何かに突き動かされるように森を進む。差し伸べられる手や温かい眼差しの存在。交わる者あれば、行き違う者もある、そんな現実に照らしてみたり。
 
 それとも。国に翻弄されながらも、芸術を追求しようとする表現者の苦難に思いを馳せることもできるかもしれません。

★元になったアニメーションについて

 児童文学作家コズロフによる物語を元に、映像の詩人と称されるノルシュテインが製作したものです。
 1975年(ソビエト連邦時代)に、切り絵を置いたガラスを何層にも配置して撮影するというアナログな手法で実現された神秘的で幻燈のような映像表現には、息を呑み、釘付けになることでしょう。

※絵本の元になったアニメーション作品の動画はこちら。
「霧につつまれたハリネズミ」
https://www.youtube.com/watch?v=nKDeMBzXnpg 
 優れた作品として2003年に表彰され、ウクライナのキーウには小さなハリネズミの像が建てられているそうです。

※この記事を書くにあたり、映像作品については下記のページを参考にしました。こちらも合わせてどうぞ。
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