「2001年宇宙の旅」(アーサー・C・クラーク)
書籍名:「2001年宇宙の旅」(「2001:A SPACE ODYSSEY」)
著者:アーサー・C・クラーク (Arthur C. Clarke)
ネコデコ価格:200円
棚主ID:2350
書籍に挟んだ解説文
月で検出された磁気異常を切っ掛けに、月の地中から謎の石板(モノリス)が掘り出される。各辺の長さが1:4:9という比率の石板だが、その工作精度は人類の技術では達成不可能なほど高い。
モノリスは、かつて人間を進化させた引き金であり、次の段階へと成長させるための高度なデバイスなのだ。モノリスの発した電波は土星を指していた。
謎を解明するため、ボーマン船長ら一行は人工知能HAL9000とともにディスカバリー号で土星へ向かった。
言わずと知れた映画「2001年宇宙の旅」の小説版
監督スタンリー・キューブリックの名画「2001年宇宙の旅」と並行して執筆された小説。原作というより、クラークのアイデアをキューブリックがこれでもかと修正に修正を重ねて完成した共同作品。キューブリックがアレコレ手を入れたことで、クラークの深い思想が見事なエンタメになったんじゃないかな。
小説版の行き先は土星だけど、CGなど使えない1960年代の撮影では輪の表現が難しく、映画版では木星へ向かう。両者に若干の相違があるけれど大筋は変わらず、難解だと言われがちな映画版のストーリーが小説版を読むとスッキリ理解できるはず。
この映画の制作過程や下敷きになった小品は、同じくアーサー・C・クラークの「失われた宇宙の旅2001」(「THE LOST WORLDS OF 2001」)に詳しい。
映画版はとにかく名画中の名画
CG皆無なのに、とにかく映像が美しくリアル。猿人とモノリスの出会い、骨から宇宙船への変化、月へ向かう宇宙船の旅、モノリスを発見した月面、遠心力を利用したディスカバリー号の人工重力、HAL9000との対話、乗組員の謀略を察知するHAL9000などなど、映画史に残るものばかり。台詞を必要最小限に絞り、余計な解説を排除したことで、高まる緊張感やリアルさ(これが難解と言われる理由だけどね)。
「見ても意味が分からなかった」「やたら長くて退屈」とか感じた人も、小説版を読んでから改めて映画版を見てほしいな。
余談
キューブリックは、とにかくリアルな映像にこだわる人で、制作は大変だったらしい。そんな彼のこだわりについては、以下のギャグが好き。