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人を殺すノートの値段ー「DEATH NOTE 短編集」ー

「DEATH NOTE」の短編集が発売された。

連載が始まる前に読切として、掲載された「鏡太郎編」や、連載終了後の世界を描いた「cキラ編」「aキラ編」などが収録されている。

いずれも完成度が高いが、中でも「aキラ編」は、出色の出来だ。

「DEATH NOTE」は名前を書けば人を殺すことのできるノートを手にした夜神月が、新世界の神キラとして犯罪者、悪人の名前を書きまくり、世界を変える話だ。

「aキラ編」は、キラが死んだその後の世界を描く。

死神リュークは、デスノートを田中実(ミノル)という少年に渡す。ミノルはIQが並外れて高く、3年連続で中学生の中で日本一位をとる。

そんなミノルは、キラと同じようにノートに人の名前を書くことを選択しない。

ミノルの選択は、恐ろしくクレバーでシンプルなものだった。

デスノートを売る。

それも、オークションで。

ネットに普通に出品しても、誰も信じないし、足がつく。生放送のテレビ番組で、リュークが、オークションの内容(Twitterにハッシュタグをつけて金額をのせるだけ)を書いた紙を映す。リュークは普通の人間には見えないので、紙が浮いて見え、真実味は増す。

Twitterに投稿される金額はどんどん跳ね上がり、あっという間に100億円に届く。

さらにリュークが見える警官(あの松田刑事)が、生放送に乱入したことで、ノートの真実味はさらに増していく。

ついに、オークションは、国レベルの争いにまで発展していく。

結末は書かないが、驚くべき発想力の物語だ。

短いストーリーだが、1つの無駄もなく、スピーディーな展開に目が離せない。

そもそも、人を殺せるノートというワンアイデアから、ここまでリアリティのあるストーリーを描けるのも凄いが、そのノートをオークションで売るなんて、どうやったら思いつくのか。

原作者の大場つぐみは、よく知られているように、かつての人気ギャグ漫画「とっても!ラッキーマン」の作者ガモウひろしだ。

ラッキーマンは、日本一不運な中学生、追手内洋一(ついてないよういち)が、宇宙一幸運なラッキーマンになるという話だ。これもワンアイデアをふくらませにふくらませた名作だった。

当時、小学校の同級生たちは、皆「ラッキーマン」が大好きだったと記憶してる。

「aキラ編」は、天才のストーリーテリング力をまざまざと見せつけられたような作品だった。

未読の方は、ぜひ。

追記: ハッシュタグで、デスノートと打つ時、「旦那デスノート」とすぐにでてきた、、、。世の奥様方、旦那さんをデスノートに書くのはやめて下さい、、、。