
アメサーラ様のお告げ
我が名はアメサーラ、神だ。
今宵は森羅万象の頂点に君臨する我が眼前に、愚劣で矮小な生命がひれ伏す記念すべき夜。
お前たちに問う。
お前たちはなぜ生⋯⋯⋯⋯ん?
おい。
そこのお前。
左から3番目のお前、ちょっといいか。
右手に持っているそれはなんだ。
嘘を言うな。それがサンドイッチなわけがあるか。そんなビッショビショなサンドイッチがあってたまるか。
クラゲサンドイッチ⋯⋯?
食パンでクラゲを挟んだのか?
だとして、なぜこのような場に持ち込んだのだ?
私にだと!?
喜ぶと思っただと!?
クラゲサンドイッチで喜ぶ人間がこの世のどこにいるというのだ!
うるしゃい! 神も喜ばんわ!
もうよい! 死ね! くらえ! アメサンダー!
⋯⋯さて、邪魔者はいなくなった。これより我は⋯⋯な!? お前、なぜ生きて⋯⋯!
おい! 勝手に冷蔵庫を開けるな! やめろ! クラゲサンドイッチを冷やすな! 冷えてたら喜ぶとかないから! あと勝手にお茶飲むな! なんなんだお前!
は? オープン⋯⋯? なにが?
えっ!? 今!? 冷蔵庫開ける時の掛け声を今!?!?!?
キモっ!!!!!??
掛け声遅れるのもキモいしそもそも冷蔵庫開ける時用の掛け声あるのキモすぎるだろなんだお前ほんとに!
ってお前、そのタモどこから持ってきた!? 何するつもりだ! どこ行くつもりだ!
おい!!
他人ん家のタモでゴキブリを捕るな!!!
かえれ!!!!!!!!!
はよ帰れ!!!!!!!!!!!!
よし、嵐が去った。一旦トイレ行ってくるから、みんなちょっと待っててくれ。
⋯⋯!?
なんだこれは! 便座が真っ赤で座れぬではないか! 誰がこんなイタズラを⋯⋯許せん!
おい貴様ら! 我がトイレを汚したのは誰だ!
「はい! けがしたのは僕です!」
誰だお前は!
「はい! おしり怪我マンです!」
おしり怪我マン!?!?!?
なんだお前、それ本名か?
「おしり怪我マンです!」
本名かって聞いてんだよ!
「本名なわけないでしょ! 北村畑 田中彦ですよ僕は!」
名前キモっ。
⋯⋯で、お前、怪我してるのか。
「いえ、してません!」
そうか、それはお大事にな⋯⋯って、え!?
してません!?
「してません! 僕のおしりは絶好調です!」
じゃああの便器はなんなんだ!
「僕がペンキで汚しました!」
えっ、ペンキで⋯⋯? え⋯⋯どうして⋯⋯
「ムシャクシャしてやりました!」
こわ⋯⋯
てかなんで一瞬で自白したの。普通イタズラしたら黙ってるだろ。
「え? 僕がやったからやったって言っただけですけど⋯⋯」
ヤバ⋯⋯
もう帰ってくれ。
「それは出来ません!」
なぜだ? 神の命令なのだぞ?
「痔が酷くて、歩くこともままならないのです」
さっきおしり絶好調って言ってなかったか?
「あれは普通に嘘です」
普通に嘘!?
歩くこともままならない状態なのに、わざわざトイレに行ってイタズラをしたというのか?
「はい、頑張りました」
こいつ怖。
とりあえず、我がボラギノールやるから帰れよ。
「アメサーラ様も痔なのですか?」
そうだよ。
「本当に神様なんですか?」
神様だよ。
「そうなんですね」
すんなり信じてくれるんだ!?
イタズラ自白するし疑いモードも一瞬で終わるし、こいつ怖すぎるだろ⋯⋯
「うんちの日(ボソッ)」
なにか言ったか?
「ポンデリングって言いました」
食べたいのか?
「食べたくありません」
ポンデリングが食べたくない⋯⋯?
「はい、食べたくありません」
ポンデリングが食べたくないってお前、本当に人間か?
「フフフ、よくぞ見破った! 僕の正体は悪魔だ! だからイタズラもしたんだ!」
このすんなりさが怖いんだよな。「だからイタズラもした」とか教えてくれてるし、怖。カレーパン食いたい。
さて。
めんどくさいけど戦うか。
悪魔よ。ここへ来た勇気だけは賞賛しよう。しかし、この神を殺せるという思い上がり、それだけは評価できぬ。己の力量も分からぬ者に勝利はないのだ!
「えっ、殺⋯⋯えっ? アメサーラ様何言ってるんですか? 僕そんなヤバい奴に見えてるんですか?」
なんだ? 違うのか?
「僕はただ、トイレにイタズラという小さな悪を⋯⋯だから、戦う気なんてないです」
それは本当か?
「普通に嘘です」
普通に嘘!?
「って言うのも嘘です」
どっち!?
「の反対の反対の反対の反対の⋯⋯」
小学生!?
「賛成なのだ」
バカボンのパパ!?
「チンポ!」
なんでもアリなの?
「午後の紅茶新味、酢味」
酢味!?!?!?
酢味じゃなくて!?!?
「噌味」
酢味噌味!?
酢味噌ティー、キモすぎる。
「そろそろ帰りますね」
また来るがいい。