セミと青空と淡い恋心。「ライザのアトリエ2〜失われた伝承と秘密の妖精〜」
夏。それは誰もが経験するめっちゃ暑い日々。
夏。特別なことはないかもしれないけれど、それでもどこか特別な日々。
何かがあるようでないようで、
時が長いようで短い。
時間のはざまに追い込まれたかのような錯覚の中で大切なことを見つけていく。それがひと夏の思い出。だったりして。
「ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜」
眩しい太陽、どこまでも広がる広い草原。クーケン島で錬金術師としてアトリエを営む「ライザ」が主人公の物語。アトリエシリーズとして続く「〜のアトリエ」はながいながい歴史を持ちながら、シリーズ最新作として「ライザのアトリエ」を発売しました。この「2」はその続編にあたります。
アトリエシリーズは、錬金術師が錬金術という工程を経て、ある素材と素材を掛け合わせて全く別のアイテムを作り出す職業。実際、錬金術、というほどですので、「金」を作り出そうとした科学者のことでもありました。
ライザって科学者なのです。(化学?)
今までのアトリエシリーズは経営難のアトリエ再建のために、アイテム作って売って〜の流れがメインだったように思いますが、「ライザ」は「錬金術」を用いて冒険をする、という今までの流れを大きく変えてきたなぁ、と遠巻きに見ておりました。
そう、「1」は未プレイなんです。リリースまもない頃に「2」がアナウンスされまして、「2」のがやりたい!!と思ったので、様子見してました。
僕はシリーズものは最新作から始めるので、キャラクターの関係性とかよくわかりませんし、そうなんだぁーと流してしまいます。今のゲームは前作を知らなくても十分楽しめる作りになっているものが多いので、この辺は安心していました。
が。
すっっっっっっっっごい前作の匂いぷんぷんさせますねこれ!!
「あの時は〜」とか「あ、そうか知らないんだったね」など、もう出てくる会話が「あの冒険は楽しかったんだよ!」としか感じさせないものばかり!
「そんな手に乗ってたまるか!」といらぬ意地張ってましたが
物語が進むにつれ、前作知らないのは損かもしれない、とすっっかり
「ライザ」ファンになってしまいました。
まず、絵がエモい。とにかくエモいです。
真夏の入道雲を思わせる澄んだ夏空。美しい山々。聞こえてくるセミの鳴き声。
夏空のダイナミックな大空につられるように
もっと遠くに行きたい!色々なところを旅したい!
行くあてはけど、気持ちだけ先行して、自転車漕ぎ出した少年のような気持ちを持たせてくれる、「何もなくても行ってみたい!」と感じさせてくれる、圧迫感のないフィールド。
そしてこの衝動に合わせて一緒にいてくれる「少し大人びた少女」ライザが、一夏の恋心を刺激してくれるので、色々な意味で夏!なんです。
専門的にはわかりませんが、「被写界深度を浅くする」ことで手前のキャラがくっきり写り、遠くの景色がぼやける表現。まるで陽炎(太陽の光が地面を照らすことにより、もやもや映る現象)が、より一層「夏感」を感じさせます。
随所にもやもやさせてくれるのがね、
いいんですよ。
ドライブ行きたいなぁというか、海にでも行こうか?みたいな。
学校やお仕事のない自由なひと時をめいっぱい味わえる空間と時間。
どこへいくにも誰といくにも何にも縛られない開けた思いが溢れ出てくる季節感が
純粋でピュアで素直な気持ちを持たせてくれます。
ライザは錬金術師なので、シリーズ恒例のアイテム作りも健在。フィールドには採取ポイントが所狭しとおいてあり、RPGの醍醐味である、収集欲も掻き立てられます。
ちくいちアイテムの効果が違いますので、乱獲しても持っていて損はないですね。
意外と、作ってみなければわからない要素もあり、錬金術、というある種のマユツバ感も置いてきてはないのかな?という印象。
物語の主人公は確かに「ライザ」ではあるのですが、スキルや効果をつけるのは人間ではなくて、アイテムの方。
基本的なRPGでは補佐的な位置付けの「アイテム」ですが、〜アトリエ」シリーズはアイテムこそがメイン。アイテム作るとスキルポイントがもらえて、新しいレシピを覚えることもできます。
そして、アイテムにさまざなことを付属させるのに、錬金があります。
人間キャラの育成もありますが、アイテムになんの効果をつけるかが、このゲームの面白いところ。
大ダメージ系、大防御系の
オーソドックスなアイテムもありですが、
同じアイテムでも「高値」で売れる
アイテムにすることもできます。
種族特化の効果を変えることもできますから、
この戦略の幅の多さはとにかく驚きますね。
シミュレーションゲームでいえば、ユニット(育成、操作できるキャラクター)をバンバン増やしているようなものですから、組み合わせ次第ではほぼ無限。
面白い組み合わせが見つかるまでバンバンやり込めそうです。
RPGなので、戦闘があります。でも全然鬼気迫るものではないのがいい感じです。
まず、耳にするBGMが軽快。アップテンポで始まるこの戦闘では「ほんとに魔物と戦うの?」というくらいライトな印象。
戦いも、みんなでバシバシ叩いて、ここぞという時にスキルを使い、必殺のアイテムでとどめ!な流れ。
連携要素もあり、仲間のリクエスト「物理で叩いて」などに応えると、仲間が続いて強力なアクションを仕掛けてくれます。
しかし!
叩くだけではないのがミソ。
相手モンスターが結構強い。しかも集団ですと考えて倒していかないと画面の端で仲間がどさどさ倒れていってしまいます。
相手の行動に合わせて適切に「ガード」しなければHP間に合いません。
回復手段も限られており、深追いは禁物。
あかーんと思ったらそそくさアトリエに帰るのがいいかも?
ベッドで休めますし。
アイテム錬金できますし。
なにかが起こりそうで、なにもおこらない。
なにもないかもしれないけれど、なにかが起こりそう。
夏の日差しの向こう側で
運命のあの子と出会えるかもしれない淡い期待感。
そんな情けないようで頼りない希望に
溢れた季節、夏。もう2度とないかもしれないから、今この時をしっかり味わう。
まぁ若い頃はそんなこと考えませんよね。
ムダにワクワクしてるだけで。
ムダでもないか。
コケにも、そんな時があった…のか、ないのか
いや、あったよ。多分あった。人並みにはあったよ。
バイクでソロツーリング出かけた先に
キレイなおねーさんがいて
なんやかんやで仲良くなってって…
なかったね!!うん!
空からシータ降ってくることもなかったし!
やたらにスイカ食べて満足してました。
楽しかったよ?それはそれで。
淡い期待を持つことが青春さ!
今回のお話はおしまいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
コケでした〜。