読書感想文「東京ミドル期シングルの衝撃」
こんにちは、ねこばすです。
実は、少し前に朝日新聞の取材を受けました。
年々増えるシングル世帯の特集ということで、私のnoteをご覧になった記者さんが連絡をしてきてくれたのです。
その取材時に、特集を組むきっかけになった本を紹介してくれました。
「東京ミドル期シングルの衝撃」です。
ちょっとショッキングなタイトルですが、中身は地道なデータ収集と統計に基づいた現実的な内容です。
書かれていることは、私が普段体感的に感じていることと見事に合致していました。
シングルの方は、読んだら「やっぱりそうだよね」と思われるに違いありません。
さて、読書感想文とか書評を書くのが苦手なのですが。
特に印象に残ったこと2つに絞り、書いてみます。
男女で抱えるリスクが異なる
シングルの人も元気に働けている時は、自由を謳歌し楽しく過ごしています。
しかし、潜在的なリスクは抱えています。
本の中のデータによると、
女性は貧困に陥りやすく、男性は人間関係で孤立しやすい、とのことでした。
分かるわ〜。
非正規労働者は女性の方が多く、自ら望んで選択する人もいるものの、結婚→子育→介護における暗黙の役割から選択する人も多いです。
つまり、刷り込み。
その刷り込みが、性差による職業選択に繋がっている面は否めません。
同時に、男性にも「ずっと第一線で働き続けなければならない」という刷り込みがあるため、結果的に男女で賃金差が発生してしまいます。
よって、シングルの女性は貧困に陥る可能性が高くなります。
それもあってか、女性は家族や職場以外にもいざという時に頼れる人間関係を作ろうとします。
(私が、正しくこれ)
対して、男性は貧困に陥る可能性は女性より低く、また、子どもをもうけることにも年齢的な制限を感じづらいことから、「いつかは結婚する気がする」と、ミドルエイジになっても思っている人が多いそう。
つまり長いモラトリアム期を過ごしている。
だから、仕事以外の人的セーフティネットを積極的に作らないし、作るのも苦手です。
納得でしかありません。
婚活市場の様子をSNSなどで目にした時の強烈な違和感は、そもそも男女で持っている感覚や危機感が異なることが原因なんだ、と再認識することができました。
単身者は行政の政策から置いてけぼりになる
単身者は、これを感じる方が多いのではないでしょうか。
●結婚していないから、控除関係の対象外
●子どもがいないから、あらゆる手当の対象外
つまり、税金を満額払いつつ、(変な表現ですが)見返りは何もありません。
上記のように、単身者には特有のリスクがあるのですが、とりあえず働けて身体も元気なうちは、そのリスクが表面化していないために「リスクそのものがない」という認識をされ、行政サービスの対象外になることがほとんどです。
今後、そういった単身者が高齢になっていった時に、一気に大きな社会問題になることが予想される、とのことでした。
そうでしょうね。
●シングルの比率が伸びているのだから、シングルからのニーズも増えるのは必然。しかし、対応が全く追いついていない。
●ひと昔前のシングルはパートナーとの死別なども多く、遺族年金や所有住宅がある人が一定数いた。しかし、近年は未婚シングルが増え、金銭・住宅の事情も変わってきた。そして、不景気。
単刀直入に言いますが、税金満額払って社会貢献しているのだから、単身者にももっと行政の目を向けてほしいです。
インタビューでも話しましたが、少子化に私は貢献ができていないので(意思を持ってなのか成り行きなのかは、ここでは置いておく)、私が払った税金が不妊治療や子育て支援に使われるのは、大いに結構なのです。それで、私も一端を担わせてもらっている感覚です。
ですが、行政が婚活支援をする意味がよく分かりません。
子どもを産み育てる前提には結婚があるのだということを、行政自ら明示しているのと同じですよね。
それって前時代的ではないですか?
それに、結婚したからって子どもが誕生するとは限りません。
だったら、シングルでも子どもを産んで育てやすくすることに税金を使った方が、守られる命が増え、婚活を支援するより時間もかかりません。
実社会は、スピードを増しながら着実に変化をしていっています。
行政には、そこにいち早く対応してほしいものです。
シングルを置いてきぼりにできるような時代じゃなくなったのです。
単身で生きるのは辛いのか
確かに結婚してみたかったし、大好きな人と結婚したら子どもを産みたい気持ちにもなっていたと思います。
だけど、今そういう人生を歩んでいません。
だったら不幸なのでしょうか?
これからの日本で、単身者として生きていくのは辛いことなのでしょうか。
本来は、そして結局は、どんなライフスタイルだろうと幸福も不幸もあります。
シングルが増えてきた昨今、孤独を抱えるリスクも増大したと言えます。
ですが、逆にシングルでも生き延びやすい世の中になってきたから、増えてきたと考えることもできます。
子どもがいればいつもずっと子どものことを心配して、ケアをして生きていきます。
シングルは、自分の心配とケアができたら、次は社会の誰かのために動くことができるのです。
それもまた、一つの立派な生き方ではないでしょうか。
人間が持つ命題は「自立」。
私は自立を以下の3つに大別して考えるようにしています。
①経済的自立
②精神的自立
③社会的自立
社会的自立をネットで調べると、「自分の意思で物事に取り組み、必要な時に人に頼れることを前提とした自立」、「社会の一員として責任ある行動をとり、人との関わりの中で合意形成する」、などとあります。
人間が人間たるように生きていくためには、社会の一員として、人々と相互補助をしていくことが必要です。それが生きがいでもあると思います。
単身だろうと、結婚していようと、子どもがいようと同じこと。
私たち単身者も、自分の抱えるリスクに正面から向き合い、それに対応し、そして、社会の中で楽しく生きていきたいですね。
きっとできます。
数字の出てくる本はやはり説得力がありました。色々な気付きを得ることができ、取材に感謝です。
【追伸】
有料記事にはなりますが、朝日新聞デジタルに登録している方は、良かったらインタビュー記事もご一読くださいませ。
この本の著者である宮本みち子さんも、連載最後にインタビューを受けているようです。
それでは、また。