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高知の八彩帖(ヤイロチョウ)38・「餅ばわし」
かつてとある会社のサイトに連載していたショートエッセイです。高知のあれこれを書いています。
今回のテーマは「餅ばわし」。土佐弁で「餅投げ」のことです。昔は至る所で餅投げが行われていましたね。お祭り、新築祝い、私も飛び入り参加したものです。そんなお話をどうぞ。
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「そこで『餅ばわし』しゆで!早よう行こうや‼︎」ー「餅ばわし」=「餅投げ」のことである。屋根の上から大量の餅やお菓子、日用品などを撒いて、人々と取り合うあの行事。誰でも1度は参加したことがあるんじゃなかろうか。
老若男女関係なく(いや、オバサマ達が圧倒的多数かな?)、ワァワァ言いながら取り合うあの熱気!子どもの頃は、至る所でこの餅ばわしが行われていた。家の新築祝い、お店の新規オープン、神社のお祭りなどなど。
通りがかりに行われているのを目にすると、飛び入りで参加したものだ。今では社会的な事情もあるのか、街中で見ることはほとんど無くなった。けれどまだまだ郡部に行けば、餅ばわしの文化は根強く息づいている。
さて、この餅ばわし。何が「ばわし」なんだろうと疑問に思った人もいるのでは?私はてっきり「餅回し」とか、「餅舞わし」みたいな漢字を当てるのかと思っていた。
それにしてはなんだか意味が通らないなと疑問だったのだが、それもそのはず。正しくは「餅をばう(奪う)」から来ているらしい。しかし赤の他人と餅を奪い合うなんて、実に野蛮(⁉︎)な風習ですね。
子どもを押しのけ他人の手を振り払い、帽子やエプロンはたまた上着を拡げ、『早う早う‼︎』『こっちはひとっちゃあ来やせんが‼︎』などと叫ぶ中を飛び回る、直径30cmくらいの巨大な餅。もうそこは阿鼻叫喚の戦場だ(滝汗)。
餅ばわしは、ただやみくもに降って来ゆう餅を狙いよったち、めっそ取れんぞね(なぜか急に土佐弁)。たくさん取るには、『こっちへ投げてー‼︎』と恥を振り捨て大声で言うこと。
バラバラと降って来た餅は狙わず、地面に落ちた餅を狙うこと。この地面に落ちた餅をサッサと素早くかき集めると、驚くほど楽に収穫できるのだ。
ただし、頭や体にビシバシと降り注ぐ餅が当たるのを覚悟すること。さ、準備万端でいざ餅ばわしへ!