猫男とMになれない女
猫男とMになれない女と人生模様 猫男目線とMになれない女の立場からそれぞれの投稿である。
話しかけると一歩引く。 そんな人だった。 用事があって話しかけても、 歩きながら話を聞く人。 立ち止まらない。 あ! というと、 お、と言い終わる頃には右から左へ歩いている。 あいうえお、 がうまく届かない。 嫌われてるな。 そう思ってた。 わたしはきっと、この人の苦手なタイプなのだ。 それなのに。 わたしの髪を触りたいといった。 それなのに。 そんなことがあった後でも、 やっぱり、すれ違いざまに話していなくなる。 この人の心がわからない。 でもわからないからこそ、
「髪、触っていいですか?」 暗い店内で彼は唐突にそう言って私をまっすぐに見つめてきた。 彼のことは前から知っていた。 知っていただけでなく、惹かれてもいた。 近づけば引くような近寄りがたさと 大人の色香をほんのりと醸し出す雰囲気が とても気になる人だった。 その人がいま目の前でわたしの髪を触りたい、と言っている。 周りにもたくさんの人がいる中で。 これはなんだろう。 揶揄われてるのか。 単なる髪フェチかしら。 そんな数秒間の戸惑いも、数年抱いてきた彼への興味の前にあっ