望遠レンズの沼にハマった話
私(@neko_ptx)がPENTAXの一眼レフを初めて手にした時、18-135mmの標準ズームレンズがカメラについてきた。このsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL [IF] DC WRというレンズはバランスのとれた高倍率ズームなのだが、使っているうちに更なる描写や広角/望遠を求めたくなる「沼への先導人」でもある。
私の場合はめでたく広角と望遠の沼にハマり、最近は望遠レンズで楽しく遊んでいるので、沼にハマった過程を書くことにした。
smc PENTAX-DA☆200mmF2.8ED[IF] SDM
はじめに手に入れた望遠レンズは200mmの単焦点だった。当時は野良猫の撮影にハマっていたのだが、警戒心の強い「ガチ野良」を遠くから捉えたくて、35mm判換算で307mm相当のこのレンズを購入したのである。試しに飼い猫のサバ白くんを撮影した時、毛の一本まで立体的に描写できることに驚き、微細な部分のコントラストの再現性が高いとはこういうことかと印象に残ったレンズである。
現在は、野良猫ではなく室内で飼い猫を撮るのによく使っている。外にも持ち出そうと思っているのだけれど、野良猫が活動する早朝と夕方は乳児の世話で忙しくなってしまった。SDMが遅いという欠点はあるが素敵なレンズである。もしリニューアル(HDコーティング化&DC/PLM採用)されたら迷わず買うので、よろしくお願い申し上げます。
HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE
その後、超望遠の焦点距離300mm(換算460mm)まで手を伸ばすことにした。そこで購入したのが、定番の55-300mm(PLM搭載モデル)である。ボディモーターでAFを駆動していた前モデルの時点で、価格の割にクリアな描写をするレンズとして知られていたが、新たにPLMが採用されたことで高速・無音のAFも揃った。ズームレンジが広く、沈胴式でコンパクトかつWR(簡易防滴)であり持ち出しやすいレンズである。
焦点距離200mmと300mmの差は大きく、これまで街中で見かけても今まで手が届かなかったスズメやヤマバトなどを容易に撮影することができた。望遠域に限らず使い勝手がいいレンズなので、旅に一本だけ持っていくとしたらコイツを選ぶであろう。これも素敵なレンズである。
ここで満足しておけば平和だったのだが、うっかりコイツを持って野鳥を撮りに大きな公園に行った結果、私は沼にもう一歩踏み込むことになってしまった。300mm(換算460mm)でも焦点距離が足りず、寄りたくても池や木々で寄れない!トリミングすると解像感が出ない!どうしたらいいの!という状況が頻発したのである。
それも当然、野鳥撮影は「300mmは広角レンズ、500mmは標準レンズ、800mmは望遠レンズ」などと言われる怖い世界である。では何ができるか?超望遠レンズを買うしかないのである。
さて、PENTAXレンズで焦点距離300mmを超える超望遠を実現するとなると、選択肢は3つある。コストが低いものから順に並べると以下の通りだ。なお、私の場合は手持ちを前提としているので、560mmF5.6や600mmF4は選択肢から除いた(お値段も凄いし)。
1) HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE + HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
55-300PLMにx1.4テレコンをつけて、「77-420mm F6.3-9」となる組み合わせである。公式のx1.4テレコンの対応表では位相差AFでピントが合わない場合があるとされているが、ユーザーからは普通に使えたという声が多い。問題は暗さで、望遠端で開放F9では曇りの日や木陰の撮影が厳しくなる。
2 ) smc PENTAX-DA☆300mmF4ED [IF] SDM + HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
抜群の切れ味で知られるDA☆300mmF4にx1.4テレコンをつけて、「420mm F5.6」となる組み合わせである。1196gと軽量で、高画質かつ明るい。一点不安なのは、420mm(換算644mm)の単焦点をうまく扱えるのかということである。私がよく行く公園の木道(カワセミの出現スポット)では移動できる範囲が制限されるので、ズームできる方が便利なのは確かだ。
3) HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
描写性能には文句なし。450mmを必要とするならこれしかない。x1.4テレコンとの相性も良く、更に焦点距離を延ばすことも可能である。ただ、フードと三脚座付きで2325gもあるので、重さ、大きさ及び価格の点で気合が必要だ。
これらの選択肢を検討した結果、私はなぜかサードパーティ製500mm F8のミラーレンズを購入した。
Tokina SZ 500mm F8 Reflex MF
どういう経緯でこれを選んだのかはよくわからないが、たぶん安くて軽かったからである。2022年に発売されたデジタル向けの新設計ミラーレンズで、構造上絞りはF8固定、被写界深度は極めて浅い。
これを野鳥撮影に持っていくと、ただの修行である。MFで飛ぶ鳥を撮ることが極めて難しいのはいいとして、被写界深度が浅く意図した範囲を写すことが困難なのが非常に辛い。レンズが軽いことも、ボディとのバランスが悪く手振れしやすいという弱点となる。ミラーレンズ特有のリングボケは木々に対しては「二線ボケ」となってしまい、使える状況が限られる。
このレンズ自体は、特徴を理解して使えば良いレンズである。ただ、野鳥撮影には向かない(そりゃそうだ)。
HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
結局、お金を貯めてコイツを買った。レンズが大きくて重いという欠点は、荷物を減らしつつ身体を鍛えれば解消される。初めてこのレンズを公園に持ち出した日に、人生で初めてカワセミと遭遇することができた。
かわいい。飛んでいるところも撮れるようになりたい。
DA☆300mmF4とx1.4テレコンの組み合わせにすべきか最後まで迷ったのだが、このレンズを付けて野鳥撮影をしている時は360-450mmの範囲を広く使っていたので、私の場合はズームレンズを選んで良かったと考えている。
というわけで、これからは猫と街に加えて、鳥の撮影も楽しもうと思う。身近に居る様々な鳥の名前や生態等を学んで公園に出かけるのだ!