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誰も知らない交差点

私はよく不思議だと思うことがある。何がって?

私は、ときどきゴミひろいをさせていただくことがある。

近くに大きな道路があって、そこの交差点をよく通る。その横断歩道ふくめ、歩道にゴミが落ちているのだ。

はじめはなんだかいやな気持ちで始めた。何故なら、ゴミを落とす人が許せなかったから。けれども続けていくうちにゴミを拾うのが楽しくなる。

そんな感じである日もまた、ゴミを拾いにいった。この日も、しっかり拾えたと思う。

けれども、家に帰るとその交差点に、またいかなければいけない用事ができた。

落とし物か、缶やビンなどのゴミを後から拾おうとしたのか、なんなのかははっきり覚えていない。

けれどもこの時はどうしても、あの交差点に行きたくなかった。何故なら見られたら、嫌だから。

私は結構、繊細な人で周りのことが気になってしまう。だから、「またきたの?何やってるのあの人?」と思われるのが恥ずかしかった。

結局、恥ずかしながらも気を張って行った覚えがあるが、交差点についたとき『は!?』とおもった。

だって、交差点を歩いていた人は、もう家についているかもしれないし、スーパーで買い物をしているかもしれない。

信号なんてせいぜい長くてもに2~3分で変わってしまうので、車の運転手がどれだけ長くとどまっていたくても、そうはいられない。

ということは、次に交差点に行くときは。また、はじめましての人なんだと。

そう思うと、なんだか心がフッと軽くなった。自分が思っていることは、意外と思い込みだったりする。

この交差点の話。何度、思い出しても不思議なのだ。5分前のこの交差点には同じ人は、1人もいないのだから。


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nori
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