シェア
猫宮
2021年10月21日 19:15
後ろの席の彼は、硝子細工のように繊細で、脆くて、華奢で、噛み潰してしまいたいような色気を持った不思議な少年だった。 度のキツい眼鏡をしているにも関わらずらレンズ越しでもきちんと存在感のある瞳が、机上でぱらぱらと捲られている本をたしかに追いかける。 俺が差し出すプリントなんて一瞥もしないで、ひたすらに文章を読み解いている。500円の単行本に没頭する彼のことを眺めるのが、俺は、本当は好きなのだ