絵を描くことと、下手でやめてしまう人、描くことがない人
私は絵を描くことが好きだけど、何を描きたいかはわからなくなっていました。
絵が上手くなりたい、と思いながらここまでは来ましたが、絵を描くことの本質から見れば、本当に些末なことだったと思っています。
絵の本質は、表現したいことを自分の思うままに表現することで、さらに言えばそれを共感してほしい相手に的確に伝えることです。
ただ、こう書くと『相手に的確に伝える』ということは画力は不可欠では?と思う人たちもいると思いますが。
私も昔はそう思っていましたが、はっきり言ってしまえば画力が必要なのではなく、少々下手でも絵を通して『伝わる』ことが大切なのであって、それさえできれば極端な話『子どもの絵』のようなスタイル、もとい画力でも構わないのが絵だということ。
むしろ、伝えたいことが何一つ無いのに画力を上げることに固執しているのは小手先のテクニックに執着しているのと同じことです。
しかし、少なくとも絵で伝えること以外に『上手く描きたい』という色気、もとい欲がある人たちのために一言だけ言います。
通俗的な『絵のうまさ』つまりは最低限これだけ押さえておけば上手く見える『要素』というのは、『ほんの数秒だけ見ても、何が描いてあるかが分かる絵』です。
具体的な例を挙げて言うと、
・何時間もその絵を観察しなくても、自分が描いたものが猫であれば他人にも猫だと伝わる絵のこと
であり、これに必要なのは
・描きたいものの形を、他人から見て伝わる程度には描けること
・描こうとしているものの陰影を、ある程度正確につけられること
この二つ。(もしかしたら、画風によっては陰影をつけること自体がそこまで重要視されないものもあるかも)
しかし、よくニュースサイトで話題になっているような『リアルで緻密なスタイル』である必要はなく、もう少しシンプルなアニメやイラスト風のスタイルでも、もちろん伝わります。
そしてそこまでにたどり着くのに『才能』は全く必要ありません。
努力次第で誰でもそこまでにはたどり着けます
(むしろそれよりも大変なのは表現したい事柄を見つけることのように個人的には思います。個人差はありますが)
ただし、そこまでにたどり着くまでの道のりは、絵を描き始めた人や、絵に自信がない人にとってはかなり長く遠い一本道のように思えてくることでしょう。
しかし、絵の出来はともかく、描いている過程をそれなりに楽しめる人であるなら、そこで挫折して永遠に筆を折るのは、非常にもったいないことだと個人的には思います。
絵を楽しめているのなら、描くべきです。
もちろん、一時的な休養期間として『一旦やめてみる』のは悪くありません。
ただ、やっていて楽しいことを完全に手放すのは、少しばかり辛いことなのではないかと思うのです。
もし他に興味が移ったということなら、それもまたご自身の選択ではありますが。
兎にも角にも、自分の描きたいものに必要なことをひとつずつやっていけば、必ずできるようになることなので。
そして何よりも必要なのは『描きたい気持ち』と『描きたいもの』があることです。
しかしこの『描きたいもの』がない人に関しては、描きたいものが見つかるまで色々描いてみるのもいいですが、自分の描きたいものを考え直すこともいいかもしれません。
結局は自分が本当に描きたいものを描くことが大切なので。
そして私は、まだ描きたいものが決まっていないので、きっとそれを見つける旅の途中なのかもしれません。
伝えたいことに関しては宙ぶらりんで、まだまだ先は長そうですが。
本当に辛いのは、画力が伝えたいことに追いつかないことではなく、描きたいことが枯渇することですので。
長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。それでは。