ASMR用フリー台本を書いた時の経験談とネット創作における著作権の難しさ
実は以前、えっちなASMR用のフリー台本を書いたことがあります。要は耳舐め配信とかで使う用のボイスドラマの脚本を「誰でも無料で使っていいですよ」って感じでSNSに投稿したんですよね。今回はその時の経験談と、そこから考えた著作権の難しさについて話そうかなと。
『フリー台本』投稿のメリット
まず、投稿して良かったこととしては、意外とすぐにASMRで活動してる方から使用報告が来たり、サンプル音声が届いて内容を褒められたりしたことです。なんなら自分が普段から観てた配信者さんから仕事依頼も来ました(残念ながらその話は結局なあなあになって流れてしまいましたが…)。まさか万年ニートで何も出来ないと思い込んでいた自分のえっちな妄想を投稿しただけでそれが形になって返ってきて、しかも褒められたり経済に貢献するとは夢にも思わない…は過言としても、こんな簡単に叶うとは思ってなかったのでびっくりで、普通に嬉しいし自信になりますよね。インターネットの拡散の凄さを感じたし、こうやって使うべきなんだなと思い知らされました。あと、インターネット創作者達の人脈にそれまで嫉妬してた部分も多少あったのに、やり方が解ると拍子抜けした部分もあるし、逆に調子に乗って距離感間違えないようにしないといけないハラハラ感もありましたね。
はい、いい話終了。で、ここからは微妙に感じた経験談になります。
まず、作品が広がることで急に責任感が出てきて、自分の作品に『オリジナリティ』があるのか不安になってきた。
『パクリ』になることへの不安
一番初めに書いた作品は、寝る前にうとうとしながら妄想したものを朝になって文字に起こしたって感じだったんですが、作品を公開した後になってからだんだん(あれ、もしかするとASMR聴きながら寝て、睡眠学習みたいに他の人の作品の内容を自分のだと勘違いしたのでは…?)と不安になり履歴を調べます。しかしそれらしいものは見つからない、多少部分的にこれを参考にしたのかなってえっちな台詞はありましたが。ASMRの履歴もどんだけ聴いてんだよってくらいあって聴き直すのも大変だし、よく考えたらYouTubeとか別のサイトでもっと前に聴いた何かかも知れない、あるいは昔読んだ漫画?誰かのツイート?とか不安が無限に止まらなくなって意味の無い検索を繰り返す羽目に。
実は過去に作品として出したものではないんだけど、自分のツイートしたネタが前に見た誰かのツイートだったことや、温めてたギャグ漫画のネームが子供の頃読んだ漫画のネタだったことがあったんですよね。僕の世代だとJ-POPの歌手が歌詞パクリ問題を起こして「アイデアメモに書いてたから自分のアイデアと勘違いした」とか説明してるニュースを何回か見たことあるし、有名漫画でも『ドラえもん』のネタを自分のアイデアだと記憶違いで出してしまったってのも見たことあります。そういうのって端から見れば言い訳臭いかも知れないけど、自分でいざ創作をやってみるとこれはめちゃくちゃあり得るなと思うし、なんなら何度も同じ間違いをしそうなんですよね。だから怖くて無駄に調べてしまう。
でも検索って完全な答えはなかなか出てこないです、有料商品だと自分で買って見ないと確認出来ないし、既に削除されたもの、アカウント登録しないと見れないもの、鍵かかってるもの、色々ありますから自分が通ってきた道を全部確認しようなんて無理だし、そもそも間違いなく自分のアイデアなら見つからなくて当然だから探す意味も無いんですよね。
ただ、いくつか作品を投稿して、その度に検索をかけていると、自分の作品とかなり似た内容の作品で、しかも自分より前に作られたものが出てくる時も正直ありました。しかし自分はその作品を過去に聴いたかどうか記憶が定かではない、山ほどASMR聴いてきましたから。単なる『被り』を気にしていたら創作なんて出来ないわけですし。こうなると『オリジナリティ』とは?『著作権』とは?という難しい問題について延々と考え込んでしまいます。
創作における『パクリ』って昔に比べてかなり厳しくなったと思うけど、逆に言えば流行りきって『ジャンル』になるとむしろ受けますよね。『ジャンプ漫画』なら『武術大会』や『試験』のような伝統芸的なもの、他社の漫画で近年なら『からかいコメディ』とか、ラノベなら『なろう系(ナーロッパ)』、エロコンテンツで言うなら『即堕ち2コマ』『メスガキ』『セックスしないと出られない部屋』などなど…
で、自分の場合書いてたのが『えっちなASMR用の誰でも使えるショート台本』なので、どうしても分量的にも方向性的にも『テンプレ』になりがちなところがあって、そこが自分自身で引っ掛かり続けちゃって、段々と創作が苦しみになってきた。誰に責められたわけでもない(というかむしろ褒められている)のに、気づいたらパクリ裁判の判例とかまで調べて全然違う方向に神経使ったりしてて、これはおかしいなと自分でも思い始めます。根が心配症すぎる…もう、頭の中では『神っぽいな』と『なにやってもうまくいかない』が流れ続けてましたね。
フリー台本ってその性質上、他人を巻き込むから自分一人の責任で完結出来ないなってことに気づき始めて、どんどん重責を担っているような気分になっていきました。しかしそんな僕の思いとは裏腹な出来事も起こり始めます。
一人歩きする『フリー素材』としての作品
反応を貰うことが増え、妙に責任感が生まれた僕は概要欄に使用上のルールを明記することにしました。それも他のフリー台本師の方を参考にしつつではあるんだけど、ある程度界隈の常識っぽいのを調べつつ、尚且つ堅苦しくならないように…と気をつけながら
「使用報告はあってもなくても大丈夫です」「著作権は放棄しません」「名前と作品ページのリンクを載せてください」「支援サイトでの有償使用はOKです、単品発売は相談してもらえれば検討します」的なことを書いてまとめたのかな?とにかく必要なことは書いたし一安心…と思ったのですが、そこからぱったりと使用報告が来なくなった。単純に人気が無くなったのかと思いきや、何故か閲覧数やらいいねやら数字はむしろ妙に伸びている…。(どういうことだ…?)と不思議に思いエゴサしてみるも出てこない。そこでエゴサの方法を変えて、自分の名前は入れない、タイトルも全文ではなく単語だけ抽出して検索してみることに。するとまあ何件か出るわけですこれが(笑)。
リンクを貼ってなくて名前だけ載せてくれてるか、名前すら全く載せずにフリー台本とも書いてない様な場合もあるし、タイトルも微妙にアレンジされてていたりするので検索に引っかかり難かったわけですね。まあ要は概要欄に書いたルールなんて無視されてるってこと。内容説明読んで(自分のじゃね…?)ってなって、サンプル音声聴いて(それワシやないかい!)ってなる。
別に怒る気はないんです、自分が「概要欄読めよ!」とか怒る配信者が嫌いだっていうのと「ネットに出したものはどう使われても仕方ない」って時代を生きてきたから。でもやっぱ自分なりに頭を捻って色々調べて苦心してルール決めたわけだから、意図的かどうか知らないけどガン無視されてたら普通に萎えます…。加えて意外だったのが、新人無名の人ならともかく、古参で有名な配信者さんの場合もあって(このご時世どこもかしこも権利関係うるさいのにそんな雑でやっていけるのか!?)ってびっくりしましたね。
販売方法もなんか微妙に特殊で、ファ◯ティアで過去の配信アーカイブを単品販売とか、どう解釈すればいいか判らない形態をとってたり。
なんか守られてないならめんどくせーだけだな、と思って概要欄には「好きに使ってください」的なことだけ書くようにしてみました。そしたら今度はすぐにFA◯ZAでAIイラスト付きで売られてて、確認しに行ったらページが消えて幻になってました。なんなんだ…なんなんだよ一体…
フリー台本やってみてわかったことですが、自分の作品が自分の手を離れて把握出来なくなるってのは非常にモヤモヤします。
自分の作品がどう完成したのか分からない、確認するにはお金が必要で、それも万年金欠無職の僕ではとても出せない高額プランだったりする、それが売れてるのかも分からないし、どういう評価されてるのかも分からない。
規模が全然違うので烏滸がましいですが、以前Vtuberの宝鐘マリンさんが「自分のR−18イラストを見てたら支援サイトでしか差分が見れなくて仕方なく金払って入ったけどモヤモヤした」的な話をしてた記憶があるんですが、その気持ちにちょっと近づいたような気がしました。
(いや嬉しいっちゃ嬉しいし、別にいいんだけど、いいんだけどさぁ…これ自分が関わってるやつだよなぁ…?)的な腑に落ちない感じ。まあこっちはフリー台本なのでファンアートとは根本的に違う話なんですけど。
(こんなモヤモヤするくらいなら、いっそのこと自分で一から誰か声優さんに依頼してディレクションして作品として完成させて販売まで責任持った方がいいのでは…?)と思ってASMR制作の方法を調べてみましたが、すぐに諦めました。そうなると根本から違うというか、引きこもりニートがどうこうできるレベルの話では無くなってくるんですよね、初期投資から継続力まで、何もかも足りていない。そう思うと思いつきで始めただけでも色んな人に見てもらえてたまにサンプル音声まで貰えたフリー台本の世界はコスパ良すぎです、文句言える立場じゃないですね。贅沢言ってごめんなさい…。
というわけで「ニートがえっちな音声台本を書いて投稿したら著作権とか作品販売について少しだけ社会勉強できたかも知れない」という回でした。単純にこの時代にインターネットで創作活動して続けられる人は凄いですね、何よりも行動力の化身になることが重要なのかも知れません。ワイには無理や!
〜fin〜