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【本】「才女気どり」(『モリエール傑作戯曲選集2』モリエール/柴田耕太郎 (翻訳))/鳥影社)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
今日は『モリエール傑作戯曲選集2』より、「才女気どり」を読みました。
最近、モリエールを1作品ずつ、ゆっくり読んでいます。
いま読んでいるのは2巻ですが、1巻の、わりと有名らしい「守銭奴」とか「タルチェフ」も、とても面白かったです。
「才女気どり」をはじめて読みました。喜劇です。
見合い相手の娘に田舎者扱いされて、侮辱された二人の貴族たちが、仕返しにドッキリを仕掛ける話です。
では、あらすじです。
とあるブルジョア男の娘と姪がパリに越してきます。
娘たちはパリの社交界やロマンスへの憧れが強すぎて、父の勧める見合い相手の貴族たちを、侮辱してしまいます。
そこで貴族たちは、それぞれの下僕で、貴族の振る舞いに憧れている優男を選んで、貴族の恰好をさせて、娘たちのところへ会いに行かせます。
娘たちが騙されてうっとりとしたところへ、貴族たちが乗り込んでいって、種明かしをして娘たちを悔しがらせます。
喜劇であることもあいまって、娘たちのワガママ度は確かにひどいのです。
これまでのモリエールに出てくるお嬢さんというものは、愛する人と出会った後は、父親の勧める結婚相手から逃れようと、自分の信念を通していました。
一方、今回の娘たちは、現実には愛する人がいません。いわゆる「恋に恋している」状態です。ある意味、物語のような恋を願うあまりに、恋愛ナシで結婚から始めようとする実直な貴族を見下した態度をとってしまい、その結果としてしっぺ返しを食らうのです。
でもねえ、物語と現実は違う、っていうことを、こうなる前に、彼女らはどうやって学べたものだろうか。それに、わがままなのは、わがままでも構わない生活だったからですよね。
おそらく、相当に鼻持ちならない娘たちが実際にいたからこそ、こんな風刺喜劇が書かれたのでしょうけれど…。
今日読んで考えたのはこんなところです。
■本日の一冊:『モリエール傑作戯曲選集2』 (モリエール/柴田耕太郎 (翻訳)(訳)/鳥影社)