【本】『おちび』(エドワード・ケアリー,古屋 美登里 (翻訳)/東京創元社)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
今日ご紹介するのは、まだ読みかけなのですが、早く続きが読みたくて、じりじりします。ものすごく魅力的な本なので、途中までですが、ご紹介します。
『おちび』は、蝋人形の館で知られるマダム・タッソーの生涯を描いた本です。
ロンドンのマダム・タッソーの館に、一度だけ行ったことがあります。
マネキン人形に慣れていた私は正直なところ、それほど感動しなかったのですが、印象的だったのが、ルイ16世の一家の蝋人形の展示の前で、外国人たちが、「こんな幼い王子たちが、処刑されて不憫だ」というようなことを口々に言い合っていたことです。
王子たちは美しい服を着ていて、とても可愛らしくあどけない表情をしていました。
さて、この本の面白いところは、語り手である女の子の鋭い観察が、ものすごく徹底している様子を、文章を通して一緒に体験できるところです。
それでまた、この女の子の見るものが大変なものばかりなのです。
時代はフランス革命前の動乱の時代で、ずっと戦争で家にいなかった父親が大砲の大事故で大怪我をして、いわゆる人体の輪郭を破壊された姿になって帰ってくる場面があります。
そんな父親を眺めているのに、怖い・辛い・悲しいといった感情よりも、観察する本能のようなものが前にのめっている語り手の言葉は、不思議で驚きで怖いもの見たさのようなスリルもあって、そこのところだけでも興味深いのに、物語としてはまだまだ序盤です。
この父親は事故の後遺症に苦しんだ末に亡くなります。
それから母親と女の子は、住む家を求めて、とある家に住み込みで奉公します。
実は、その家の主人は、彼女の人生を決定づける、とある作業に取り組んでいました…。
よかったら、ぜひ読んでみてください♪
■本日の一冊:『おちび』(エドワード・ケアリー,古屋 美登里 (翻訳)/東京創元社)