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【本】『対談 文学の戦後』 (鮎川 信夫、吉本 隆明/講談社文芸文庫)

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

今日は『対談 文学の戦後』 (鮎川 信夫、吉本 隆明/講談社文芸文庫)を再読したので、この本についてまとめます。

最初に読んだときには、吉本隆明の名前だけ何となく知っていて、「鮎川 信夫って、だーれー?」って位に、わたしは無知でした。そして、対談形式ならば、文学史の本を読むよりもラクなのかもしれない、といった下心もありました。

でもね、文学史上の人物の名前や、事件の名前が分からないまま読むと、対談の主たちが、何について問題だと思っていて、その話題を選んでいるのか? ってことが全然見えてこないものです。ただ読み通しただけでした。

今回の再読は、最近、北村太郎のエッセイなどを読んで鮎川信夫に興味が出てきたからです。前に比べると知識が増えてきているので、ちょっとわかりやすくなりました。
鮎川信夫は説明するのが上手だなぁと感心しつつ、分かればわかったで、新たな謎が。

・うさんくさいと感じる感性
・「近代文学」の人たち?

・例えば、対談の二人は、江藤淳や、収容所群島の話をしているのですが、これが文学的表現の話をしているのか、政治的態度の話をしているのか、見えなくなります。

・江藤淳は、占領下の検閲について本を書いた人と思います。
 その検閲を戦時中に比べれば大したことはないという対談でした。どこまで悪を許容するかと言う話にも取れます。多くの人が収容所群島を読んでいないとお二人が非難しているその収容所群島を読めば何かが見えてくるのかもしれませんが。

・累卵(るいらん)の危うき:物事が非常に不安定で、きわめて危険な状態にあること
・大岡昇平が捕虜になったことに批判的な二人「生きて虜囚(りょしゅう)の辱めを受けず」
・鮎川の「起こらなかったことに補助線をひかないと」という視点
 ・自分が生きなかった人生の向こう側にも自分の人生があったかもしれないという予感が強い問いをする大岡昇平は面白いという
・薪雑把(まきざっぽう)でニュアンスなしで考えすぎている
・鮎川は「荒地」は、長生きした罰が回ってきた。過去の伝統的なものに似てきてしまった、とは言うものの、やっぱり媒体にした言葉や観念は既成の「四季」派とは違うと力説する。
・「四季」派?
・吉本のいう「つかの間のきらめき」
・『真空地帯』(野間宏)は、軍隊を風俗的に書き残した珍しい作品。
・戦前の軍隊は、知識人と大衆の最も露わな接点だった。
・「裁判というもの自体が大体勝者が敗者を裁くのがあたりまえ」(鮎川)
・カミュがソ連の強制収容所のことを持ちだすと、サルトルは…
・誰も読んでいない「収容所群島」。福田恆存(つねあり)はそれを読まなくたってわかってた。」
・戦争中の生産文学
・島尾敏雄『死の棘』と吉行淳之介の『夕暮まで』病妻物と呼ばれるジャンルについて「それは日本的な「収容所群島」なんじゃないですか」(吉本)
・受け身のプレジャー
・カウンターカルチャーでもそのまま受け入れたら


■本日の一冊:『対談 文学の戦後』 (鮎川 信夫、吉本 隆明/講談社文芸文庫)

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