【本】パフィンちゃん どこにいるの? スケリッグ島のぼうけん (エリカ・マッギャン、ジェリー・デイリー、ショーン・デイリー、寺田 伸一/鳥影社)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
ここのところずっと、アイルランド人作家のジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を読んできましたので、今日はアイルランドつながりで、かわいらしい絵本をご紹介します。
実際にこの絵本を手に取ると、表紙に「パフィンちゃん」と思われるひな鳥がいます。
正面の顔はペンギンにも似た感じで、絵本を手に持った角度によって、青い目がキラキラ反射します。
読み終えてから改めてこの表紙を見ると、いつもこんな顔して、好奇心いっぱいの子なのよね、と思い出して、また繰り返して読みたくなってきます。
主人公のパフィンちゃんは、ニシツノメドリの女の子です。
好奇心いっぱいで、ものおじせずにどこまでも一人で遊びに行ってしまいます。心配したパパとママが、パフィンちゃんをあちこちさがしまわるお話です。
元気いっぱいの絵が、気持ちを明るくしてくれます。
絵だけではなく、物語も素敵だなと思った理由が二つあります。
一つは、パフィンちゃんが行く先々で出会った動物たちを助けてあげていて、動物たちの方も、パフィンちゃんが困ったら躊躇なく助けているところです。老若男女も、陸海も、身体の大小も関係なく、助け合う姿に、心が温まります。
もう一つは、パフィンちゃんの両親が決してパフィンちゃんを叱らないことです。心底から心配して探し回ったとしても、パフィンちゃんが見つかれば、無事だったことを喜びこそすれ、叱りつけたり、冒険を禁じたりしている様子が全く無いことです。
その証拠に、パパとママに守られて眠るパフィンちゃんは、懲りていません。次の朝も、またきっと、パパとママが目を離した隙に、堂々と冒険にでかけてゆくことでしょう。
そして、パフィンちゃんがどこへ行こうとも、周りで暮らすさまざまな動物たちがパフィンちゃんをあたたかく見守っていることでしょう。そうやって、パフィンちゃんはずっと安全に冒険をつづけてゆくだろうことが伝わってくる物語です。
物語の舞台スケリッグ島は、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』など、ジェダイの騎士が隠遁生活を送るシーンのロケ地につかわれたのだそうです。
表紙にも描かれている石のドームは初期キリスト教修道院跡だそうです。写真で見る石のドームもとても素敵です。
『ユリシーズ』はアイルランドの都市・ダブリンを描写しています。同じアイルランドでも、この絵本から、自然が豊かに残っていて、古い遺跡もあるスケリッグ島を知ることができました。いつか行ってみたい場所になりました。
■本日の一冊:『パフィンちゃん どこにいるの? スケリッグ島のぼうけん』(エリカ・マッギャン、ジェリー・デイリー、ショーン・デイリー、寺田 伸一/鳥影社)