【本】「泣いた赤おに」ー『浜田広介童話集』(新潮文庫)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
父の本棚を掃除をしていたら、新潮文庫の古い童話集が出てきました。子どもの頃コッソリ借りて読んだ覚えがあります。とくに好きだったのが「泣いた赤おに」です。
子どもの頃から、何度読んでも納得いかない話なのです。
なぜ、赤鬼は人間と仲良くなりたかったのでしょう?
青鬼の優しさに、なぜ赤鬼は気が付かなかったのでしょう?
「水くさいことをいうなよ。
なにか、ひとつの目ぼしい事をやりとげるには、どこかでか、いたい思いか、そんをしなくちゃならないさ。
だれかが、ぎぜいに、身がわりに、なるのでなくちゃ、できないさ。」
なんとなく、ものがなしげな目つきを見せて、青おには、でも、あっさりと、いいました。
ご存知の方が多いとは思いますが、ざっくりあらすじを書きます。
・人間と友だちになりたい赤鬼は、親友の青鬼に相談します。
・自分がわざと人間の家で暴れてみせよう、と青鬼が言います。そこへ赤鬼が現れて、暴れる青鬼を懲らしめる様子を見たら、人間は赤鬼を良い鬼だと信じてくれるだろう、と言うのです。
・青鬼の言うとおり、人間の見ている前で、暴れる青鬼を退治してみせた赤鬼は、望み通り人間と仲良くなれました。
・しばらくして、赤鬼は青鬼が全く遊びに来なくなってしまったと気が付き、青鬼の家に遊びに行きました。
・青鬼の家には、赤鬼にあてた手紙だけが残されていました…。
子どものころ、これを読んで、青鬼はどんだけ赤鬼が好きだったんだよ! と、青鬼の優しさを理解できないまま、人間と仲良くしたがる、にぶい赤鬼に腹を立てました。
目先の策略や嘘は、だめだ、と思いました。
とくに、赤鬼が人間と仲良くなりたいと思う理由や、真剣さが、あまり伝わってこないのがとても気になりました。
人間は鬼の姿を見ただけで怖がって逃げていきます。赤鬼の心の優しさに気が付きやしません。そんなのとどうして赤鬼は仲良くしたいと思ったのでしょう?
私が、青鬼の友だちなら、青鬼にこう言います。
赤鬼を喜ばせたい気持ちはわかるけど、いそがないで。いつか、鬼たちの力を必要とされる時が来るのを待ちましょうよ。
しかるべき時が来たら、赤鬼と青鬼で力を合わせて、ぜひ人間を助けてあげてください。そうしたら赤鬼も青鬼も一緒に人間と仲良くなれる、かもしれません。あるいは、そこまで助けてあげても、人間は相変わらずあなたたちを受け入れないかもしれませんけれどね。やってみないとわかりませんよね。
だから、それまでは、二人で仲良く遊んでいてくださいな。
■本日の一冊:『泣いた赤おに 浜田ひろすけ童話集』(浜田 広介 (著)/ patty (イラスト)/角川つばさ文庫)
※今回ご紹介した、新潮社文庫の本は、扱いが無い様子だったので、手に入りやすそうな角川つばさ文庫をご紹介します。