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枯れる

港の見える丘公園にて。

秋のバラが美しい。

春に公園の花壇を賑わせていたバラが、夏の暑さを乗り越えて、再び秋に花を咲かせる。

自宅のまわりにバラを咲かせてみたいと思って、たくさん植えたことがある。本を読んで勉強して、苗木を吟味して、何本も植えてみた。

今は一本も残っていない。

枯れたのだ。


花屋の店先では、一年中バラが美しい。

重なる花びらが目を引くし、欲しくなる。自分のものにしたくなる。それで何度も、バラを買った。

そして同じ間違いを繰り返した。

枯れたのだ。


バラは枯れる。美しいから、ずっと見ていたいけれど、早くも、遅くも、枯れていく。

そんな当たり前のことが受け入れられず、心を曇らす。

縁がなかったとか、相性が悪いとか、理由をつけて拒絶する。

枯れるのは、当たり前のことなのに。

自分もいつか枯れるのに。


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