【日本語訳】Jack and the Beanstalk(ジャックと豆の木)
みなさんは、『Project Gutenberg』というサイトをご存知ですか?
著作権切れとなった英語の古典作品を紹介しているフリーサイトです。
作品は無料で公開されており、PDFやKindle、iBooksでも読むことができます。
こちらでは、約7万冊以上の作品が公開されているようです。
今回は、その中から『Jack and the Beanstalk(ジャックと豆の木)』の原文と日本語訳を紹介します。
『ジャックと豆の木』は「ジャックの小枝と魔法の豆」として 1734年に初めて出版されました。挿絵はフローラ・アニー・スティールの「イングリッシュ・フェアリーテイル」内にて再版された、アンサー・ラックハムによる1918年出版のものです。
今作はラストの締めくくりが何とも外国の童話らしい「ひえっ」とします‥.(笑)。
作品名は知っているけど読んだことのない方、一度読んだことはあるものの、内容がぼんやりとしてしまっている方、、どのようなものだったか、ぜひ確かめてみてください(^^)
むかしむかしあるところに、貧しい生活をしている未亡人がいました。彼女には息子のジャックがいて、一緒に住んでいました。
ある日、彼女は息子に「わが家に一頭だけ残っている牛を街で売ってきておくれ。」と言いました。それを聞いたジャックは市場へ行こうと家を出ました。すると道を歩いている途中で「その牛を買いたい」と言うおじいさんに会いました。ジャックはそのおじさんに「この牛と交換で何をくれるんだい?」と尋ねました。そのおじさんは「そうだな、魔法の豆を5つ渡すよ。」と言いました。それを聞いたジャックは、おじさんから魔法の豆を受け取って、自分の牛を差し出しました。
家に帰ったジャックはお母さんに、道で出会ったおじさんと、牛と魔法の豆を交換したことを伝えました。すると、彼の母親は激怒して「お前はばかだね!おじさんはただの豆をいくつか渡して逃げたに違いないよ!」と言いました。そうして、窓を開けて豆を投げ捨てました。それを見たジャックはとても悲しくなって、夕食を一口も食べずに眠りにつきました。
次の日、ジャックが朝目覚めて窓の外を見ると、なんと、おじいさんからもらった魔法の豆が巨大な豆の木になっているではありませんか!
ジャックが早速豆の木に登ってみると、空の王国にたどりつきました。そこには巨人とその妻が住んでいました。ジャックはその夫婦の家のそばに行ってみると、キッチンに巨人の妻がいるのを見かけました。
ジャックは言いました。
「ぼくに何か食べるものをくれませんか?僕はお腹がぺこぺこなんです!」
すると、その優しい妻はジャックにパンとミルクを何杯か出してくれました。
ジャックがそのパンを食べていると、巨人が家に帰ってきました。巨人はとても大きくて、何とも恐ろしい顔つきをしていました。ジャックは怖くなって飛び出し、家の影に隠れました。
すると巨人は泣き出して言いました。
「フィーフィーフォーファム、人間の血のにおいがするぞ。そいつが生きていようと死んでいようと、俺はそいつの骨を粉々にかみ砕いて、俺の血にしてやるぞ!」
巨人の妻は言いました。
「ここにはそんな少年はいないわ!」
すると、その巨人はご飯をたいらげて自分の部屋に戻りました。
巨人は自分の部屋に戻ると、金貨が入った袋を取り出して金貨の数を数え、自分のそばに置いておき、そのまま眠りにつきました。夜になると、ジャックは隠れていた場所から腹ばいになって抜け出し、金貨の入った袋を拾いました。そしてそのまま豆の木を降り、自分の家に帰りました。ジャックがその金貨を母親に渡すと、母親はとても喜び、2人はその金貨でしばらく豊かな生活を送りました。
「ジャックと豆の木、フィーフィーフォーファム!」
ジャックは再び豆の木に登り、巨人の家に行きました。そうして、再び巨人の妻に尋ねました。
「ぼくに何か食べるものをくれませんか?」
しかし、今度はジャックが食事をしている間に巨人が帰ってきたのです。
ジャックは驚いて飛び出し、ベッドの下に隠れました。
すると、巨人は泣き出しました。
「フィーフィーフォーファム、人間の血のにおいがするぞ。そいつが生きていようと死んでいようと、俺はそいつの骨を粉々にかみ砕いて、俺の血にしてやるぞ!」
妻は言いました。
「ここにはそんな少年はいないわ!」
それを聞いた巨人はご飯を食べて、ひとまず自分の部屋に戻りました。
そして、飼っているめんどりを拾い上げて叫びました。
「産め!」
すると次の日の朝、めんどりは金の卵を産みました。
その時巨人はまだ眠っていたので、ジャックはめんどりを抱き上げ、そのまま豆の木を降りて行きました。
ジャックの母は大喜びでした。
それから何日か経って、ジャックは再び豆の木に登り、巨人の住むお城に行きました。そしてこれまでと同じように巨人の妻に会い、何か食べ物がほしいと尋ねました。巨人の妻はそれを聞いて、パンとミルクを再び出しました。
しかし、ジャックが食事をしている間に、巨人が家に帰ってきました。
「フィーフィーフォーファム、人間の血のにおいがするぞ。そいつが生きていようと死んでいようと、俺はそいつの骨を粉々にかみ砕いて、俺の血にしてやるぞ!」
巨人は泣き出しました。
すると妻は言いました。
「ばかなことを言わないで!そんな少年はここにはいないの!」
巨人は、美しい音色の出せる魔法のハープを持っていました。
あるときジャックは、巨人が寝ている間にそのハープを持ち出そうと考えました。
そして、実際にハープを手にして部屋を出ようとした、その時です。突然、魔法のハープが泣き出したのです。
「助けて、ご主人様!少年が私を盗み出そうとしているわ!」
すると巨人は飛び起きて、ジャックがハープを盗み出そうとしているのを見ました。
激怒した巨人はジャックを追いかけ回しました。しかし、ジャックは巨人より足が速く、なかなか捕まりません。
ジャックは空の王国を駆け抜けて、豆の木を降りて行き、自分の家まで辿り着きました。巨人もそれを追いかけて豆の木を降りて行きました。それを見たジャックは急いで家の中に入り、斧を持ちました。そして、ジャックは豆の木を切り始めました。
巨人はそのまま落ちて死にました。
そして今、ジャックとジャックの母はとても裕福な暮らしをして、その後もずっと幸せな生活を送りましたとさ。
どうでしたか?
巨人のラストが何とも辛辣かつリアルで残酷ですね、、、
原文では「The giant fell and died.」となっていたので、あえてそのまま直訳してみました。
こういった「子どもにも現実に「死」があることを伝える」というのは、外国童話ならでは、な気もします。
ほかの作品はどうでしょうか。
また色々と読んでみたいと思います(^^)
それでは!