「▲三間穴熊vs△袖飛車(トマホーク)」という謎の戦型
1.
今回は端の攻防がテーマである。上図では▲18香と既に上がっているので、△44角に代えてトマホークらしく△13桂としてもいいのだが、先手後手関係なく使えるのと実戦で応用が利きやすいのは前者なのでこちらを中心に話を進めたい。タイトル詐欺とは言わないのは私との約束だ。いいね?(こいなぎボイス)
それはさておき早くも後手は袖飛車を放棄した。袖飛車にする意味あったの?との疑問は痛い程分かるが、銀対抗に誘導出来た場合は△12飛としても▲75歩からの捌きが成立しないのでする意義はあったといえる。
先手はもう一手だけ自陣に手を入れて5筋に争点を求めるが、それを間に合わせない△16歩~16同飛が強手。後手の飛車と香の位置が逆なので、よくある数の攻めの△17桂成▲同銀△同角成▲同香△16歩…は以下▲同香△同飛▲17歩打で一旦後手を引くのが気になる(一応これも選んでも良い変化)。
2.
先手が少し手を変えて▲57銀(上図)と角交換を迫るとどうなるか? 数手進めた下図をじっくり見ると、先手が思ったより困っているように見える。
次の△44角や△35角から端の殺到が目に見えているので、それらを先受けするとしたら▲66銀か▲66角だ。ここからは色々あるが△72金~73桂~65桂or65銀をベースに好きなタイミングで端から手をつけていくのが良さそう。後手不満なしの展開だと思う。
次はノーマル三間穴熊の場合を見ていく。基本的に袖飛車は前述のように△44角~33桂を主軸に組み立てる。途中で▲56銀~45銀の筋や65歩等の駆け引き要素が増え難しくなるが、そうなると三間穴熊に組むという話ではなくなってくるので穴熊を阻止したという袖飛車の主張は通った事になる。
下図のように組めれば、それ以降の変化は銀対抗の時とほぼ同じになるので、穴熊に組む前の駆け引きを中心に話を進める。
3.
穴熊に組む前に▲56銀と様子見するが、それでも△33桂と跳ねる。相手の動きを察知し更に損の無い手待ちで▲46歩と突くが、それを踏まえた上で△12飛と回る。
上図で穴熊に組み人はいないだろう。ここは先手も手が広く、またそれに対する後手も同じくらい手が広い。ただ、後手は困ったら△25桂で打開できるので考える事は少ない。
横道に逸れるが、①▲65歩②▲75歩③▲38銀④▲38玉について簡単に私見を述べる。
4.①▲65歩
5.②▲75歩
6.③▲38銀
7.④▲38玉
8.
かなり前に戻って、▲67銀型のまま角交換を狙われる時もある。
これは普通に指しても通常の角交換振り飛車に比べてかなり楽ではないかと思う。しかしこれでも袖飛車側はトマホークを目指せる。
これは後手の主張が目立つ展開。
上図から一例として、次のように無理矢理こじ開けて攻める事もできる。
(△25桂より)▲26角△17桂成▲同角△同角成▲同玉△16歩▲28玉△17角(下図)
9.
最後に下図のように角道オープンのまま穴熊を目指してくる人が稀にいるが、これも同様にいつもの形を目指してよい。
10.
雑感的なもの。
色々長くなってしまった。袖飛車は三者一様で色んな指し方があり、これはその一つである。はまる人にはトコトンはまる、そんな戦法だと思っている。まあ出現率がかなり低いのがネックだが…(穴熊党が少ない上に、彼らの多くが端を警戒して穴熊ではなく金無双にする印象)。
なお、「三間穴熊じゃない」「袖飛車でもない」「トマホークですらない」というクレームは一切受け付けておりません。