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袖飛車対策の引き角雁木に早仕掛けは成立するか問題【先手番限定】
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多分上の局面が一番(出現頻度が)多いと思います。
今回は先手袖飛車の速攻がテーマ。引き角雁木をやる人は普通は居飛車党で△84歩~85歩を決めてくるので、二手目△54歩や△32銀のように相手が袖飛車党だからと決め打ちで指してくる人は考慮していない。
引き角雁木って何?という方は、彼のツイートを見ると一目で分かるだろう。角を好位置に据え自陣は4枚雁木の鉄壁。袖飛車はこの形を目指してはいけない。
ソフトの袖飛車対策として多分これが一番有名なんだけど、袖飛車の攻めの形に組んで駒ぶつかってない状態で400点弱悪いのさすがに泣けてくるーーー
— おじゃる丸 (@kousotunoyose) March 11, 2023
3切れだと攻めまくって勝てたりするけど、もうそろ対策考えないとマズいな... pic.twitter.com/boCesUGg66
さて、本譜の話を進めていこう。手順中に後手は構わず△31角と引いたが引き角雁木に拘るなら今しかない。代えて△86歩は▲同歩△同飛▲34歩で当初の目論見から外れてしまう。後手の狙いである△86歩~同角~64角とスピード勝負が始まった。
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以下△同銀▲同龍で一つ目の分岐点に入る。
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ここで、△同桂は①▲同馬△42角▲77馬△64角▲37歩で二枚替え+馬で戦える。また②▲同馬△62玉▲86歩△同角▲77桂△64角▲84歩打の進行は要研究だがこれも先手がペースを握っている。
よって△87歩成を選択する事になるが、ここで▲38龍(下図)が知っていないと指せない手。駒損の代償に龍を作ったのが先手の主張ポイントだ。
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ここから変化がかなり増えていくので後は力勝負といった所になる。△88と、△78と、△86角、△37歩と候補手が山ほどあり、いずれも難しいが先手は当初の狙い通り乱戦に持ち込むことに成功したので不満はない。龍の価値をどう捉えるかによって形勢判断が分かれると思う。
ここでは△78と、△86角の二つに絞って変化手順を見ていく。
1.△78と
これには▲同龍△87金▲11角成(下図)進む。
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△同飛▲86歩(⁉)△82飛▲21馬…で持ち駒が豊富な先手が勝ちやすそうに見える。
2.△86角
▲69玉△88と▲同銀△64角▲28銀△86歩▲77桂(下図)と進む。△88とに代えて△78とは▲同龍とする。
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形勢は後手がやや良いのだがこの乱戦では誤差と同じである。端から開戦していくのだが、この後▲59玉と寄ったり▲99銀打(下図)としたりよく分からない。これも要研究である。
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「助からないと思っても助かっている」
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後書き的な何か。
他にも気になる、というより面白い変化が結構見つかったのだがそれは各個人の研究に任せるとする。これは正直研究のコスパが良いとはいえないので(対振り飛車の研究に時間を割いた方が断然良い)、真剣に変化を掘り下げるのではなく趣味として楽しむ程度に軽く触れておくぐらいで良いと思う。
今回は先手番限定の仕掛けについて取り上げたが、下図のように後手番でも指せなくもない。ただ、初手の関係や他の作戦と合流できるのか、横歩取られて大丈夫なのか、角交換型は…と問題が山積みで放置している。
まあ、諸問題の解決は後継者に任せるとしよう──
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ここで▲66歩パックマンは無視して△76歩と指す。