【映画レビュー】スクリーン映えがハンパない!アニメ映画『カラミティ』の感想
本日初日を迎えたタイミングで行ってきましたよー、『カラミティ』。
珍しく早めのレビューやっていきます。
頑張れマーサ・ジェーン!『カラミティ』のざっくりとした感想
大阪で唯一、全国公開日と同時に上映してくれている梅田ブルク7さんの昼の回で観てきました。
カラミティ
制作年:2020 / 制作国:フランス・デンマーク
監督:レミ・シャイエ
アメリカ西部開拓時代の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの少女時代を描いた長編アニメーション。『ロング・ウェイ・ノース地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作で、2020年のアヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞を受賞しているお墨付きの映画となっています。
私は英語版をオンラインの映画祭で観たきりで、セリフの内容を追いきれていない部分もあったので、日本語で観れるのを楽しみにしていました。
というわけで早速、『カラミティ』の吹き替え版を観てきました。
観てきた感想をざっくり一言で言うと......
傑作!
映画祭のオンラインで観た時の数倍良くて、私の中で評価がガツンと上がりましたよ!
女性は女性らしくが強いられる中、意地でもおとなしく従わない故に、煙たがれる主人公マーサ・ジェーン。そんな彼女が、不運も幸運も引っくるめて事態を好転に向かわせるストーリーに、強くポジティブなエネルギーを感じました。
もっと詳しい感想を書いていきますね。
そりゃ綺麗だよ!圧巻の背景美術
画像引用:https://twitter.com/IncRiskit/status/1439511292847349767
本作、まずなんといっても背景美術が素敵すぎる。
公式サイトや公式Twitterアカウントなどで散々スクリーンショットを見せてくれているので「どうせ綺麗なんでしょ」とわかっていながらも、改めてスクリーンで観た時の感動は桁違い。
PCやスマホで美術を見た時と、自分よりもはるかに大きいスクリーンで見た時での破壊力の差は歴然。絵自体が持つ情報量みたいなものの質量をそのまま身体で浴びるような体験になって、想像以上の感動がありました。
また、映像で観られるのがまた良い。
広い大地の中で小さく映るマーサや、微細に動く草木などを観ると、より自然の雄大さを生きたまま感じられるようで、体験の度合いが違います。
レミ・シャイエ監督の前作、『ロング・ウェイ・ノース』でも感じましたが、やはり映画館で観るとしっかり破壊力が倍増する映画ですよ、『カラミティ』は。
意地や嘘、決して綺麗じゃないかもしれないけど強い!
ストーリーも、改めて日本語で体験することで追いきれていなかった部分も含め、落ち着いて観れて印象が変わりました。
アフガニスタンがタリバンに制圧されて、昨今さらに女性への抑圧に対して考えさせられるタイミングで本作を観れたのも個人的には印象強く感じました。今以上に、女性に対する「こうあるべき」が強かった時代に、意地でも自分を貫こうとするマーサの強さは、こんな時代だからこそよりパワーを感じます。
西部開拓時代というのも、シチュエーションとして効いてます。
今後のマーサの未来が物語同様開けて感じられるのが、素敵です。
画像引用:https://twitter.com/IncRiskit/status/1439511292847349767
『アーヤと魔女』でも描かれたような“強かさ”描写も魅力的。
周囲から、こうあるべきと強いられても、意地でも屈しない姿は強く写りました。
マーサだけでなく、強く魅力的に感じたのが、マーサを旅立たせるきっかけとなるサムソン少尉。彼のキャラクターがまた良い。
マーサのことを肯定してくれる一方で、いざという時に強く言い返したりできなかったり、実はサムソン少尉にも大きな嘘を持っていたりと、良い人にも悪い人にも見えるニュートラルな按配が本当に人間臭くて、愛おしかったです。
『カラミティ』のキャラクター陣って変に良いやつにも悪い人にも偏っていないところがまた良いです。マーサも、マーサのライバルのイーサンも、なんなら大人たちも「そんな意地悪しなくてもいいのに」みたいな煽り方をするんだけど、やっぱりいつ何時でも良い人然としていられないところこそ人間です。
そんな中だからこそ、ここぞというタイミングで登場人物の“良い人”の部分が出てくると、グッとくるわけで。この映画の中に点在するいろんな嘘が明らかになるシーンで、サムソン少尉の嘘が明らかになる“あのシーン”で、ふと見せるサムソン少尉の優しさと弱さは、強く親近感を覚えて、なんだか染みました。
日本版ローカライズがGJすぎる!
また日本語で体験できるのを待っていた身としては、ローカライズしてくれたことにいつも以上に感謝を感じるとともに、吹替との相性の良い映画だということを強く感じました。
字幕はどうしても文字に目が行ってしまうので、綺麗な背景を浴びるように観るのを推奨する本作には、吹替版が最適です。
『マロナの幻想的な物語り』の“通行人”役からの大抜擢というマーサ役の福山さんもすごく良かったです。マーサを愛嬌のある人物に見せてくれて、映画祭で観た際に感じた生意気ぶりをポップに抑えてくれる感ジがいいです。
そしてびっくりしたのが、まさかの日本版EDソングですよ。
上映以前から、『カラミティ』のテーマソングは聞いていて、「この曲すごく良いよなぁ」と思いながら、映画館でこのテーマソングを聞けるのも楽しみの一つだったのですが、日本語歌詞が乗ってきてびっくり!ここまでローカライズしてくれるんだ!という驚きと感動がありました。
『カラミティ』、吹替と字幕で比較鑑賞のしがいもある映画という意味でもオススメです。
祝日ということもあってか、初日の昼の回でも結構席が埋まっていたのも嬉しい話。アヌシーのクリスタル賞受賞作が、こうして一年ぐらいのスパンでも日本上映されて、しかもそれなりに賑わうスクリーンで楽しめるのは、アニメーション映画界隈としても良い時代がきてる感じが来て嬉しいです。
『カラミティ』、今後もどんどん多くの人に見てもらえたら嬉しいです。
今期の推しですよ、推し。
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