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【注目】『はじめの一歩』の森川ジョージ先生によるXでの著作権に関する一件
アニメーション映画の話題ではないのですが、アニメーション界隈にまで踏み込んだ話題となっているので紹介。
■事の発端
『はじめの一歩』で知られる漫画家の森川ジョージ先生が2023年10月18日(木)に以下のような投稿をXに投稿しております。
海外のファンの方から一歩のコレクション自慢の投稿が届きました。 とてもありがたく見ていましたが中央に鎮座するカラー色紙が自分の描いたものではない。
自身の名前がサインとして入っているので誰が描いたかは特定できます。 有償で渡した可能性もあり大変憤慨しています。 偽サイン等がオークションで出回っている昨今、それらの犯行を増長させることにも繋がりかねません。 海外で適用されるものかはわかりませんが、こう言いたい。
アンタも日本の絵描きならルールは守れよ。
写真は先方のものなので公開はしません。 イラストは自分のアニメの原画担当もしてくれた人なので確かにクオリティは高い。
しかし2010年代のものなので今に至るまで一歩以外を含めて複数やっている可能性がある。
もうやめた方がいいよ。
要は海外のファンが送ってくれた写真に写っていたサインが、自身の書いたものではなかったというもの。
無関係な人間が、本物のサインを装って販売する例も横行していることから注意喚起も含めての警鐘の意図があっての投稿だったようですが、やや物議を醸しています。
それは、そのサインが『はじめの一歩』にも参加していたアニメーターが、アニメーターとしてサインをしていたものだったせいです。
「それは本物を装ったサインとはまた違うよね?」
という指摘などが上がっています。
■実は補足が必要な話
で、実はその後にスペースを実施。
投稿に関する補足などもその中で述べられていました(↓)
— 森川ジョージ (@WANPOWANWAN) October 18, 2023
現在は聞くことができないので、補足として抜粋した方がいい内容を挙げておくと……
●そのサインをしたアニメーターのことを森川先生は認知している
●以前そのアニメーターが森川先生に対して攻撃的な発言をしていた
●自身に悪態をついてきたような人が『はじめの一歩』のイラストでサインを書く(しかももしかしたら有償かもしれない)のが許せない
●事前に出版社等に許諾申請し承認されていたならなんの問題もないが今回の件は知らなかった
ということで、実は結構特定の個人に対する文句であったことを話されていました。
ただ、その書き方からアニメーターが自身の参加したアニメーションのキャラクターの絵をサインに描くのはアウトか?という話に踏み込んでしまい、ややアニメ業界側が「ん?」と眉をひそめる反応を生んでしまっています。
ちなみにそのサインのイラストも原作よりもアニメーション寄りのイラストだったそうなので余計に悩ましいです。
■アニメーターのサインはコミコンあるある
ちなみにまさに海外では特に「あるある」なのですが、日本のアニメーターのコミッションなどが海外のコミコンなどで行われ、ファンが“アニメーションの絵をサインに求める”という例は全然ある話。
今回のサインももしかしたらファンに頼まれて、アニメーターさんが応える形で生まれたサインなんじゃないの?
と思うと、あまり咎めきれない話です。
■著作権的にはアウトなのはわかってる……
もちろん著作権的にアウトだよね?って言ったらアウトなんですが、本件についてはそれを言い出して解決させたい話じゃないのは森川先生も承知している通り。
スペース内でも言及してましたが、『ラブひな』などの赤松健先生と一緒に、二次創作文化を守る側として森川先生も活動していた通りで、なにも二次創作活動を否定しようという投稿ではなかったことも述べていました。
森川先生は二次創作文化に対して攻撃する意図の投稿じゃなかったことを、我々もわかっておきたい部分でもあります。
■気になるアニメーターのサイン問題
ただ、同時にスペース内の質問に答える形で
アニメーターが自身の参加したアニメの絵を求められたらなにを描くべきか?
という問いに対して、スペースに参加していた双龍先生(漫画『こういうのがいい』の作者)に回答を委ねる形で返答しており、アニメーター自身のオリジナルのエンブレムであったりキャラクターを描たらいいんじゃないか、という結論に至っていたのはややモヤっとするところ。
原作者としては複雑でしょうが、アニメーターさんの描いた絵が好きなファンも居ますからね。
作者であるがゆえに、アニメーターさんに「自由に描いていいよ」なんて言えないに決まってはいるので、「描いていい」という結論に至らなかったのは仕方ないとはいえ、それでもアニメーターが自身の参加したアニメーションのキャラクターをサインに描く行為に対して「否」を突きつけた瞬間に感じて、結構ショックでした。
私はそれもグレーゾーンとして置いておくべきだと思うんですけどね。
■アニメーターさんを萎縮させる行為になってしまっている
また、本件はアニメーター側を萎縮させる行為になってしまってるのがなお悲しい話。
最近はアニメーションの制作に参加したアニメーターが、実際に仕事で使ったカットをXなどに投稿できない分、ちょっとしたファンイラストを添えて、参加を報告するなんてことも多々あります。
ああいった二次創作が好きな方なので、今回のツイートがそれを止めさせるきっかけにならないかはやや不安。
“許可も取っていないのに、仕事以外で版権絵を描くなよ”
という正論は、特定のアニメーターに対する文句で片付けられない、原作者が放つと厄介な言及だった、ように思います。
そんな感じで現在、各所で話題が広がっている森川ジョージ先生の言及。
もしかするとまだまだ波及していくかもしれません。
■「アニメーターが勝手に描くな」話は今回が初じゃない
ちなみに原作者とアニメーターのいざこざについては前例もあるので、アニメーターの湖川友謙さんと漫画家・松本零士先生の事件を思い出した人も多いのではないでしょうか。
知らない人のために本件と併せて紹介します。
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□アニメーター・湖川友謙さんとは?
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