この物語は実話に基づいたフィクションです

あれは2014年後半か2015年前半、僕が偶ドロのヲタクだった時のことだ。
ある日のライブの最前に、今まで見たことない小学生くらいの女の子がいた。「この年齢で偶ドロ見に来るとかどんな頭おかしいやつだよ…」とドン引きして見ていた僕であるが、その女子小学生を見て興奮していた某ロリコンヲタク(今現在も大変仲良くさせていただいております)に「捕まるから絶対触ったりしないでよ…?」と冷静に釘を刺したのをよく覚えている。なんならすでに触ってたのかもしれないけど、あの人…
後から聞いた話だけど、物販のシステムがよくわからず困っていたその女の子をごっちさんが世話してあげたらしい。無事にチェキ券を買えたその子は零ちゃんとチェキを撮って帰ったそうだ。礼儀正しい明るい子だったと聞いた。

それから2年弱経ったある日、僕はやはり偶ドロを見るため横浜へ向かっていた。今は亡き懐かしのイベント『ENIGMA』である(白目)
ハコに着くと、すでに中にいたごっちさんから2ショットチェキを見せられた。「前に偶ドロ見に来た小学生の女の子いたでしょ?あの子がジュニアアイドルグループに入ったらしくて、さっき呼び止められてチェキ撮ったんだ」と。僕は「ああ、そんな子いたなあ」くらいの感想しかなくて、特に気に留めることもなくその話を終えた。

それからさらに1年以上経った2018年初頭のある日のこと。当時の僕はイベンターの真似事みたいなことをしていて、自分主催のアイドルイベントをいくつか行っていた。別に半ヲタになりたかったわけでもなんでもなく、ただソロアイドルである自分の推しにライブできる場を作ってあげたい一心だったのだ。当時ソロが出られるイベントが極端に減っていたからね。
その日は前から借りたいと思っていたハコを知人経由で使わせてもらえることになっていた。リハーサルが始まると、ハコのスタッフさん(謎に長身イケメン)がめちゃくちゃ音にこだわって入念なサウンドチェックをしていて驚かされたのをよく覚えている。あと、謎に美人な女性スタッフさんがめっちゃ怖かったのも、異様に陽気な外国人がバーカンにいたのもね…
このハコには専属のアイドルがいると事前に聞いていて、ライブが始まる前にハコスタッフさんがその子たちに「今日出る2&さんとテレジアさんは一人でステージに世界観を表現できる人たちだから、ちゃんとライブを見ておくように」と伝えていたのが印象的だった。きっとこの子たちは良いアイドルになるんだろうなと思った。
そして、そのうちの一人の子が僕のところにわざわざ「後ろで見学してもいいですか?」と聞きに来た。よく見たら白くてめちゃくちゃ顔が可愛い子だったので衝撃を受けつつ、平静を装いながら「構いませんよ(イケボ)」と答えた。

それから2ヶ月くらいして、その子たちが新たなグループでデビューしたのを知ることになる。気になって詳しく調べるようになったら、メンバーのうちの一人が凄まじいツイッタラーであることに気付いた。まだ会ってもいないのに通知を取るようになり、ツイートのあまりのおもしろさとアイドルとしての異質さに日に日に「この子に会ってみたい」と思うようになった。
そして2018年6月に初現場に行ってからはすぐにほぼ毎回ライブに通うようになった。まわりのヲタクたちは僕がまさかそこまで推し以外の他のアイドルにハマってしまうとは思っていなかったらしく、若干衝撃を受けていたようだ。
そんな中、久々に会ったごっちさんが僕に聞いてきた。「ねーじゅの新しい推しってこの子だよね?」と。「そうですよ。なにかありました?」と答えた僕に、ごっちさんが苦笑いしながら言った。
ごっちさん「覚えてないかな。その駄好乙て子、あの時偶ドロにいた小学生だよ(笑)」
僕「えっ…………?」      (完)

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