いろんなおじさんたちとの出会いと別れ
アイドルさんに「ねーじゅのまわりには人が集まる」と言ってもらうことがたまにあるけど、僕はそのたびにそれは全然違うんだよなあと思っている。
僕には人を集められるような人徳はないし、コミュ力だって平均的である。ただ、常に僕の近くには誰からも愛され、人を惹きつける太陽みたいな存在の絶対的なリーダーたるヲタクがいただけの話だ。
BiSでも仮面女子でも偶ドロでもそうだった。鶯籠の現場ではたまたまそういう存在がいなくて、しゃかまヲタクによるひねくれたコミュニティみたいなのが形成されてしまった気がするけど、それはそれで楽しかったよな。UDXのデッキでダラダラと身内で無駄話して過ごした日々、僕は後悔してないよ(あそこは飲む場所ではない)
ともかく普通そんなカリスマみたいなやつとは実生活でもそうそう出会わないんだけど、僕のまわりにはなぜかそういう人たちが現れたっていう、今日はそんなお話。
越田会(概念)
BiSに通いだしてしばらくの間、僕はぼっちヲタクだったが、徐々に自然と友達が増えてきた。その中の一人が越田さんだ。普通のヲタクとは何か雰囲気が違う、不思議な人だなという第一印象だったけど、失礼ながらアイドルヲタクとしての経験値が低いだけなんだろうなと勝手に思っていました。
でも、すぐにとてつもなく凄い人物なのだと思い知らされることになる。発想・行動力・スピード感・財力等、あらゆる面においてリーダーたる人物だと思ったし、その背中を見て様々なことを学ばせてもらった。楽しいことをやろうよという姿勢からは、現場が分かれた後も常に刺激を受け続けてきた。
よく言っているけど、僕が推しメンのために本を作りたいと思ったのもこの人の影響に他ならない。まわりに人が集まり、その人たちを動かして大事を成し遂げる。ヲタクというか社会人の見本だと思ってます。
越田会の仲間たちと過ごした期間はとても短かったけど、今も大切な思い出だ。ただ、当時は本当に酒に関してはどうしようもない人だったと半ば蔑みの目で見ていました…(今はいかがお過ごしでしょうか…?)
小柳組という組織
BiSの現場を離れた僕は、仮面女子のヲタクになり小柳朋恵という推しメンと出会うわけだが、この現場では他のヲタクとは関わらず、一緒に流れてきた数人の身内だけでつるんでればいいと思っていた。
そんな中、声をかけてきてくれたのが春末さんだ。僕の今の仲間からはハゲきちという名前で知られているだろうそのヲタクは、今まで見てきたどんなヲタクとも違う『営業マン』みたいな男だというのが僕の第一印象だった。
彼の行動原理はただ一つ、『小柳朋恵に売れてほしい』、それに尽きたと思う。そのためにヲタクを増やすこと、フロアを盛り上げることにひたすら徹していた。彼が必死に勧誘し続けた小柳推しのLINEグループはメンバーが100人を超えていたし、ライブ中のフロアでの姿は見ていて涙が出るくらい熱かった。
あんなに無償の愛で推しメンのためだけに尽力している人は後にも先にも僕は見たことがないし、だからこそ誰からも愛されるヲタクだったのだろう。下手したら小柳よりも人気だったのかもしれない(笑)
一緒にライブを見ているだけで楽しいと思わされる人だったし、他の人たちも同じことを言っていた。僕はただ隣にいただけだったんだけど、彼は「ねーじゅがいると楽しい」と言ってくれて、それが凄く嬉しかったのを覚えている。僕も結局あの男のファンだったのかもしれない。
推しメンを失った後、じゅじゅやKOTOちゃんやプティパの現場に流れたハゲきちが、ただの気持ち悪い狂ったヲタクに成り下がった姿も含めて最高に好きでした…
あと、とにかく信じられないほどの酒クズだった。いつか酒のせいで早死すると思う。ほんとしっかりしろ。
偶想Drop総合TOと偶神
推しメンの脱退により仮面女子を離れた僕は、2&Sakiちゃんのヲタクになり、彼女が所属する偶想Dropの現場にも通い始めた(基本同じイベントに出ることが多かったけど)
当初は今度こそ誰ともつるまず、ぼっちヲタクとして過ごそうと思ってました。ここまでの流れでお察しだと思うが、僕は実際は全く人と積極的に関わりたいタイプの人間ではないのだ。
僕が本格的に通いだしたのは偶ドロデビューから1ヶ月くらい経った頃だったんだけど、すでに専ヲタの集団ができつつあった。その中心にいたのが、後に偶ドロ総合TOと呼ばれた『ざか』さんだ(あいつはそう呼ばれるのを心底嫌がっていたが)
ざかは特にリーダータイプというわけではない、どちらかといえば控えめなヲタクという印象である。でも、人当たりが良くて、推しメンのことが気持ち悪いくらい本当に好きで、グループ全体を愛していて、ちょっと弱いところもあって、アル中で、そして誰からも愛されるヲタクだった。
彼は偶ドロを平和で楽しい現場にしたいと強く願っていて、まわりのヲタクのことを本当によく見ていた。そんな中で現れた僕とその愉快な仲間たちに対して異様に警戒していたらしく、仲良くなった後に「ねーじゅさん来た時は現場壊されると思ってヲタクで対策会議したんですよ」と打ち明けられたことがある。マジでこいつしばこうと思った。
偶ドロに売れてほしい、そして楽しいことがしたいという共通の想いを持った僕とざかはやがて打ち解けてまさに戦友と言える仲になったと思うし、今も続く『偶神』というコミュニティもどんどん大きくなっていった。ざかの元に集ったみんなで第2の青春と言える時間を過ごしていたと思う。
一方でうちらが総合TOだのなんだのいろんなものを押し付けてしまった結果、たくさん苦労もしていたんじゃないだろうか。偶ドロが終わった後、完全に燃え尽きていた様子のざかの姿を見て、僕は心からお疲れ様でしたと伝えた。
それからしばらくして、ほぼ同じ時期に僕もざかもヲタクとして行き詰まっていたのもあって、気晴らしに二人で一緒に気になる未開のアイドル現場に遊びに行くということをたまにしていた。その中でざかは廣川かのんさんという新しい推しメンに出会い、僕は駄好乙に出会った。それもまた良い思い出だ。
ざかとはもう2年くらい音信不通だし、もしかしたらもう2度と会うことはないのかもしれないと思っている。生きているのか死んでいるのかすら正直わからない。結婚でもして幸せに生きてくれていたらいいなというのが僕らみんなの想いだ。
最初に書いたように、僕のまわりにたくさんヲタクがいるのは僕の影響なんかじゃない。ざかが育てた偶神というコミュニティが、彼がいなくなった今もなんとか継続していて、僕らはその遺産を食い潰しているだけだ。近い将来もう誰も偶神なんて名乗らなくなる日が来るんだろう。
でももしまた彼と会うことがあるなら、今のチキブロを1回でいいから見てほしいなと願ってしまう。絶賛するかもしれないし、もしかしたらこれは違うと否定するかもしれない。どんな反応をするのか全然想像がつかないのだ。否定したら殴るけど。
ただ、僕は1つだけ思っていることがある。もし仮にざかが帰ってきてチキブロのヲタクになるようなことがあれば、きっと彼はマヨイちゃんを推すに違いないと(しばらく一緒に行動してあいつがどんなアイドルが好きかわかってきたつもりだ)
僕の唯一の心残りはざかと推し被りしたことが一度もないことだから、いつかそんな未来を迎えることができたらいいなと僕は時折夢想してしまうのである。