唐揚げとチキンカツ弁当。反省ソース味。
このお話は、僕が唐揚げとチキンカツが好きで~という趣味の話でもなければ、どこどこのお店が美味しいよ!というグルメレポートでもない。ただ僕個人としての、これから他者と生きていくうえでの反省文である。
いつもなら構成を考えて下書きをして編集して…完成!と素人なりに拘って文章をつくっていくのだけれど、今回ばかりは今この気持ちを残しておきたくて、起きてもまだスッキリしない頭を抱えながら書いている。読みにくい部分もきっと多いですが、何卒ご容赦ください。
時を遡ること86,400秒。つまり昨日。舞台は職場。GW突入し以前の賑わいが戻りつつある京都の街で忙しく働いていた。休日や祝日は休憩を前半と後半で30分ずつと、お昼はいつもより短めにとることが多いため、お弁当を買ってきて食べることもしばしば。昨日は行きつけの近所のカフェにお弁当を買いに行くことになり、同僚の分も一緒に買ってくることになった。
頼まれていたのは、同僚の彼も僕も大好きなカフェの看板メニューである唐揚げ弁当。ボリュームもあるし、山椒醤油味のソースが癖になる味で、多いときには週3で頂くことも。いつもの味を想像してよだれを垂らしながらお店に向かうと、いつも通り店長さんが笑顔で迎えてくれた。「唐揚げ弁当2つお願いします」と伝えると、「今日は日替わりのチキンカツもいけるけどどうする?」と教えていただけた。唐揚げはいつでも食べられるし、せっかくだからと「チキンカツを2つお願いします」と訂正して頼んで持ち帰った。
同僚の彼も唐揚げ弁当が大好きだけど、お弁当はほとんどいつも唐揚げ弁当だし、よかれと思って頼んできたチキンカツ弁当。「美味しそうだったからチキンカツにしちゃった!」と彼に戻って伝えると、元気だった顔が急に曇りだした。「これはやってしまったかな」と思っていたら、「なんで違うのを買ってくるの!」と突っ込まれた。笑いながらのテンションだったけど、顔はマジだった。彼は自分の大盛のキチンカツ弁当を食べた後に、コンビニに行って、昨日と同じ抹茶アイスを買って食べていた。僕は期待していた反応と違い戸惑ってしまって、笑いながら「ごめんって」と言葉だけの謝罪しかすることができずにその場は終わってしまった。
彼は、僕よりも一つのことに突き進んでいくことが好きで、このカフェだけでなくハマったお店があれば、毎日くらいの勢いでそこに通い詰めるタイプ(実際お店の徒歩圏内にいくつか彼の行きつけがある)。一方僕は、毎日同じものでも食べられるなと思いつつ、時折刺激が欲しくなって、その日の気分によってアレンジしたり気分転換でと全く知らないお店に突撃したくなるタイプ。だから、僕は自分が彼の立場であれば、「そんなメニューもあるのね、美味しそう!」とその発見をともに喜んでいただろうなと想像する。けれど、彼にとっては、「唐揚げ弁当こそが安定の味」であり、その変わらない美味しさとそこから得られる安心感をが欲しかったのかもと今になって思う。
実は接客の仕事でも同じようなことは起こりうる。お客様が探していらっしゃるのは、確かに物としてのカバンだれけど、本当に求めているのはそれを手に入れ使うことの楽しさや便利さ、なりたい自分に近づくことによる喜びや安心感だったりする。その奥にあるニーズをはき違えてしまうと、お客様にとっては頓珍漢なご提案をしてしまうことになる。そんなことを日々仕事としてやっていただけに、自分がよく知る同僚に対してそれをやってしまったことの申し訳なさと歯がゆさ、色んな感情がミックスされて後味の悪いコミュニケーションとなってしまった。
…と、書き殴りの文章になってしまったけれど、いかがでしたでしょうか。僕は既に振り返るのが怖いです(笑)。これを読んで下さった天使のような皆様に、ほんの少しの気づきや発見があれば泣いて喜びます。僕はというと、まだちゃんと伝えられていないごめんねを伝えられるように、少しでも目の前の相手に寄り添い、その力になれるように、この味をもう少しだけ噛み締めていたいと思います。