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愛はここにある


まだ、年が明ける前。
久しぶりに会った週末のこと。

お互いに仕事が忙しい日々が続き、会う日まで頑張ろうねと励まし合いながら、仕事のストレスで悪夢を見る日を乗り越えて、仕事終わり、恋人の家へ向かう。
会う前はいつも少しだけ緊張する。
電車の中で両手をぎゅ、と握ってみたり、落ち着かせるように撫でてみたり、どんどん流れていく窓の外をじっと眺めてみたり、窓に映る自分の伸びてきた前髪をすっかり冷えた指先で整えてみたり。
インターホンを押す前に、乱れた髪を直したり。


恋人の家に着いて、ドアを開けてもらう瞬間が好きだ。
いつもと変わらない優しい、柔らかい笑顔で迎えてくれるから、緊張で強張っていた心がすんなり緩んで、解けて、仕事の疲れや寒さも全て忘れて、恋人に触れることができる。

ご飯を食べて、今2人でハマっているアニメを一緒に観て、毎回いいシーンで終わってしまうたびに2人で「「あーー!」」と悶絶し、次の配信早く観たいね、また一緒に観よう、と交わす。
小さな約束が増えていくのが嬉しい。ほんの些細なことでもわたしのことを思い出してくれるのが、知らないうちに恋人の一部になっているようで。
きっとそうやって少しずつお互いの存在が生活の中に溶けていくんだろうなあ、と思う。





子どもみたいな寝顔で、静かな寝息を立てて眠る恋人を見て、どうかそのまま健やかでいてほしいなと願った。
美味しいものを食べて、好きなことを楽しんで、たくさん笑って、ぐっすり眠って、人生を楽しんでほしい。
あなたがあなたらしくいてくれることが何よりの幸せかもしれないな、なんてそっと恋人に擦り寄りながら思った。

たまに落ち込むこともひどく傷つくこともあるだろうけれど、あなたのことだからきっとわたしにはあまり言わないんだろうけれど、そんな時にふと落ち着くような、安心する場所になっていたらいいなあと思う。
有名な歌じゃないけど、あなたを守ってあげたいなと本当に、心から思っている。

目には見えないけれど、あなたを丸ごと愛する気持ちでいるよ。

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