雰囲気だけで中身ゼロの会話
「いま、何考えてたの?」
「君のこと」
「嘘ばっかり」
「どうして?」
「私のこと見てなかった」
「見てたさ」
「ううん。そりゃもちろん視界には入っていたんだろうけど、あなたの思考には入っていなかったわ」
「入っていたさ。何を考えていても、何をしてても君が僕の思考から出ていくことなんてないんだから」
「ほんとお世辞がお上手ね」
「お世辞なんかじゃないさ。ご覧? あの光り輝く月に誓って本当さ」
「馬鹿ね、月は輝いてなどいないわ。太陽の光を反射しているだけなのだから」
「じゃあ光り輝く太陽に誓うから、朝陽が昇るまで一緒に居てくれるかい?」
「ええ、もちろん。あなたが私を見ていてくれるなら……ね?」