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料理は発見 … 和食の日(上)
今日は見事な秋晴れで、ゴウゴウと稲刈り機の音が聞こえてきます。新米の美味しい季節ですね。
ところで、11月24日は「和食の日」ですが、あまり知られてないかもしれません。和食器に携わる者の一員として、関心を持ってもらえればと思います。
新 嘗 祭 (にいなめさい)
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〈米.麦.粟.豆.稗ヒエ〉 五穀、やっと揃いました
かつて11月23日は新嘗祭の祝日でした。新嘗祭とは、その年の収穫を神様に感謝するお祭りのことで、「新」は新穀、「嘗」はご馳走をさします。古より我が国では五穀豊穣を祝い、天の恵みに感謝する風習がありました。(人が先では失礼になると、新嘗祭が済むまでは新米を口にしない律儀な人もいたそうです。)
五穀とは米.麦.粟.豆.キビ(またはヒエ)で、時代により多少の変化があります。
戦後は勤労感謝の日に変更されましたが、本来は新嘗祭であり神様と私たちをつなぐ特別な日だったのです。そして、このお祭りに最も近い日ということで、11月24日が「和食の日」に定められました。「イイニホンショク」と、語呂合わせもできそうです。(諸説あるようですが、和食会議名誉会長の熊倉功夫氏はブックレットで新嘗祭にちなむ、と記述されています)
和 食 の 日
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秋の味覚、レンコンの甘酢着けと栗の炊き込みご飯
2013年「和食」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。嬉しいことのようですが、食文化を保護し維持するためにユネスコに登録された、という側面もあります。そして2年後に和食の日が定められました。
和食のイメージというと、料亭で出される立派なお料理みたいな…。いえいえ、「日本で日常的に食べられる食事だと思っていいんじゃないですか。」と、前述の熊倉功夫氏は講演でおっしゃっていました。
身構えなくても良さそうですが、和食を定義すると以下のようです。
和食は、地域の新鮮で多彩な食材を大切にし、四季折々の自然の恵みに対する感謝の心とこれを大切にする精神に支えられ、地域や家族をつなぐ日本人の生活文化です。 和食は、米飯を主食とし、ご飯に合った多様な汁.菜.漬物によって構成される献立を基本に、正しく箸や椀などを使う日本の食習慣です。〈平成29年和食文化会議「和食の心とかたち」より抜粋〉
そう、和食とは旬の美味しい食材を、皆で嬉しく有難くいただくことなのでしょう。次回は「料理は発見 … 和食の日(下)」で、五穀を味わってみようと思います。
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