誰でも使える交渉術! 『グローバルコミュニケーションの英語力とは?』
「英語」に苦労する日本人のなんと多いことでしょう。
日本の学校での英語の教え方も、「コミュニケーションをとるための英語」という点では若干問題があったかもしれませんが、今更文句を言っても仕方ないことです。自分でなんとかするしかありません。
一方で、最近は自動翻訳機が会議中の言葉を自動的に英語から日本語の文章にしてくれます。英語が話せなくても相手の英語が日本語で理解でき、また、日本語で話したことが英語の文章となって相手に伝わります。近い将来、文字変換ではなく、音声としてスムースに多言語変換が行われるでしょう。このような環境で、グローバルビジネスで英語を学び、英語でコミュニケーションをとることは必要でしょうか?
様々な意見がありますから「答え」ではないですが、次の視点を考察してみます。自動翻訳技術の進化によって言語の壁が次第に低くなっているのは確かです。それでも英語を学び、英語でコミュニケーションをとることには依然として大きな意義があるのではないか?
その場合の理由は何でしょう。
1. ニュアンスや文化の理解
自動翻訳機は優れた技術ですが、文化的な背景や言語の微妙なニュアンスを完全に再現するのは難しい部分があります。例えば、言葉の選び方、トーン(会話には様々な「Yes」や「No」が存在します)、ジェスチャーに込められた意図などは、会話の流れや関係構築に大きく影響します。英語がわかることで、こうした微妙な表現の意図を掴み、より自然で効果的なやり取りが可能です。これは自動翻訳機にはまだ少しハードルが高い課題で、その究極の進化が人を代替するかはまだ未知数です。
2. リアルタイムのスムーズな対応
自動翻訳を介した会話は、一見スムーズに思えても、リアルタイムの流れを完全に再現するには限界があります。特に複雑な交渉や議論では、即座の応答や言葉の細かな調整が求められるため、直接的に英語で話せるスキルが役立ちます。
3. 信頼関係の構築
これが最も重要ではないかと思える点ですが、言語を共有することは、信頼関係を築くうえでの大きな要素です。特にグローバルビジネスでは、共通言語を持つことで相手との距離が縮まり、信頼が生まれやすくなります。英語を使って相手と直接コミュニケーションをとることで、敬意や共感を示しやすくなり、機械翻訳を通したやり取りよりも深い関係が築けるでしょう。
4. 翻訳技術の限界に対応する能力
高度な翻訳技術が発展しているとはいえ、専門用語や業界特有の表現、技術的な詳細についてはまだ不十分な点も多くあります。ビジネス交渉では細部の正確さが重要なため、翻訳に依存しすぎると、思わぬ誤解やトラブルが発生する可能性もあります。
高度なコミュニケーションは、人と人が直接に言葉を交わし、ニュアンスを掴み、信頼関係を構築することを求められます。特に、言語を通じて相手の文化を学び理解することは、言語の壁を越えたより深いコミュニケーションが可能になります。例えば英語を話してみると、日本語に比べて曖昧な表現を取りにくい、と感じます。英語は、論理的に主張するにはとても向いている言語だと思います。英語を学ぶことは言語を覚えること以上に、論理的に意見を構築して発信することにも役立ち、グローバルビジネスでの競争力を高めることができるでしょう。
その一方で、自動翻訳がコミュニケーションの方法を多様化させてくれることは間違いなさそうです。
整理すれば、コミュニケーションの手法やあり方は、大きく3つのカテゴリーに分けて良いのではないでしょうか? つまり、
1)翻訳機に頼れば済んでしまう、比較的単純なコミュニケーション
2)翻訳機を利用するが、交渉力や人間力で翻訳機をうまく取り入れ、人と人としての円滑なコミュニケーションができる
3)翻訳機には頼らずとも、英語力・交渉力・人間力を備え、高度な総合的コミュニケーションを行うことができる
という3つです。
1. 翻訳機に頼る単純なコミュニケーション
特徴: このレベルでは、伝達する内容が比較的単純で、情報の正確な伝達ができれば成立するものです。事務的なやり取りや標準的な取引内容など、正確な情報が伝わることが主な目的で、深い関係性やニュアンスはあまり必要とされません。
例: 簡単な契約書の確認や、会議での報告、一般的な問い合わせ対応など。
2. 翻訳機に頼りながらも高度な交渉力や人間力が求められるコミュニケーション
特徴: 自動翻訳を使いながらも、交渉力や人間力が求められる場面です。翻訳を介しても、相手の言葉の裏にある意図や感情を汲み取る力、場の空気を読んで適切に反応するスキルが必要です。ここでは、翻訳機に頼っても、個人の能力で相手との信頼関係を構築できる場合が多いです。
例: 簡易的な商談やプレゼンテーションなど、相手の意図を読み取る力が重要になる場面。
3. 翻訳機に頼らず、英語力・交渉力・人間力を備えた高度なコミュニケーション
特徴: 英語での直接的な会話が必要で、かつ交渉力と人間力も備えた高度なスキルが求められるレベルです。国際的な交渉や複雑なプロジェクトのリード、特に関係構築が重要な場面では、英語のニュアンスを深く理解し、即座に相手の意図に応じた反応を返すことが必要です。このようなコミュニケーションは、エリート層やリーダー層において特に重要視されるでしょう。
例: 大規模なプロジェクトの進行やトップレベルの交渉、重要なパートナーシップの構築など。
このような3つのカテゴリーに分けることで、それぞれの状況に応じたコミュニケーション手段やスキルの重要性が明確になります。また、どのカテゴリーに属するコミュニケーションが求められるかによって、どの程度英語を学び、交渉力や人間力を磨くべきかの指針にもなるでしょう。
自分自身が、どのカテゴリーのコミュニケーションに属したいのか、というのは英語を学ぶ動機に大きな違いを生みます。
必ずしも、自動翻訳に頼ることが、仕事のレベルが低いというわけではありません。主に国内で活躍する人は前述の1で十分ですし、英語より深い専門知識に集中したい場合は、1または2になるでしょう。グローバルビジネスでただ指示を受けるのではなく、指示する側にあるリーダーを目指す人は3は必須な能力ではないでしょうか。
どこを目指すか、それは人それぞれです。
目指す場所と、自分がすべき英語学習を合致させることは、人生の選択にとって大事なことではないでしょうか。
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