誰でも使える交渉術! 『相手を理解する』
「相手の利益と目的を理解しよう」
交渉では、自分の目標を達成することが重要ですが、同時に相手が何を求めているのか、なぜそれが必要なのかを理解することも欠かせません。相手の利益を理解し、それに寄り添う提案をすることで、お互いに納得のいく解決策を見つけやすくなります。これにより、信頼関係が築かれ、次の交渉にも有利に働く可能性が高まります。
これは「利害関係の調整」や「Win-Winアプローチ」と呼ばれることがあります。また、交渉理論では、相手のニーズや意図を理解し合意形成を図るプロセスを「統合的交渉(integrative negotiation)」と呼ぶこともあります。
統合的交渉は、双方が「お互いの利益(interests)」に焦点を当て、単に条件(positions)ではなく、根本的なニーズや目標を理解し合うことで、両者にとっての最適解を見つけるアプローチです。
ビジネスのみならず、身近な例でもこれは使えます。
例えば次の、中学生の会話です。
悠人と春輝は友達で、違うクラスですが、同じサッカー部に所属しています。来週は他校との試合があり、悠人は絶対勝つ!とやる気満々です。
悠人:「なぁ、春輝!今日の放課後、サッカーの練習付き合ってくれよ。新しい技、試してみたいんだ。来週の試合で使えそうだからさ!」
春輝:「え、今日はちょっと無理かも。3日後にテストがあるから、勉強しなきゃいけなくて…前回の成績が悪かったから、今回はちゃんとやらないとやばいんだよ。」
悠人:「えぇ?でもさ、試合までもう時間ないぞ。来週が最後のチャンスなんだし、今練習しとかないと合わせられないじゃん。」
春輝:「いや、分かるけど、テストだってやばいんだってば。今度こそしっかり準備しないと、後で面倒なことになるんだよ。」
悠人:「でもさ、サッカー部なんだから、試合のために優先してくれてもいいだろ? いつもテストばっかり気にしてたらサッカー上手くなんないよ。」
春輝:「いや、悠人だっていつもサッカーばかりじゃん。俺は勉強も大事だと思ってるし、そっちも頑張りたいんだよ!」
悠人:「そりゃ俺はサッカーに力入れてるよ。でも、試合に向けて合わせるのがそんなに難しいのか?ちょっとくらい時間取れるだろ?」
春輝:「いや、今は本当に無理なんだってば…わかってくれよ。」
悠人:「なんだよそれ。結局、自分のことしか考えてないんじゃん。いいよ、もう頼まないから。」
春輝:「わかった。今日の練習は行かないから。」
なんかありそうな光景ですね。二人とも悪気はないのでしょうが。
..では次のパターンはどうでしょう?
悠人:「なぁ、春輝!今日の放課後、サッカー練習しないか?試したい新しい技があるんだ。来週の試合で絶対に使えると思うんだよ!」
春輝:「あー、ごめん、今日はちょっと無理かも…実は、3日後にテストがあるんだ。前回ひどくてさ、ちゃんと勉強しとかないとヤバいんだよ。」
悠人:「えぇ?でも試合までもう時間ないぞ。春輝と一緒に練習しなきゃ、うまく合わせられない気がしてさ。今回はどうしても勝ちたいんだよ!」
春輝:「わかるけど、なんか、みんなより理解が遅くてさ、今のうちに進めておかないと、もっと大変なことになりそうだんだ。サッカーも大事だけど、今はちょっと勉強を優先したくてさ。」
悠人:「そうか…でもこっちだって、どうしても春輝と合わせたいんだ!
.. 勉強は、あとでもできるんじゃないの?」
春輝:「うーん、でも今回のテストは特に難しいって聞いてるし、補習になったら悲惨だよ。放課後は今日しかまとまって勉強できる時間がないし…」
(しばらく沈黙し、二人とも黙り込む)
悠人:「…あ、そうだ!じゃあさ、俺が春輝の勉強を手伝うよ。今日は勉強に集中できるようにして、明日ちょっと早めに学校に来て朝練しないか?
30分あればタイミングを合わせるくらいできるんじゃないかな。」
春輝:「勉強助かる! 合わせは朝練でやろう。」
悠人:「よし、それで決まり!俺も早起きして行くよ。試合までに仕上げたいし、春輝もテスト頑張ってくれよ!」
春輝:「おう、頑張ろう!」
悠人:「明日は7時半な。 じゃあ、一回帰ってからおまえんち行くよ。」
春輝:「よし、気合い入れて頑張ろう!」
交渉のテクニックと言えばお堅いですが、普段の会話でも十分使えますね。
ちょっと知っておくだけで無用なトラブルを避けられそうです。
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