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誰でも使える簡単な交渉術!
「さて、BATNAに続いて、少しややこしいZOPAの話。ちょっとだけ想像してみてください。あなたがスーパーでリンゴを買おうとしているとしましょう。お店の人は1つ100円で売りたいけど、あなたはできれば80円で買いたい。どうすれば両者が納得できるでしょうか?実はこれ、交渉の基本の考え方が詰まっているんです。さて、ちょっと難しい話をしますが、がんばってついてきてくださいね!」
では、広田さんの例を使って、「ZOPA」という概念について説明してみます。
広田さんは地元の農家で育てたお米を販売しています。ある日、人気のおにぎり屋さんの木村さんと、お米の価格について話し合いをしました。広田さんとしては、お米を1キロ500円以上で売りたいと考えていました。これより低いと、農家として利益が出ません。一方、木村さんは450円以下で買いたいと考えています。これより高いと、おにぎりの原価が上がってしまい、商売に影響が出るからです。
このような状況で、ZOPAが登場します。ZOPAとは「交渉の中で、両者が合意できる価格帯」のことです。簡単に言えば、広田さんと木村さんが「お互いにOKと言える」価格の範囲です。
広田さんは、木村さんとの交渉がダメだった場合、地元のスーパーに480円でお米を売る選択肢を持っていました。これが彼にとっての「BATNA」(交渉がダメでも他にある選択肢)です。したがって、480円以下では木村さんと取引する意味がありません。
木村さんの方も、自分のBATNAを考えていました。他の米業者から460円で仕入れる選択肢があったため、それ以上の価格では広田さんと取引する必要がなくなります。しかし広田さんの米の品質が良いことは木村さんも認めていましたから、少し高くても受け入れる考えはありました。
最終的に、広田さんは490円での価格を提案し、木村さんもその価格で合意しました。広田さんは利益を確保し、木村さんは品質の良いお米を手に入れ、結果としてどちらも満足できる取引となりました。
少し複雑な話ではありましたが、ZOPAの考え方がわかると、交渉がスムーズに進むことが見えてきますよね!
ZOPA(Zone of Possible Agreement)は、交渉において合意可能な範囲や領域を指します。これは、交渉する両者の利害が重なる部分であり、お互いの希望や条件が満たされる可能性があるエリアです。ZOPAが存在する場合、交渉が成立する可能性がありますが、ZOPAがない場合、交渉の成立は難しくなります。
具体的には、ZOPAは以下のように設定されます:
買い手の希望価格の上限と売り手の希望価格の下限が交わる範囲。
例えば、買い手が10万円までなら支払いたいと考え、売り手が8万円以上であれば売りたいと考えている場合、8万円から10万円の間がZOPAになります。この範囲内で価格が設定されれば、両者にとって合意可能な取引となります。
ZOPAが見つかると、交渉の焦点を合意に向けて調整しやすくなり、逆にZOPAがないと判断される場合は、交渉内容を見直したり、条件を再設定する必要があります。
交渉の成功にはZOPAを正確に理解し、相手の希望や妥協点を把握することが重要です。スムーズな交渉のためには、自分の最低限の条件(BATNA:Best Alternative to a Negotiated Agreement、交渉が不成立になった場合の最善の代替案)を理解しておくことも役立ちます。