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頑固な相手を動かす、たった1つの伝え方

早速ですが、
頑固な相手を動かす、たった1つの伝え方は、論破することではなく、

相手の価値観や立場に寄り添い、理解を示しながら提案する』 ことです。

これには理由があります。なぜなら、頑固は、認知バイアスとの関係が深い、と考えられるからです。バイアスは性質の傾向ですが、頑固はその行動や態度の特徴と言えます。つまり、無理に動かそうと思っても困難なものなのです。

したがって、まず、頑固で困った相手の:

 『価値観を知れ』
  
 例えば、どういう成功体験をしてきた人なのか? 顧客やサプライヤーに対する基本的態度、仕事への向き合い方、行動など。

 『立場を知れ』
   
部長?課長?そのプロジェクトでどういう立場か?

 『理解を示せ』
   
基本的な方針、考え方は?

この3つです。まず、これらを知識として備えておきましょう。
その上で、具体的な話の流れはこうです:

ポイント:

  1. 相手の視点を理解する
    頑固な人は、自分の意見や価値観を強く持っています。まずは「その人が何を大切にしているのか」「なぜその意見を持っているのか」を理解しようと努めます。

  2. 反発ではなく共感を示す
    「あなたの意見もわかる」と共感を示すことで、相手は防衛的な態度を弱めます。
    「〇〇さんの考えは理にかなっていますよね。それを踏まえると…」

  3. 相手の価値観を尊重した提案をする
    相手の信念や利益に合致する形で提案することで、「自分の価値観が否定されていない」と感じ、受け入れやすくなります。
    「この方法だと、〇〇さんの考えと遠くないのではないでしょうか?」


頑固な相手は「否定」されると余計に固執します。そのため、理解と共感をベースにした伝え方が、心を動かすカギとなります。

自己中心バイアスが強い相手に対しては、「自分の意見が尊重されている」と感じさせながらも、巧みにこちらの方向に誘導する 伝え方が効果的です。
思うままにさせてはいけません。相手のペースになることを防ぎつつ、こちらの意図を通すポイントは次のようなものです。


相手の「自己中心的な枠組み」を利用する

  1. 「あなたのためになる」と示す
    相手の自己中心バイアスを逆手に取り、提案が相手の利益や評価につながると強調します。

  2. 選択肢を提示し、主導権を「相手に渡す」
    頑固で自己中心的な相手は「自分が決めた」と思いたがります。その心理を利用し、複数の選択肢を示しながら、あらかじめこちらの意図に近い選択肢を用意します。

  3. 相手の言葉を借りて説得する
    相手の過去の発言や考えを引用し、「相手が言ったことに沿っている」と示すことで、自然にこちらの提案を受け入れやすくします。

  4. 事実やデータを武器にする
    自己中心的な相手は感情論に引っ張られやすい反面、客観的なデータや数字には一定の説得力を感じやすいですし、反論も難しいでしょう。数値やデータを示して冷静に論理の主導権を握ります。

  5. 「称賛」や「頼りにしている」というメッセージを伝える
    自己中心的な相手は、自分が重要だと感じると機嫌よく動きやすくなります。相手の自尊心を満たしつつ、その力をこちらの提案の実行に向ける工夫が必要です。例えば「やはり〇〇さんのリーダーシップがあるからこそ、これが実現できると思うんです。」


「相手の自尊心を満たしながら、巧みにこちらの意図を通す」 ことが鍵です。こちらが主導権を握るためには、

  • 提案が「相手の利益になる」と思わせる

  • 選択肢を与え、「自分が選んだ」と思わせる

  • 相手の過去の発言やデータを活用するといった方法で、こちらの方向へ自然に導く

頑固の一因である自己中心バイアスについては下記を参照いただけます。

ここで具体的な会話例を見ていきましょう!
→ とあるメーカーで技術者をしている清田は、上司の坂田に別案を薦めようとしています。

部下:清田(27歳、技術者)
上司:坂口(38歳、技術部の上司)
テーマ:開発中の新技術A案に対し、Bを提案する



左:清田 右:坂口(清田の上司)


坂口
:「なあ清田、このA案だけど、革新的だしコストも抑えられる。これで進めたらいいと思うんだが?」

清田:「坂口さんのご判断、よくわかります。A案は確かに初期コストが魅力的ですよね。私も最初はその点に注目しました。」
(→ 上司の意見に共感しつつ、反論ではなく理解を示す)

坂口:「そうだろ? 新しい技術ってことで差別化になるし。」

清田:「おっしゃる通りです。ただ、一つ気になるデータがありまして…。こちらをご覧いただけますか?」
(→ 客観的なデータに基づき冷静に事実を提示する)

坂口:「…なんだこれ? A案は中長期的にコストが膨らむ可能性があるのか?」

清田:「はい、A案は初期のコストは低いんですが、運用後の維持費やトラブル時の対応コストが高くなるリスクがあります。特に、トラブルの発生率がこの試算ではB案の2倍になっています。」
(→ 否定ではなく「リスク」として冷静に伝える)

坂口:「ふーん…でもB案だと、初期コストが高いだろ?」

清田:「そこなんですよね。ただ、B案は信頼性が高く、長期的には維持費を抑えられることを考えると、坂口さんがいつも重視している『長期的な信頼性』という考えには沿うと思いまして」
(→ 上司の過去の発言や価値観を引用し、提案を「相手の意見に沿ったもの」に見せる)

坂口:「ああ…確かに信頼性は大事だ。」

清田:「坂口さんが普段から仰っているその点を強調すれば、他部署やクライアントにも説得力が増すかと」
(→ 上司の評価や立場に寄り添い、自尊心を満たす)

坂口:「なるほど…。じゃあB案について、もう少し詳しくまとめてもらえるか?」

清田:「承知しました。坂口さんにご確認いただけるよう、すぐに資料を準備します。」
(→ 上司に最終決定の主導権を与える形で終える)


この会話例では、清田が冷静に事実を示しながらも、坂口の価値観や立場に配慮した伝え方をしています。結果として、上司に反発させず、自然とB案の方向へ誘導することに成功しています。



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