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福島県教員採用試験を終えて #6

こんにちは。ねぎとろです。

9月11日(日)に、福島県教員採用試験の2次試験(中学校)があり、これで私の福島県教員採用試験の全日程が終了しました。(校種によって2次試験の日程が異なり、小学校は10日(土)、中学校と養護教諭は11日(日)、高校と特別支援学校は17日(土)・18日(日)の2日間で行われました)
この投稿では、来年度以降試験を受ける方に向けて、(また私の備忘録として)今年度の福島県教員採用試験の内容と所感を残しておきたいと思います。

※福島県の試験では、国語・数学・英語を志望する場合に限り、高校と中学校を併願できる制度が設けられています。私はこれを利用して、高校で出願し、中学校を併願しました。

1次試験

1次試験は7月23日(土)に行われました。
科目は「専門教養」(100分)と「教職教養」(30分)で、どちらも記述式での実施。私の受験した高校数学の専門教養は大問6つで120点満点、教職教養(高校)は27問で30点満点でした。

専門教養(高校数学)

大問6つで、大問2~6の5題は中学校数学と共通です。併願制度が取り入れられた2021年度の試験からこの傾向は続いています。

大問1は「高等学校学習指導要領」から10問。(1)と(2)の2つに分かれています。
(1)は、各教科において、育成を目指す資質・能力が3つに整理されたことを受けて、その3つを問う問題。空欄補充です。選択肢はないので、漢字を含めて確実に書くことが求められます。
(2)は、福島県の高校数学ではほぼ毎年出題されている、数学科全体の目標から穴埋め問題。毎年5~6つの穴埋めがあります。文章も長くないですし、ヤマを張らずに確実に前文覚えてしまいましょう。どこが穴開けられても対応できるように、できるのであれば友達などと予想問題を作り合うなんで勉強もできるかもしれません。
中学校数学とは異なり、出題パターンがかなり限られているのが特徴だと思います。恐らく120点中20点の配点だと思いますが、この20点を取り逃したくないと思って勉強しました。

大問2以降は、中学校と共通で、中学校や高校で学習する数学の問題が出題されます。
大問2は小問集合。5問あり、今年は「2次方程式の解と係数の関係(高II)」「三角比と図形の性質(高IA)」「統計的な推測(高B)」「極座標(高C)」「ベクトル(高C)」が出題されました。
特筆すべきは、2021年から3年連続で数学Bの「統計的な推測」の分野からの出題があること。私たちの世代はそもそも高校時代授業で扱っていないことが多く、私の場合大学でもそこまで深く掘り下げる授業がなかったため、採用試験の勉強でも苦労するかもしれません。試験では120点のうちの4点程度だと思われるので、捨てることも選択肢ですが、いざ高校教諭になると考えると避けては通れない道です。どうしたものか…。(このnoteで要点整理してみようかな…とかも検討中です)

大問3以降は、"答えのみ"の問題と、"過程を記述"する問題が混在しています。
大問3は、中学校を意識した問題。2次元平面上の関数のグラフと図形の融合問題です。今年は小問5つで、すべてが答えのみ。福島県の高校入試ではこの手の問題が必ず出題されるため、形式も含めて高校入試を意識しているものと思います。

大問4は確率漸化式。(1)(2)は答えのみで、(3)は記述です。
ちなみに私は(1)でp2を間違えてしまい、(2)で一般項を正しく出せず、(3)ももちろんかなりの減点をされた気がします。(某は○おみたいになってしまった…はな○と確率漸化式の因縁はこちらから。YouTubeのリンクなので音量注意)

大問5は数学IIの「図形と方程式」から、領域に関する問題。こちらも小問が(1)~(3)まであり、(3)のみが記述でした。この問題はできている…はず。ただ計算量がえげつなかったですね。

大問6は微分・積分でしたが、今年は曲線の長さを求める積分が出題されたうえ、計算していくと1/cos(x)を積分する問題であることが分かります。マイナーどこ(個人の感想です)が2つも問われたということもあり、この問題の平均点は多少低いものと予想。大問4,5と同様、(3)のみが記述でした。

試験勉強で昨年度の過去問を解いていますが、それと比べるとやや難化したでしょうか。大問5,6で計算に時間を使う分難しくなったかなという所感です。
配点が公表されていないのであくまで予想ですが、大問1つあたりは20点だとしても、大問内の配点は記述に重きがおかれることは言うまでもありません。学習指導要領の問題以外はすべての問題で記述するようにしておくと、高校時代の勘を早く取り戻せるものと思います。

教職教養(高校)

校種ごとの共通問題で、小・中、高、養護教諭、特支の4種類の問題が存在します。ここでは私の受験した高校の問題について書きます。

大問6つの構成で、記述式ですが、選択肢が用意されてる問題も多くあります。
第1問は教育基本法から。福島県ではすべての校種で頻出です。今年の高校は第2条からでした。例年選択肢なしのことが多いですが、今年は選択肢が用意されていました。

第2問は「高等学校設置基準」から。直近5年では出題実績がなく、かつ選択肢もなかったので、多少面食らった感はありましたが、出題は第5条で、学科(普通科、専門学科、総合学科)について聞かれました。

第3問は教育法規から。ここ最近多い形式で、3つの法令から条文が抜き出して出されており、その法令の名称と、途中の空欄を補充する問題。法令名を正確に書かなければならず、この大問が最も難しいと思われます。今年は「いじめ防止対策推進法」「日本国憲法」「学校教育法」からの出題でした。

第4問は学習指導要領総則から。第2款・教育課程の編成のうち、教科等横断についての問題でした。選択肢あり。
第6問も学習指導要領総則からで、第5款・生徒の発達の支援のうち、キャリア教育についての問題でした。こちらも選択肢あり。
(ところで、なんで第4問と第6問で学習指導要領を聞いて、第5問は別トピックだったのでしょうか…?)

第5問はローカル問題。昨年策定された「第7次福島県総合教育計画」からの出題です。今年が出題としては初年度ですが、昨年度もこれと似た「頑張る学校応援プラン」からの出題だったため、傾向は読めるのかなと思います。今年は施策1について聞かれました。選択肢あり。

教育心理と教育史からの出題はなく、教育原理の分野も学習指導要領のみ。問題が校種で異なることもあり、特別支援教育に関する問題もありませんでした。とにかく点数の半分を占める教育法規が大切です。まあ法規が大切なのはある程度どこも似ている気はしますが…。

1次試験合格発表

今年の合格発表は8月23日(火)。1次試験からちょうど1か月が経過しており、小学校の受験者は2次まで18日、中学校と養護教諭は19日、高校と特支は25日ありました。
中高併願者は、1次試験で第1希望で不合格となると、第2希望での選考が行われ、第2希望で合格すると、2次試験は第2希望の校種で受験します。(小中併願もありますが、そちらはまた制度が異なるようです。気になる方は要項をご確認ください)
福島県は高校教諭を全教科合わせて45人程度しか志望しておらず、数学科は81人志望に対して1次通過がたった3人とかいう世界。もちろん私は不合格でしたが、中学校教諭で1次試験を通過することができました。

平均点公表

1次試験の合格発表から1か月程度、合格発表のページにて平均点の公表がされています。ただし、こちらは全受験者の平均点であり、合格者平均や合格者最低点などの公表はありません。

高校の教職教養の平均は19.9点/30点でした。不合格者も含めて平均ラインが65%。高いのか低いのか…??
高校数学の平均は62.5点/120点でした。半分ですね。ちなみに中学校数学の平均は39.8点。高校と8割方同じ問題をやっているのに、23点も差がつくんですね…。高校のレベルの高さが分かります。
ちなみに、併願が取り入れられている国数英のうち、中高で最も平均点の開きが大きかったのは数学でした。

2次試験までの事務的事項

1次試験に合格すると、通知とともに、2次試験の会場が発表されます。要項でも3つの小学校が掲載されていますが、具体的にはここで指定される形です。
2次試験では封筒のほかに2枚の提出物があります。1枚は住所票で、これは書けばいいのですが、もう1枚は身体検査書で、病院や保健所で健康診断を受診しなければいけません。尿検査や血液検査はないので、1時間程度で終わりますが、5,000円くらいしました…。提出前1カ月以内のものに限られるのでご注意を。

2次試験

2次試験は9月11日(日)に行われました。中学校は、1日で小論文、個人面接、模擬授業を実施します。

小論文

校種で同一の問題に取り組みます。昨年までは50分で行われていましたが、今年は45分での実施となりました。文字数は800字程度で変わらなかったため、多少時間に対する字数は厳しかったかなという印象です。

テーマは不登校生徒について。不登校生徒が年々増加していることをどのように受け止め、担任としてどのような支援を行っていくかというもの。オーソドックスな(?)課題にはオーソドックスな3段落構成で対応するのみですね。

小論文が終わると、面接と模擬授業があるのですが、どちらが先になるかは当日発表されます。午前面接→午後模擬授業のパターンと、午前模擬授業→午後面接のパターンがあり、各パターン5組、計10組に分かれて行われます。私は午前面接のグループの5組目で、待ち時間がめちゃくちゃ長かったうえ、午後もこの順番で行われるので、帰りもかなり遅いほうでした。

個人面接

個人面接は、面接官2人、時間は約20分でした。受験者から向かって左の面接官が前半の10分程度質問を行い、後半は向かって右側の面接官から質問が行われました。
以下、質問内容をできるだけ時系列順に残したいと思います。

  • 教科、受験番号(併願の第2希望で合格した場合はその旨も)

  • 前半の質問

    • 中学校教員のどこに魅力を感じたか

    • 保護者から「夜遅くまでスマホを使っていて、勉強に身が入っていないようだ」と相談された。あなたならどうするか。

    • 自分の"先生に向いている"と感じる部分(事実上の自己PR)

    • 教員になるにあたって不安に感じること

    • 不祥事の原因は何だと思うか

      • 不祥事を起こさないようにするためにどうするか

    • ICTを使うことは得意か

      • ICTを授業で活用することのメリットは

      • 逆にデメリットは

    • 学級担任になったとして、生徒に最も伝えたいこと

  • 後半の質問

    • 他県を併願しているか

    • 福島県を志望した理由

    • 他県と福島県、どちらも合格したら福島県に来るか

    • 採用20年以内に3地域(会津、中通り、浜通り)異動になるが、全地域異動することは可能か

    • 大学での単位は大丈夫か

    • 数学嫌いの生徒が増えているが、数学を好きになってもらうにはどうすればよいか

    • 場面指導(受験者の椅子の前に机が置いてあり、場面が書かれたカードが置いてある。これを表に返し、場面が理解できたら言うように言われる)(具体的な場面についてはここでは省略します)

      • このようになる原因を考えられるだけ挙げて

      • このあとあなたならどうするか

      • 相談を受けたことをどのタイミングで管理職に相談するか

    • 生徒に「授業がつまらない」と言われたらどうするか

模擬授業

実際に授業を行う前に、課題提示と、20分間授業の構想を練る時間が与えられます。教科書の該当部分のコピーと、それに即した指導案の様式がセットで渡され、指導案の紙には授業を行う上での構想をメモできるスペースが設けられています。また教科書のコピーにもメモなどを加えてよいことになっています。
なお、授業は県で作成する「ふくしまの『授業スタンダード』」に示されている"教師の働きかけ"や"指導技術"に基づいて、「主体的・対話的で深い学び」を目指した授業を行うことと示されています。

今年の課題は中2の「三角形と四角形」から、「2つの正三角形の性質」というテーマ。大きさの異なる2つの正三角形が1つの頂点を共有しており、かつその1点と、それぞれの三角形のうち1頂点、合計3点が同一直線上にある、という場面で、成立する性質を考えて証明しようというものです。

▲場面を文章にするのが難しかったので、図で。
点Cで1つの頂点を共有し、A,C,Bが同一線上に並んでいます。
さらに追加で、AとE、BとDをそれぞれ結んで考えます。完全に忘れていました。

20分の構想時間が終わると、授業を行う教室に移動し、10分間で授業を行います。このときの試験官は2人でした。
その後、10分程度の面接が行われます。(実際は授業前の本人確認、授業、面接を合わせて20分で行うため、面接の時間は正味7~8分程度でした)
面接では、指導案用紙と教科書のコピーを手元に置き、随時見ながら答えることができます。面接の質問内容は

  • 今の授業で意識したところは

  • 生徒の"問い"を引き出すために工夫したところは

  • 問題の条件を変えて取り組ませるとしたら、どのような条件の変更が考えられるか

  • この授業が終わったとき、生徒にどのようになっていてほしいか

の4つでした。

終わりに ―就活全体を振り返る

茨城県の試験のところでも書いていましたが、春には一般企業での就活をしており、そこから続いた就職活動全体が、これで一区切りとなりました。面接後遅くとも1週間程度で結果が分かる一般企業と比べて、結果発表まで1か月近くかかる教員採用試験は、正直じれったくも感じています。

実は今年の2月くらいまで、一般企業で就活を行うことは一切考えておらず、インターンの参加もしませんでした。完全に教員一本で考えていたのですが、親に「一般企業も受けて見なさい」といわれ、半ば受身の形で就活を行うこととなりました。

教員採用試験は、ブロックごとに1次試験の日程が被っていたりするため、どんなに併願をかけられても6つか7つ。実際受けられるなら宮城県・仙台市の教採も受験したいと考えていましたが、福島の1次と被るため受験できず。また、栃木県も1次試験を通過していましたが、2次試験が茨城県と被っていたため受験できず。
親の考えとしては、現役で合格することが難しい教員試験、それも併願を増やすことは難しいなかで、合格できなかったらどうするのかということと、そもそも教員の多忙化が叫ばれていることへの不安と。このような理由から、一般企業を受験しなさいということでした。

そんななかで始めた就活ですが、結果は全敗です。なかには最終面接で落とされることもありました。
面接って、"よし、大丈夫だろう"ってことは予感できなくても、"ああ、落とされるな"ということが予感できてしまったりしますよね。私の場合もダメかなと感じたところで悉く落とされました。

インターンが"業務体験"から"選考の一部"へとその役割を変えつつあることもあり、選考の早期化が著しくなっています。そんななか、まずインターンに行かないこと自体がディスアドバンテージになっていたな、ということも反省点かなと思います。一方で、私の大学では3年の夏休みに道徳の指導法の集中講義があるほか、数学科教育法も同じく3年夏の集中講義での開講となっています。このようなことからも、まず教職課程と一般企業との就活を両立させることは一層厳しくなっているものと思います。難しいですね。

就活は事実上終了しているのですが、内定先が0であるということも事実。週末には10月を迎え、一般企業で内定をもらった同期は内定式に臨むことになります。こうしたなかで進路が決まらないというもやもやした感情は10月24日、福島県の採用試験の結果が分かるまで続きます。
かといって、採用試験の早期化を目指す動きもありますよね。こちらは採用試験の倍率を上げようとするための案の1つとされていますが、4年で教育実習に行く人は実習の最中に試験が入ってくる可能性もあり、こちらも難しい問題だなと感じています。まあ最も、試験の早期化で倍率が上がるとは思いませんが…。

以上、思うところをつらつらと書いてしまいました。自分で推敲をしてはいますが、読みづらい文章かもしれません…。まあ、何はともあれ、できることはすべてやってきたなので、あとは祈るだけです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

Wednesday, 2022/09/28

カバー画像: 会津若松市の鶴ヶ城。2019年9月16日撮影。
試験は福島市で行われましたが、一切写真を撮らなかったので、福島県らしい写真ということで。

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