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[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] 西武セゾングループ ~サラリーマンという仕事はありません。~

好きな広告を勝手に解説するシリーズ vol.7は、セゾングループの広告「サラリーマンという仕事はありません。」です。

申し込み用紙などの職業記入欄は、会社員、公務員、派遣社員……など、以下のようなの選択肢が一般的です。

職業を辞書でひくと、「生計を維持するために、人が日常従事する仕事。生業。職。「教師を職業とする」「職業につく」…と書かれています。となると、職業=仕事なので、会社員=仕事、公務員=仕事、派遣社員=仕事、ということになります。あれれ?

でも、会話の中で「どんなお仕事をされているんですか?」「職業は何ですか?」と聞かれたら、例えば、「コピーライターです」と答えます。あれれ?

 なんだか変なのに、一般常識とは怖い怖い。違和感さえも奪ってしまう。違和感を感じても、まぁ、それがフツーだし、仕方ない。ともなってしまうようです。本当はイヤなのに。

本当の、職業選択の自由。を切り開く。

いまでこそ職業別新卒採用をする企業は増えましたが、この広告が世に出た1987年は、総合職採用ばかり(いまでもありますが)。たとえ「〇〇をやりたいんだ!」「▽▽のプロになるんだ!」と、将来の夢を持っても、会社の差配というアンコントローラブルな形で、未来の希望が遮断される時代です。

もちろんその違和感や虚無感は、もっと昔の時代からあったでしょう。でも誰も変化を起こさなかった。憲法で、職業選択の自由と謳われていますが、実態は、会社選択の自由に過ぎません。

誰でも未来は自分で選択したい。少なくともイヤなものはイヤ。でも社会に出るタイミングで、運に委ねられてしまう慣習が好きなわけがありません。

そんな雰囲気に差し込んだのが、「サラリーマンという仕事はありません。」。もう少し説明すると「会社説明会ではなく、職業別の仕事説明会を開催します」と打ち出したものでした。

この会社に行けば、自分の努力で未来を決められる!職業選択の自由があったのです。新卒一括採用・総合職採用・異動命令などがアタリマエだった当時としては本当に画期的でした。

総合職採用が悪いわけではありませんが、会社目線では、一択にしておけば、のちのち会社都合で融通を利かせやすくなります。ですが、西武セゾングループは、本質的な目線で、社員がイキイキする方法に舵を切ったわけです。ほぼすべての会社が「サラリーマンになりませんか(未来の希望を会社に任せませんか)」と案に言っている中で、「サラリーマンじゃない(未来の希望を自分で切り拓きませんか)」と告知する。

本当の職業選択の自由をみせた好例で、セゾングループには、さぞ、優秀で、やる気に満ち溢れた人材が集まったことでしょう。

それだけでなく、コロンブスの卵じゃないですが、その後のほかの企業にも何かを考えさせるきっかけになったんじゃないかとさえ思います。

以上、広告好きの私見でした。

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