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鎮静剤による驚愕(快適)の胃カメラ検査体験記

勤務先を介して行われる年に1度の健康診断(バリウムによる胃の検査)で「要再検査」となった。

61年生きてきて、胃カメラを勧められる再検査はこれが2回目だ。

最初は20代の頃でそれ以降1度も検査で引っ掛かったことはないし、これまで自覚症状も全くないので、まさか今更再検査となるとは意外だったのと同時に恐怖心が蘇ってきた。

それは体への心配ではなく、胃カメラに対してのものだった。

20代の時の再検査が生まれて初めての胃カメラ体験だったが、それが私にとってはまさに「拷問」だったからだ。

それは口から挿入するタイプの物だったが、とにかく嘔吐反応がものすごく、苦しいなんてもんじゃなかった。

嘔吐反応自体が苦しいのはもちろんそうなのだが、普通嘔吐する場合、中身が出る出ない(汚い表現で申し訳ない)にかかわらず、おえっ!っと出し切って一区切りつく感じがあるかと思う。

しかし喉の真ん中にカメラの管が占領しているからなのか、そのおえ!を出し切ることが全く出来ずに、嘔吐反応だけが途切れなく続くのだ。

口から唾液が、鼻から鼻水が、目からは涙がとめどなくあふれ出し、苦しさと惨めさから、これが「拷問」でなくてなんなのかと心底思った。

しかしこんな光景は見慣れてるからなのか、その時の医師は全くの無表情で、私に慰めの言葉ひとつかけない。

そして検査結果は「何も問題ないですね」と一言だけ。

異状が無かったのはもちろんよかったのだが、拍子抜けして複雑な心境になったのを覚えている。

こんな強烈な経験をして、もう二度と胃カメラなんて飲まないと心に決めていたから、再検査と示され絶望的な気持ちになった。

正直、今回は無視して来年の検査でまた引っ掛かったら考えようかと真剣に思ったが、妻からは絶対にすぐに再検査して!と強く言われるし、どうする?

私は意を決してネットで「胃カメラ 苦しくない」と検索して、市内の医療機関を探してみた。

そこで口コミサイトで「全く苦しくなかったです」「知らない間に終わってました」という、にわかには信じがたいコメントが多数載っていたクリニックを見つけた。

早速そのクリニックのサイトを覗いてみると確かに「苦しくない胃カメラ検査」をメインに謳っている内科クリニックであることがわかった。

ここでの胃カメラ検査では、鎮静剤を使っての口からの検査で、痛みや苦しさはありません。と紹介されている。

鎮静剤はよく手術で用いられる全身麻酔とは違うらしい。全身麻酔は意識もなくなり自力で呼吸が出来ないので人工呼吸器を付ける。

それに対し鎮静剤はいわゆる眠り薬というものだそうだ。

しかしだとすると苦しまずに、しかも寝てる間に終わってるなんてことが本当にあるのだろうか?

だって普段寝ている時に体をゆすられたりすれば、目が覚めたりするではないか。

なのに、口から管を入れてそれに気づかずに寝ていられるものなのかとは思ったが、口コミを信じて検査の予約をすることに。

胃カメラ検査専用のサイトフォームからの申し込みが出来るのだが、何と1ヵ月先まですでに埋まってるではないか。

これはそれほど人気があるということか。 とにかく最短の日時で予約を入れてその日を待つ。

当日、検査ベッドに腰かけて胃の中の泡を消すという薬を飲んだ後、左向きに横たわり、口にカメラを通すためのマウスピースのようなものを咥え、鎮静剤を腕から点滴の形で注入していく。

すると自分の記憶では数分でウトウトしてきたなと感じたのだが、目が覚めた時には看護師さんが「検査終わりましたよ」と声をかけてくれた。

え? いつの間に終わったの? どのくらい時間が経ったのかその場ではわからなかったが、本当に寝てる間に終わってた。

ベッドから立ち上がる時は、まだ軽いめまいを感じているため、看護師さんに支えられて「ここで1時間ほど休んでてください。」と専用の待合室に通された。

そこでの時計を見たら、恐らく検査室に入ってから30分くらいしか経ってなかった気がする。

その後、医師から画像を見せてもらいながら結果を聞くのだが、胃はきれいでピロリ菌感染もないとの事で、恐らく向う3年は胃カメラを飲む必要はないかと思いますよ。とまで言われた。

ではなぜ健康診断で「要再検査」となったのかを先生に聞いてみた。

ここでの胃カメラ検査にあたっては事前に健康診断の機関からバリウムによる検査結果画像を入手し提出してあったので、それを見せてくれながら、良性の一部のポリープの形が少し微妙だったことによるものではないかと説明された。

まあ検診機関としては少しでも疑わしき部分があれば念のため「再検査」にするのかもしれない。

今回の検査費は10,080円。決してお安くない費用ではあったが、これには胃の粘膜の一部を採取して精密検査をしてくれる費用も含まれてる。(この検査結果は約2週間後に郵送で届くことになっているが、ちなみにこちらでも全く問題無かった。)

「胃カメラ」でWEB検索すると、鎮静剤使用にもメリット・デメリットの両方が載ってはいるが、過去の拷問のような経験をした身からすれば、少なくとも自分の場合はメリットしか感じなかった。

寝てる間に苦しいはずの胃カメラ検査が終わってるなんて本当に夢のようであった。










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