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#6 願えば叶う「会社の目的を決めビジョンを描く」

皆さん、こんにちは!今回はいよいよ起業するにあたっての前段階としての準備や心構えについてのお話をさせていただきます。

1.会社の目的をしっかり決める 2.ビジョンを描く まずはこの2点のポイントをお話しします。

1.会社の目的をしっかり決める 

起業する目的は人さまざまかもしれませんが、その目的は最終地点をどこに置くかで変わってきます。人生の最後にこうありたい自分自身の姿というものをイメージするのか、現状に照らし合わせたところ(直近の目的)だけに焦点を合わせるのかによって変わるという意味ですが・・。脱サラしてお金が入ってこなくなったため、とにかく生活費を稼ぐ・・といった目的は絶対条件ですが、それはあくまで当面の目標であって会社の目的ではありません。それは、とにかく起業ありきで起業してしまう人がいちばん陥りやすい誤解だと思います。目標と目的を取り違えているとあとあと先が見えてこないという局面に遭遇してしまいます。あくまで、生活費をかせぐというのは当面の目標としてとらえて、会社の目的の正しい捉え方は、起業することによって自分自身を含めた周りの人たちや社会にとって有形無形の利益を生み出せる目的となっているかという点を見つめなければいけないと思います。

2.ビジョンを描く

どんなビジネスをやってゆくのかをしっかりと描く。
一言でいえばこれに尽きるのですが、できるだけ鮮明にビジュアル化することが大切です。
紙に書く、ノートに書き残すなど、頭の中だけで済ませないで書き記すことです。もし、お店を持つというような夢であればそのお店の外観や内装などもより具体的に絵として残します。

前回までの「願えば叶う」の投稿でもお話ししているように、イメージ力が大切だということや、脳は現実と仮想を錯覚するという脳科学の内容などをもう一度確認していただけたら嬉しいです。

今、活躍しているトップアスリートたちには驚くべき共通点があることが分かっています。
彼らは小学生のころからそれぞれのビジョンをしっかりと持っていて、卒業文集などでも「私の夢」とか「将来の夢」というタイトルでより具体的に「こうなりたい自分」を描き切っています。
イチロー選手、本田圭佑選手、羽生結弦選手などなど、数え上げればきりがないほどですが、かれらのほぼすべてといっても過言ではないほど、将来の自分をビジュアルでイメージしているのです。そして、驚くべきことは彼らがその後にそれぞれのイメージ通りの人生を成し遂げているという事実です。

実は私にも経験があるのですが、それは脱サラするときに以前からお世話になった方のご自宅兼アトリエにお邪魔しご挨拶をしに行ったときのことでした。

その工房とは、当時私が勤めていた会社で企画担当していた時に取引していたバッグメーカーの内の一社なのですが、とても技術力の高いメーカーさんでした。
その社長も脱サラして起業されたことは、当時から聞いていたので真っ先にご挨拶に行くことにしたわけです。
私が脱サラすることを告げると社長はすぐに工房の奥のご自宅の部屋にあるものを取りに行かれたのですが、持ってこられたのは大きめのスケッチブックでした。

私はそのスケッチブックを見て驚愕を覚えました。
なぜならそこに描かれていたものは、その時お伺いした工房の姿と一寸の違いもない絵だったからです。
その絵が最近描かれたものでないことは、その紙の古さからすぐに理解できました。

「今日こられると聞いていましたので、話の内容次第でこの絵を見ていただこうかと用意していたのです」と説明されて、じっと私の顔を見つめながら満面の笑顔を浮かべていらっしゃいました。

それは、私にとって忘れられない思い出になりその後の人生においても起業したてのころには常にその絵のことを思い浮かべていました。
決しておせいじにも上手な絵とはいいがたいものでしたが、とても想いを感じる絵だったことは、いまでも忘れられません。

ビジョンをしっかりと持つことは大切で、それは描くという行為があって初めて確定されるのだという証です。
勿論、一度描いて終わりということではなく、常にその想いと並行してなんどもアップデートするべきだと私は思っています。

目的がはっきりとして、やりたいビジネスのビジョンも決められたとして次にはなにを準備したらいいでしょうか?私なりの見解ですが、下記の3つのポイントを抑えるべきだと思っていますので、順に説明してゆきます。
  

起業時に考えること3つのポイント

1.自分自身の能力の棚卸をする
2.やらないことを決める
3.事業内容を絞り込み特化する

1.自分自身の棚卸をする

事業の目的やビジョンが決まったら、どこからなにを始めるべきか迷いますが、創業時はたいていの場合人を雇う余裕などありません。
まずは、自分ひとりでもできるのかどうか?自分のスキルや能力の棚卸を同時に始めなくてはなりません。

私は、商社で勤めているときはずっと企画開発部というところに所属していましたので、営業の経験も事務の経験もありませんでした。
商社を辞めてからはアルバイトで小さな輸入販売の会社で出荷作業から伝票作成や営業補佐まで一通りの仕事の仕方を実地で学びました。ですので起業してからもその時に覚えたことを活かして一人でもスタートを切れたのです。まずはワンマンカンパニーとして始めることをお勧めいたします。
棚卸をする意義は、何が足りていてなにが不足しているのかをはっきりと見極めることです。


2.やらないことを決める
 
やらないことを決めることは大変重要です。創業時はとにかくやる気は満々なはずなので、なんでもやろうとしてしまうことも多いのですが、それを続けていると次第に体力的にも疲弊しやすくなり、時間の浪費が増えてしまいます。
 
せっかく素晴らしいビジョンを持って始めたのに、常に時間が足りないという焦りが生じてイライラが募りやがては自分自身を責め始めるか自信喪失に至ってしまいます。
なんでもチャレンジすることは悪いことではないのですが、人間だれしも万能ではないということは知るべきです。
要するに、このビジネスには何がいちばん大切な事なのか優先順位を決めることです。下位の方に列記した内容は思い切ってやめるか、手間のかからない方法を考えるべきです。人はだれしも得手不得手があるため不得手な事ばかりやろうとすればやがては意欲も失せてしまうということです。

3.事業内容を絞り込み特化する

 事業の内容は概ね決まってはいてもまだまだ絞り込めていないケースが多いのではないかと思います。
とくに競合他社が多い市場であればあるほど(レッドオーシャン)、絞り込みが甘いと苦戦します。なぜなら、どこの会社も同じことをやろうとしているからです。

そうするとどうなるのか?といえば、資金力が勝っている会社が優位になります。
皆さんも知っているかと思いますが、このような市場をレッドオーシャンと呼びます。
いままでにある既存のビジネスモデルで戦うのであれば、競争の原理をわきまえて絞り込みと差別化が必須条件となります。

例えば、「ペットショップを経営する」というビジネスだとしますと、絞り込みの案としては、今現在人気の犬種一種だけに絞り込むというアイデアが出てきます。
さらに、セレブ族のお客さん向けにターゲットを絞り込むという2段階の絞りこみの場合には、コンテストで賞を取った血統証付の犬だけのショップというアイデアが出てきます。
勿論、あくまでアイデア段階ということになるため、その裏付けとして市場性があるのかないのか?また、市場性があってもショップの立地条件がそろわなければ絵にかいた餅にしかなりません。

しかし、そもそもこの絞り込みと差別化がなされなければ、継続した経営の可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。

コア・コンピタンス (CORE・COMPETENCE)経営

この経営戦略のことを、コア・コンピタンス (CORE・COMPETENCE)といいます。
企業の中核となる強みのことを意味しますが、ゲイリー・ハメルとプラハラードという人物が唱えた戦略です。
コア・コンピタンスとは、「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力」として定義しています。

これは私が起業してすぐに知り得た戦略の一つですが、ずっとこの観点からずれがないように気を付けている戦略の一つでもあります。
弊社の場合は、創業時は香りのビジネスに特化したビジネスではありませんでした。
起業後、紆余曲折を繰り返す中で、何かに特化して集中させなければ継続的な経営は難しいのではないかと気づき、人間の五感について調べてみようと思ったのがきっかけでした。
視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の五感を切り口として存在するビジネスを当てはめてみたら、当時(平成4年頃)では、嗅覚を切り口としたビジネスモデルはほとんど皆無に近かったため、嗅覚すなわち香りのビジネスに挑戦してみようと思い立ったというわけです。

視覚をファッションビジネスとしたら、聴覚は音楽ビジネスに、味覚は飲食業をはじめとする食品ビジネスとなります。
触覚はといえば、スポーツビジネスやヨガやマッサージ、リハビリなどが当てはまるのではないかと・・・。
しかし、嗅覚の範疇の匂いや香りに関してのビジネスモデルはには該当するところがなく、範囲を広げても香りのするものといえば、仏具売り場にあるお線香ぐらいでした。
勿論、香水は嗅覚のビジネスではありますが、あくまで化粧品ジャンルやファッションジャンルの一部として取り扱われてる程度で、日本では欧米のようにそこまで香水をつける人も少なかったように思います。
ルームフレグランスというカテゴリー自体の存在がなかったのです。

雑貨やインテリア業界における主要な展示会である「ギフトショー」にも出展の区分けには香りジャンルは当時ありませんでした。
ですので、当時、次はどの区分けに割り振りされるのかと毎回気にしていたことを思い出します。

今では、全国どこへ行ってもルームフレグランスの売り場はあり、それにつれて今ではお部屋に香りがするものを置かれている家庭は大変増えました。
これは弊社だけではなく後に競合会社も増えて切磋琢磨してきた結果だと思います。
たいへん有難いことだといつも感謝しています。しかし、今やこの市場もレッドオーシャン化していることも否めない事実ですので、今後のイノベーションが求められるところです。

ここで、一つだけ忠告しておきますが、先程の起業時に考えるべき3つのポイントでは、2番目のやらないことを決めるのところで「無駄を省いて時間を浪費しないように」とお話ししましたが、一旦コア・コンピタンスで絞り込みをしたら、その分野においてはオーソリティーになると覚悟を決めて、徹底的に勉強してください。
そうしなければ、そもそも差別化などできないからです。
自分の経験のない分野を一から学ことは、非常に手間も労力もかかり時間も費やすことになります。
しかし、ニッチなところまですでに絞り込んでいるのですから、そこはためらったり諦めたりしないことが肝心です。

また、もう一つ忠告をしておきますが、知らないことを一から勉強すると言いましたが、勉強=習い事と思っている人が多いのには以前からびっくりしています。最初から教室を探して高いお金を払ってまで習い事をする必要はなにもありません。まずは自分自身で出来ることから始めるべきです。
今やPCとネット環境があれば、情報はいつでも手に入ります。
また、探しあてた情報をもとにして、その道のオーソリティーに話を聞きに行けばいいのです。それでも足りなければ本格的に学べるところを探せばいいのです。そのころには選択眼も出来ているので間違いが未然に防げます。

PCでネット検索する場合には、検索ワードがずれていれば正確な情報は手に入りません。また未知の分野であればあるほど、検索ワードすら思いつかないのも事実です。
その場合には、足で稼ぐのです。つまり、書店に行って隅から隅まで本のタイトルを見て回るのです。
私は、起業してからは書店巡りを一週間のルティーンに取り入れていました。
お金のないときには本屋さんには申し訳ないのですが、立ち読みという方法があります。
また、この書店巡りにはネットには無いメリットがあります。
検索ワードで絞り込むのではなく、物理的に書棚と書棚の通路という通路をくまなく歩くのです。
慣れてくると、本の背表紙が浮き上がって見えるようになります。時には一見関係のない分野の本まで、「私はここにいますよ!」って教えてくれるんです。
そうなってくると、もうこっちのものです。
お金に少し余裕のある時には、浮き上がって見えてきた背表紙の本をすべて買います。
帰宅して並べてみて、はっと驚くような発見もあったりするのですから、ネットで自分の狭い思考の範囲で選ぶのとは全く違うものです。

私は、人も本も出会いだと思うのですが、それはそこに人間の生身の五感が大いに働き、引き寄せている証です。

人の顔がみな違うように、法人にもそれぞれ特徴づけられた違う顔が必要です。
人格にたいして法人格というように、会社にも人格がなければいけないのだとつくづく思います。

コア・コンピタンス経営は、皆さんにも是非実践に移してほしいと願っています。
それでは、次回も「願えば叶う」をご拝読ください。

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