「上野の森をこえて図書館へ行こう!世紀をこえる煉瓦の棟」展にいった
先日、国際子ども図書館の標記展示会を見てきた。上野の同館の建物にフォーカスした展示で、大変面白かった。「普段は撮影禁止の本のミュージアム内を自由に撮影することができます」というのが魅力で、バシバシ撮ってきた。
歴史学で私がよく思い起こす次のような言葉がある。
それに「その場に立たないと実感できない心象を思想史のなかで大切にしていきたい」というのは、師の教えでもある。ましてそこまで交通の不便なところでもなく(久しぶりに訪れた上野駅がきれいになっていてびっくりした)、それについて調べて書くのに現地に行かないのは怠慢というものであろう。
引き戸が多かった当時の建築において「おすとあく」とドアに刻印してあることなども、NDLの広報でよく見てはいたが、改めて眺めると、面白い。旧帝国図書館時代のことをこのところずっと追いかけているので、昔の室内の配置を頭に入れてから眺めると、色々感慨深いものがあった。
今の児童書ギャラリーの場所は明治時代、出来たばかりの頃の特別閲覧室だったはずで、さらにそこを仕切って婦人閲覧席が設けられていたのだが、現場に立ってみると、「婦人閲覧席ってこんなに狭かったのか・・・」と思うし、日露戦争の時期に1日2~3人しか来ていなかったというのは、それはそれで納得できる(平塚明子が通っていたという新聞記事を見たことがある)。
地下に下足を預けて、そこから2階の目録室を通って、3階の普通閲覧室まで登ったという回想も、今回しみじみと体感できた。
本のミュージアムも、普通閲覧室だったはずだが、いまの廊下とミュージアムを仕切ってる壁、昔は外壁だったんだよな・・・・ということも、今回改めて考えながら往時を想像してみた。
建築に関する様々な展示が目を引いたが、そのほかにも帝国図書館と文学者との関わりを整理した展示も面白かった。
前世紀末に郷里を離れ茨城の大学に入った私は、実は開館していたころの支部上野図書館の雰囲気を知らない。
図書館在職中も、密かにそのことをずっともどかしく感じてもきたのだが、今回展示を見に行ったら、改修工事記録のために撮影された16分間の動画があって、当時の映像があるのか!と釘付けになって見入ってしまった。
展示は2022年5月22日までのようである。以下、ホームページから引用