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岩政大樹新監督の会見コメントまとめ―UHB「コンサラボ」より
2024年12月12日、北海道コンサドーレ札幌に岩政大樹が就任して会見を行った。その会見のコメントをあらゆるメディアより詳しく載せたのがUHBの番組「コンサラボ」のXアカウントだった。
この記事では、当アカウントにツリーで記されたコメントを引用する形で繋げて読めるようにした自分のための備忘録である。僕はまとまった文章を読むのに慣れており、Xのツリーは読みずらい。あくまでも自分のための備忘録を共有するものとする。
1.就任にあたり
「岩政大樹です。この度は僕が常日頃から大好きだったサッカーをしていた北海道コンサドーレ札幌の監督に就任することができて、非常に今嬉しく思いますし、興奮しております。ミシャの後の非常に大役だと思いますけど...」
「...自分にとってみれば、これ以上ないチャレンジというふうに思って、ここに来ました。これまでのコンサドーレのサッカーを継承しながら、それを継承するだけでなく前進させていくということを押し進めていきたいと思いますし...」
「...それができると自分で思っていますので、自信を持って選手たちと新しいコンサドーレをつくっていきたいと思っています。これから、長くなるといいなと思っていますが、よろしくお願いします」
2.経緯と決め手
「今年、僕はハノイFC、ベトナムで指揮を執っていて、その時に非常に自分の中で良い内容と良い結果を得られたところで、次にどういうチャレンジをするかということを考えていました...」
「...日本に戻るという選択もありましたし、東南アジアに残る選択もありましたが、日本に帰ってくるチャレンジをしようと。その中で、どういうクラブでも良いわけではなくて、帰るのであれば...」
「...自分がハノイでやっていたサッカーと似ているところ、同じではないにしても、同じようなマインドであったり、同じような哲学、あとは戦術的にも近いところでやりたいというのがありました。やはりそれがないと...」
「...選手を入れ替えたり、戦術を組み直したり、あとはマインドをそこに変えていくのは結構時間がかかる。その間にプロの監督たちは結構、仕事を追われることが多いので。次のクラブがそういうクラブであれば、日本に帰りたいと考えていました...」
「...その中で、ご縁あってコンサドーレの方とお会いすることになって、それからこういう話をいただきましたので、であれば日本のクラブでやろうということを決断しました...」
「...一番はハノイでのフットボールをちゃんと見ていただいていたというのが非常に大きくて、そのフットボールを一緒にやろうと言ってくださったこと、そしてコンサドーレがやってきた攻撃的なサッカーをブレずにやって欲しいということ...」
「...僕がやりたいことに非常に合うクラブだと思っていましたので、コンサドーレから話が来るのであれば、行こうと。話している色々な段階で自分は決めていました。優先順位をつけながら、自分は一番トップでコンサドーレを考えて話をしていました」
3.何を”継承”し、どう”前進”するか
「まずはミスを恐れない精神。攻撃的なマインド。これを持たせるのは意外と大変です。プロの世界は。すぐ目の前に結果があって、ミスをして負ければ、翌日の職を追われるかもしれないという中で...」
「...攻撃的なマインドのサッカーをするのは。植え付けるのに、相当な時間がかかると思っています。色々な失敗も必要ですし。というところがありますが、そこをこのクラブは何年も継続してやられていたところがありますし...」
「...他のクラブを見渡してもそんなにないですよね、そういうクラブは。そういう面では是非、そこは継承したいですし、僕もそういうマインドをハノイでつくってきたところはありますので。そこが変わらずやっていこうというところです...」
「...変えていきたいところというか、変えるどうこうと言うよりも、やっぱり攻撃的なフットボールをつくるために大事なことと言うのは、その監督がいかにオリジナルのフットボールを自分の中で確信を持って進められるかということだと思います...」
「...ミシャ監督には、ミシャ監督なりのオリジナルがあって、他の監督で真似されている方はいらっしゃいますけれども、ミシャ監督は誰の真似もされていませんよね。僕も同じマインドで。僕は誰かの真似をするのが大嫌いな人間なので...」
「...僕は僕でオリジナルで考えたものをハノイで実践して、それを持ってここに来ましたし、ミシャのサッカーも参考にしていましたので、似ている部分もありますが、違う部分もありますし、そこは変えるというよりも...」
「...このサッカーで戦っていこうと思っていますので。見てくださる方は徐々にわかってくださるかなと。似ているところがあるなというのもあると思いますので、是非それを楽しみにしていただきたいと思います」
4.7季ぶりのスタイル再構築、どう浸透
「毎日毎日、選手の顔色を見ながら、選手たちの心理に入り込みながらチームをつくっていくことの繰り返しなので、選手と顔を合わせた時にしか最終的な答えというのは言えないところがありますが...」
「...いずれにしても、もう既にミシャ監督のサッカーを長年やったことで植え付けられたものというのは間違いなくあって、それは恐らく僕が入って、驚くほどありがたいと思うことだと思います...」
「...それを継承しながらも、自分がどのようにしていくのか、選手たちに変わるものと変わらないものを明確にしながら伝えなければ、解りにくいと思いますから...」
「...そこの手法は今、色々準備をしていますが、自分なりに今続けるべきものと、少し変わっていくなと思うものが明確になってきていますので、それを伝えながらチームをつくっていくというところですね」
5.全てのチームが真っ向勝負してくれないJ2の戦い方
「自分たちには自分たちの哲学が、自分たちのフットボールがあるんだという自身・確信をチームに植え付けることができれば、そこから派生する相手への対策は自ずと見えてくる...」
「...ミシャ監督がつくられたオリジナルのフットボールもそうでしたよね。相手に対して変わることは少なかったと思います。僕も同じような考えでいて...」
「...自分たちがこのフットボールをやれば、例えば相手がこうしてくればこっちがあって、こうしてこないのであればこっちがあるよ、と準備されているものを僕は戦術と思っています。その理屈をまとめた上でチームをつくれると思っていますので...」
「...それをまずは作り上げるということですよね。その上で相手への対策は1試合1試合少しずつ変わっていくところも提示しながら対策していくということを同時にやる。割合的には自分たちのフットボールをぶつける方が強くなると思いますし...」
「...そこは僕が鹿島でやっていた時から変わったところ。ハノイに行って、自分が…成長と言っていいのか、変化と言っていいのか分かりませんが、違うところというふうには思っていますので。ここでも同じようにやりたい...」
「...具体的な目標は、当然J1昇格というのはありますが、天皇杯やルヴァンカップはカテゴリが関係ありませんので、誰にもタイトルを獲るチャンスがありますし、コンサドーレをタイトルというところまで是非持っていきたいと思っておりますので...」
「...来年それが獲れればいいですし、その先でも狙っていきたいと思いますけれども、是非このクラブにタイトルをもたらしたいというのが目標としてあります」
6.練習公開はクラブのアイデンティティ、方針は
「ああ、もうフルオープンですよ。皆さん来ていただいて。サポーターの皆さんにも来ていただいて...」
「...あとは北海道に繋がりのある指導者たちが各カテゴリにいらっしゃいますので、皆さんにも来ていただいてコンサドーレのサッカー、北海道のサッカーというものを皆で語っていきたいですし、そこで引き継ぎながら継続的にやっていきたいなと...」
「...なので、これからの変化もそうですし、選手たちがつくりあげていくものも、きっと楽しいものがつくりあげられていくので、それを是非楽しみにして欲しいと思いますし...」
「...ハノイで僕がピッチ横から見られたようなサッカーを、日本で本当に表現することができれば、皆さんを驚かせたり、楽しませたりすることができると思うので。当然、ハノイの時とは違うものになるとは思いますけど、選手が違いますから...」
「...ですけども、マインドだったり、ピッチで起こされる躍動感だったりというのは同じものを目指していきますので、それを是非楽しみにしていただきたい」
7.常勝鹿島にあって、札幌にないもの
「これは常に永遠のテーマですね。言葉にしようとすると、言葉では全て説明できなくて、でも、言葉にしないと引き継がれなくて、という繰り返しだと思うんですが...」
「...結局、言葉で言えば日常という話になるんでしょうけど、日常の空気感ですね。どのような空気感かでかなり大きく変わります。空気感というと、凄く空虚に聞こえますが...」
「...皆さんの会社が良いなって思う空気感ってありますよね。ここはダメだなって空気感がありますよね。それを作り出しているのは何かというと、日常の色々な、それぞれの考え方だったり接し方だったり...」
「...サッカーの世界で言うと、勝ち負けがついた時の立ち振る舞いだったり。あらゆる各局面でのみんなの文化みたいなもの。そういうものがつくり出すものであって、それが最終的に勝負強さだったりに繋がるわけですね...」
「...じゃあ、これをどうやってつくるんだというのが、僕のずっとテーマなわけですけれど。この前、学芸大が勝ちきったんですけど、それ以外はそんなに勝ちきった経験が多いわけじゃないので、指導者としては。これは今の僕のひとつのテーマで...」
「...ただ、自分なりに考えていること。ゴール前とそれ以外の局面、そこもサッカー的な観点でいうとひとつでしょうし、これって、ゴール前のこだわりという言い方になれば、もっと設定ができますよね...」
「...そしたら『ゴール前のこだわりって何なの?』と言葉にすれば、これも整理されてきますよね。ゴール前のこだわりって?どのように守るの?それってどうトレーニングするの?と...」
「...どんどん嚙み砕いて、トレーニングをつくって、選手たちと接して、の繰り返しをする。日常をつくるために選手たちへのメンタル的な声がけもしていくと思いますし、ゴール前のところの話もするでしょうし、中盤のつくりの話もするでしょうし...」
「...それらのディテールを詰めていって勝つ確率を上げることしか最終的にはないと思います。でも、僕も色々トライしている最中の指導者です。特に若い子たちのマネジメントの仕方は自分なりに、鹿島を離れてこの1年...」
「...サッカー的なところもそうですけれども、やはり組織を動かすというところ。札幌も若い有能な選手たちを抱えていますけど、その選手たちが近年はクラブが期待をかけているほどは活躍してくれていないと皆さん思っていますから、恐らく...」
「...その選手たちが活躍すれば、今補強がなんだと周りは言っていますけれども、選手たちが20%成長すれば、それが補強になりますから。それを目指すということが第一ですし、実際に叶えられれば、今より20%上のチームになり昇格するでしょうし...」
「...というのが僕の基本的な考え方なので。それが結果的に勝つことに、勝ち続けることに繋がったら、だんだん常勝になっていくんじゃないですかね」
8.北海道へのイメージ
「選手の時は、試合できたくらいしかなかったんですが、引退して解説者をやっている時に何度か来ることがあって...」
「...当時は札幌では『チャナ』と言われていて、僕らタイでは『ジェイ』って言ってましたけど、僕のタイの時のチームメートでしたから、あいつとジンギスカン食べに行ったりもしましたし...」
「...TV局にも出させていただいてコンサドーレの戦術分析をさせてもらったこともありましたけど、その辺り、北海道という街も含めて面白いクラブだなと。優しくて、面白くて、温かくて、一体感のある街だなという印象があります。それがないと...」
「...攻撃的なフットボールってつくりきれないと思うんですよね。例えば良いサッカーをしていて、負けた試合があります。その時に批判ばかりが増えて、それで押し倒される人ばかりが周りにいたら、やりきれないですよね。いくらやろうとしても...」
「...これをやりきれているというのは、北海道の土地柄がそうさせていると思っていますし、コンサドーレというクラブが哲学をしっかり大事にしながら覚悟を持ってやり遂げていたというところが、大きかったというふうに思っています...」
「...そういう面では、これからミシャ監督だからできたのか、これが北海道だからできて、北海道コンサドーレ札幌だからできたのかということが試されるんだと思います。僕もその一翼を担わせてもらう立場として来ましたから...」
「...一緒にこれをつくり上げて、継承ができて、更に前進させることができたら、それが本当の北海道コンサドーレ札幌のサッカーになっていく。ミシャのサッカーではなく、北海道に根付いたサッカーになっていくよう、これから頑張っていきたい」
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