映画「トラペジウム」感想
萌え美少女がギスギスするアニメが元々大好物なので
ギスギスの温度感やリアリティ(そりゃそうなるわな感)も100点で大満足でした。ごちそうさまです。
事前のイメージではもっとギスギスパートが白熱する話だと思ってたので
あっさり収束したのはちょっと意外でした。
ただギスギスパートの温度が相当の熱さだったので物足りないこともなく、むしろあっさり終わったおかげで全体の印象はそれほど悪くならなかったのが上手いなと思いました。
だってクルミちゃんはめちゃくちゃ可哀想だったし、東ゆうは最初から一人だけ明確に悪かったので、
揉め事が起きても泥沼の構図になりようがなかった。ギスギスになるのは大体どっちも悪いときだからね。
不穏の種も最初から明示されてたし、東ゆうの暗躍が露見したらただじゃすまないのは明らかだったので
ジャンルとしては昼ドラよりはむしろホラーとかサスペンス、犯罪小説の文脈でしたね。
だから最終的にも被害者だった関係者の人達が意外と簡単に許してくれてすごくいい子たちだったなという印象にしかならなかった。
クルミちゃんはただひたすら可愛くてひたすら可哀想だったし
南さんも意外なほど正しい意見をしっかり主張してた。
その中で異様だったのは亀井美嘉。あいつだけ何なん?
あいつと言うより、亀井美嘉に対する東ゆうと制作者の軽蔑だけ凄くなかった?
大体こういうギスギス系作品ってのは、ゆるい萌えアニメとか青春みたいな、オタクに都合のいいノリの世界感がずっと続いていたのに、途中で生々しい陰湿感情が爆発して空気がガラッと変わるのがパターンだと思うんです。
それが案外この作品はカラッとしてたなって話をしたいのに
亀井美嘉というキャラだけは最初から最後まで一貫して女の女に対するジメジメした悪意で構成されている。
他の二人は完全にオタクの妄想みたいな存在で、クルミちゃんは理想の萌えキャラ、南さんも完全な漫画お嬢様キャラとして登場して
アイドル計画にも諸手を挙げて迎え入れられたのに
亀井だけは、まあこいつでいいかみたいな扱い。
さらに「男好きそう」というひど過ぎる第一印象も、その後に撤回されることはなく、むしろどんどん補強されていく…
何でこいつだけ悪意と偏見の擬人化なの??
ラストシーンでは悪意がオーバーフローしてて、
本編に不足していた陰湿成分が亀井美嘉回りにだけ胸焼けするほど詰まってる(しかも本筋では触れないし必然性もない)という謎の構図。
あそこだけ凄く怖かったです。