内山節「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」
1965年を境に日本人の暮らしぶりが激変したため、狐に欺されるべき下地を失くしたというのが、著者が周囲の村人に訊いた上での帰結。「平成狸合戦ぽんぽこ」を連想させる原因説だ。
この時代的節目を表すに、便利な言葉があることを後に知った。仏の哲学者ジャン=フランソワ・リオタールの言う「大きな物語の凋落」である。それが日本でもおきて日本人(とりわけ、地方農村部に住まう人々)をキツネから自由にした、と換言できると思う。そして、内山は伝統的農村の暮らしの中に、喪失した日本の「大きくて偉