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時間しかいない日

常夏の海辺にある小さなバーの壁は
薄いみどり
お客は私だけ
ひとつかふたつこのバーの良いところをあげるとするなら
静かで冷たい それだけね
ぬるいグラス 角が丸くなってしまった氷に顔なんて映りゃしない
とっても美人なのに
パサついた牛肉はさっき寂しそうな寄り目の店員が焼いていた
奥から持ってきた タンっと音を立ててテーブルに置いた 
オーダーを取ったその足で厨房に行き
急いで焼いたもの
白い皿にはあらかじめ乾いたきゅうりが3切れ
並んでいた
ヘラで押し付けながら焼いた肉
薄いからすぐに裏返しをして
あっという間に持ってきた
スニーカーには汚れたケチャップが傷跡みたいについている
全治1週間くらいのまあまあなやつ

夕方になったら帰ろう
おもしろくもない家に
トボトボと長い私の影と一緒に
バーを出て
歩こう

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