猫柳 六

「ねこ」という名でタロットリーディングと占星術をしています🍎 満月が好き🌕文章を書く時の名は「猫柳六」です🖋 ●ねこ総合案内所🏠 https://lit.link/necodayo

猫柳 六

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マガジン

  • お手紙やりとり

    ねこと誰かがやりとりをする様子です。 追憶でもあるし、今でもある。

最近の記事

猫と僕

広い窓いつもみたいに月をみてた 勉強机 折れた芯シャープペンシルHB 隕石がおちるころ僕はどこに 何をしてても上の空なんだ ヘイ僕の猫一緒にここで月をみよう ヘイ僕の猫明日が来るか分からないから 僕の顔に君のやわらかい毛をつけておくれよ 顔の前で尻尾をぶんぶん振ってよ右に左に 憂鬱になるくらい振ってよ 世界が終わるころ猫を拾って とてつもなく小さい君と僕 宇宙の埃 君と僕

    • ダリダの病

      「治りませんね。」とぼけた古い病院で私は医者にそう言われた。 この病院に来るとき、タンポポを見つけて「早く綿毛をふーっとしたいな」なんて呑気なことを思っていた。 種をできるだけ遠くまで飛ばして、見知らぬ土地でまた、子供が笑っているような、黄色い花を咲かせてくれたらなんて。 綿毛の花言葉は「別離」という。昔祖母が教えてくれた。種が飛んでいく様を別れと例えるなんて子供心にはスパイシーな話だったし、別れるという意味もよく分からないまま、ふぅんなんて思った。 さっきの医者は、白衣に

      • 終わりのうた

        さよならのじかんです あとなんにちすごすだろう わたしたちはいつかおわる ぜんぶのきおくがスケスケになって ひゃくねんごにはみんないないよ きっとまたあつまろう かいさんしても おもいだしてね Ah たのしかったことだけを woo たのしかったことだけを

        • さようならの歌

          Goodbye everyone もうすぐ時間たちは すけすけになってく あとかたもなく消える さようならまたね たのしかったよね おおきく手をふる グッバイなつかしい顔 グッバイ悲しまないで グッバイうつくしいよる 神様が消しゴムをもってやってきた みんなに平等にしています そうおっしゃった

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        • お手紙やりとり
          11本

        記事

          メッセージ

          Message それは繊細である Message とても強力である Message 気配さんがそっといて Message 無重力の愛と鞭 わたし達は今溶け合ってひとつになる 洒落た時間は甘い明日へ繋がるだろう ファンシーな展開を あなたに伝えよう そう人生にはムードが大事なこともある

          ディナー

          2人が腰掛けて丁度良い正方形の小ぶりなテーブル 少し盛り上がった土と砂利の上に あらいざらしの白い木綿のテーブルクロス、四隅には赤い小さな鳥の刺繍 尾のあたりでほつれた糸が3センチほど垂れ下がっていてそれを風が揺らす じゃがいもと玉ねぎ、小さなぶつ切りの鶏肉、カビのあるチーズとミルク それらを火の調節もしないままに煮込んだ 塩と胡椒 どこから来た 向かいに座る男がきく それに答えようとは思わない 知られたくないわけではない 男は遠くをみながら、ズズズと音をたてて 汁を啜

          時間しかいない日

          常夏の海辺にある小さなバーの壁は 薄いみどり お客は私だけ ひとつかふたつこのバーの良いところをあげるとするなら 静かで冷たい それだけね ぬるいグラス 角が丸くなってしまった氷に顔なんて映りゃしない とっても美人なのに パサついた牛肉はさっき寂しそうな寄り目の店員が焼いていた 奥から持ってきた タンっと音を立ててテーブルに置いた  オーダーを取ったその足で厨房に行き 急いで焼いたもの 白い皿にはあらかじめ乾いたきゅうりが3切れ 並んでいた ヘラで押し付けながら焼いた肉 薄い

          時間しかいない日

          はじめてのつぶやき。。。えーとえとえと、まだ扇風機でがんばっている!

          はじめてのつぶやき。。。えーとえとえと、まだ扇風機でがんばっている!

          父のフィクション

          父は後にホラ吹きとなる。 わたしの出生の理由、それは「夫婦仲がもう一度良好」になるために、意図的に作られた命なのである。 すでに4つ上の姉はいたけれど。 祖父母と同居の6LDK木造2階建て。 町内で初めて電子レンジを買った。 台所には赤富士の油絵が飾ってあり、流行りのダイニングテーブルで食事をした。 母と祖母は絵に描いたような不仲で、洗濯物の干し方を巡り日々バトルをする。祖父は芸術を愛する自由人、禿げ頭にベレー帽を被ってたばこをふかし、問題からはいつも逃げている。ソフトク

          父のフィクション

          こちら側から射る

          タロットカード 「太陽」 とんでもなく広い居間にあなたとわたし2人がにらめっこしていても、何も始まらないどころかやがて経年劣化に移行していくだろう。 窓の外を見ると、今まで虚無だった洞穴の奥に、生命を感じるようなエネルギーが溢れ出してゴボゴボと音がする。 流動的で排他的で魅惑的なこの次元において、時間という概念はありがたい存在なのかもしれない。 無かったものが有るようになり、冷たかったものが温かくなり、悲しかった人が中庸になり、消したい気持ちは鳥がついばんでどこかへ葬って

          こちら側から射る

          淡い嘘

          ばぶ江さんは、わたしの娘。 不思議なご縁の人という感覚に包まれる。 ある5月、公園を散歩中に誰かに見られている気がした。 新緑が機嫌良く音をたてていて、毛がくるくるとカールしたカフェオレみたいな色の犬が愉快に散歩をし、サバ寅の野良猫が丸い石の上で日向ぼっこをしていた。 わたしは、まだ生まれて数ヶ月のお餅みたいな肌のよく泣く息子と、草むらにシートを敷いて仰向けになりくつろいでいた。 ふと、「誰かがわたしたちを興味深く覗いている」そんな気がした。気持ち悪いとかそんなんじゃなく、

          徒然なる夜迷ごと

          大変に明るい月が出ていても、まばゆい星がきらめいていても、わたしの脳みその奥の部屋では、バースデーケーキの蝋燭に息を吹きかけた直後のような、しんとした黒い間が迷子になって、ただ一筋の「暖かい」灯りを探している。いつでも。 例えば悲しい思い出とは同居しながら生きるのが当たり前で、人が癒すものでもなく、忘れたふりをするものでもなく、ましてや人に自慢するものでもない。自己憐憫が一番嫌いだ。しのごの言わず毎日生きるのだ。小さなことである。1人で過ごすのだ人生を。 優しい気持ちはそこか

          徒然なる夜迷ごと

          たまごの王子さん江

          お久しぶり わたしの12ヶ月を知ることができたでしょうか 電話も出てくれないけれど。 あなたはきっとわたしの様子を伺っていたことでしょう。 長い沈黙と噴火に落石火事4の字固め。ありとあらゆる嫌な事を共有したような気もします。 ついに朝がやってきました。 朝日を2人で浴びましたよね。わたしは胸が熱くなりました。 きっとずっと気が遠くなるような昔から続いてきた わたしたちの火事は、もうふたたび起こらないでしょうね。今世で終わらせる予定なのだとか。 そうよね?たまごの王子さん。 喜

          たまごの王子さん江

          背中に乗った不毛な夜

          楽しい夜を過ごした。 赤い血のようなナポリタンは、油がたっぷりのたんこぶだらけのチーズを時々身に纏って、 目の前のあの人の唇も、左側のあの人の唇も 右側のあの人の唇も、それから私の唇も、生命力の限り赤く塗り尽くした。 現世のどうでも良い紙切れの話は、 きっと本当にどうでも良い事なのだと知らしめたかったのか。バカみたいに笑う私たちが心底バカだと腹を蹴られたのかもしれない。 見えないからって堂々と「それ」は体内へとするりと身勝手に、合図も何もせず身体の細胞に味の消えたガムのよう

          背中に乗った不毛な夜

          見学の音

          近づいてきたら音がする あ、来るな来るなと心が用意しだす やっぱり近づいてきて 心をぱっくり割っていく 沢山の中にいた私を目を光らせて見つけて ぱっくりとやる 対処などしない したってしょうがないし それが人生なんでしょ 何人か見学してるのを知ってる 意地悪でもなく優しくでもなく ただ見てるでしょ どーやって生きていくのか 退屈だから見てるでしょ そんなにおもしろくもないでしょ B級映画みたいでしょ 薄暗い単館でまばらなお客 床にはポップコーンが何粒か転がって 誰かに踏まれ

          窓を開けたら

          そうね、昨日も眠れなかった 夜の真っ暗い空が上に広がっているのかと思ってたけど 広がっていたのは街の明かりがぼんやり映し出された 汚いベロアみたいな夜の空だった もう何もすることがないって電話で伝えた もう何も興味がない もう何も食べたくない もう何も歌いたくない もう何も全然いらない どんどん朝が追いかけてきて夜を追い越した 空っぽの体を引きずって朝日を頬に浴びて少しお散歩したわ 何も感じないのに 外の空気が吸いたくなったの そうね、もうこんなもんかな 愛する人はいるけれど

          窓を開けたら