はざまへのチケット

あなたとあなたへ

こちらは地球です。またいつものように朝が来て昼が来て、今は夕方というやつに居ます。それはすごくずっと移動していて、もうすぐ私は夜の始まりへ運ばれてしまうことでしょう。

はざまとは、何かと何かの狭い間ということです。はざまに行く人は割と少ないかもしれません、いいえ、多いのかもしれません。どっちにしろ私は興味がありませんから、チケットは必要ありません。でも、いつもいつもはざままで出かけて行ったあなたとあなたのことを思います。そのとき一瞬でも感じたことなどインタビューをしたいのですが、まだあなたとあなたは帰ってきませんから、私は1人で知りたくてしょうがないままここで悶絶をしています。

行ったこと。それについてとやかく言うつもりはないですから、安心してください。

「もっと良くなる方法など、余計なお世話です。」あなたとあなたはそう言うでしょう。ええ、分かっています。はざまにはさぞかし美しい風景が広がっていてきっと、もうそこにしか無いものを見つけてしまったのでしょうか。私はいつでも分かろうとしているみたいです。到底そんなこと無理ですのに。あなたとあなたは一歩先の憧れのようなものを手に入れたまま帰ってこないのです。それが良いとか悪いとかじゃなく、帰ってこない。ただそれだけ。手のひらの雪が急激にとけていくように、「すぐ」いなくなるという感覚だけを私の心に残していきました。それは大きな黒い穴で、どんなに目を凝らしても何も見えません。無があるだけです。あなたとあなたは、はざまの向こうに行ったのですよねきっと。気持ちよく。きっと。そこでしか見えない景色を追いかけたら自分に会えたのですね。それは、とても「良かった」ことだとも、思うのです。

ねこより

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