その4 シェルターでパルボが発生。子猫親猫12匹感染し、パルボと戦ったお話
前回までのお話はこちら
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大量に支援物資が届く
パルボになったことを、SNSで公表しました。
パルボの治療のため、シェルターを完全隔離、併設している保護猫カフェも、臨時休業を行い、潜伏期間といわれる2週間〜1ヶ月、パルボウィルスが万が一拡大しないように徹底して対策をしていくことを発表しました。
対策のために大量に衛生用品が必要になります。タオルもまったく足りなくなったので、タオルや衛生用品のご寄付のお願いと営業が全くできないということで、売上がゼロになるため、サポーター飲みなさまに少しずつご支援をいただければ、、とお願いをしました。
すると、、、、発表から2日後から、、、ネコリパブリック岐阜店の前に、大量の支援物資が届くようになったのです。
公表、休業することに意味があるの?
正直、お店の子たちは全員ワクチンを打っているし、今現在感染していない状態で、お店まで休む必要があるのか?と考えたのですが、パルボウィルス自体の感染力の強さや、ウィルスとしてとても強い生存力があること、ワクチンをうっているネコリパの猫たちは、少しは安全かもしれないですが、お客様の猫で、ワクチンを打っていない猫を飼っている方もいることを考えると、100%安全に、そして、完全に消毒が終わるまでは営業は控えたほうがいいと考えました。
とある、猫カフェでは、感染を隠して通常営業していた。。。という報道を聞いたことがあります。
それって、本当に恐ろしいことです。案外、ワクチンをうっていないキャットオーナーさんって多いんです。それは、猫を大事にしていないとか、わざと打っていないのではなくて、ワクチンがいかに重要か、、ということがあまり知れ渡ってないからなんです。
ネコリパ関係者の中でも、自分の家の猫にワクチンを打っていないという方もいたくらいなのですから、、
気軽に猫カフェに遊びに来て、自分自身がウィルスを運び、愛猫がパルボに感染し死んでしまったら、、、
そんな悲劇が起こらないように、徹底してパルボを排除したと自信をもって言えるまではお店は休業したことにしたのです。
公表、休業したことで多くの支援やサポートが、、
パルボ発生を公表したことで、お店の休業を知った方々から、たくさんの心配のお声や、ご支援をいただくことができました。
大量の支援物資。
タオル、バイオウィルや、ビルコン、防護服、手袋など毎日のように届きました。
そして、猫たちに栄養をつけさせるためのAD缶など、、Amazonほしいものリストに掲載されている商品が、全てといっていいほど、ネコリパブリック岐阜店に届いたのです。
ヤマト運輸のトラックと、佐川急便のトラックが同時にお店に横付けし、大量の支援物資のダンボールを玄関前のテラスにおいていってくださいました。
あまりの量に、お店が見えなくなるくらい・・・汗
スタッフたちは、毎日孤独な戦いに挑んでいる気持ちになっていましたが、こんなに多くの支援者様からの支援物資、そして、そこに添えられているメッセージをみて、物資を整理しながら、涙がこぼれてくることもありました。
この支援いただいた衛生用品で、スタッフやボランティアさんで、ネコリパブリックの床、壁、ドア、窓、とにかく、ありとあらゆるところに、バイオウィルを噴霧し、拭き取り、そして、また噴霧するという作業を、1週間続けて行いました。
また、トイレの丸洗いも毎日。トイレの砂も毎日すべて捨てて、トイレをビルコンにつけてバイオウィルでふいて新しい砂を入れる。
バイオウィルは、数秒でパルボウィルスを不活性化させます。
シェルターを完全隔離したことで、お店を徹底的に消毒すれば、店内のパルボウィルスは完全に不活性化できるのです。
不思議なことに、、重症化しないパルボ
シェルターには、パルボウィルスに感染した猫たちのみ残し、毎日の治療に励みました。
パルボは恐ろしい病気で、あっという間に仔猫の命を奪う、、と聞いていたのですが、不思議なことに、ネコリパでパルボにかかった子たちは、すこぶる元気なのです。。
一時期、貧血状態になり、真っ白になっていたシェリーは、タミフル投与、インターフェロンの投与で、貧血が改善し、食欲も復活。元気になりました。
兄弟のラフロイグも元気に、、、
その他の猫たちも、下痢の症状が一部あるだけで、すこぶる元気。。
PCR検査を全頭行い、ウィルス量も検査してもらったので、結構なウィルス量がでているので偽陽性である可能性は低いとのことでした。
考えられるのは、発症する前に治療を開始できたことで、猫たちの免疫力がウィルスに勝ってくれているのかもしれないということでした。
パルボの簡易キットは、犬用のものしかなく、今回の件で、信用性はかなり低いのだと思います。よほどのウィルス量がないと陽性とはでないのでしょう。
実際、シェリーも、貧血がおさまってきた頃に再度簡易キットで検査したところ、陰性になったのです。
会社によって検査結果が異なるPCR検査
今回、PCR検査は最初
ケーナインラボという会社にて検査してもらいました。
簡易キットで陰性になったのと、あまりにも全頭の症状が軽いため、ちょっと違う会社で検査をしてみようということになり、次に
idexx という会社に検査も出してみようということになりました。
すると、シェリーは、陰性に!!!
ということは、そもそもパルボではない???という疑惑もでてくるので、他の全頭もidexxにて、PCR検査することにしました。
これで、全頭陰性だった場合は、パルボでなかった可能性もあります。
ケーナインラボからも、まれな症例のため、検査を再度数頭させてほしいといういわれ検査に出すことにしました。
その後、、、idexxより報告があると、
あみちゃんと、ジャスティンが陽性反応があるということでした。
あみちゃんについては、保護した直後にパルボに対する生ワクチンをうっているので、それが反応がでているとのことでした。なので、陰性と考えて良い。
ジャスティンが陽性、、ということは、、やはり、パルボウィルスはまだまだ、シェルターに存在するということ、、、
頭の中が大混乱。でも、ウィルス検査って100%ではないですし、偽陽性、偽陰性ということもたくさんある。。人間の新型コロナもそうですよね。。
ということで、疑わしきは、陽性!
ということで、ケーナインラボへ再度数等検査にだした結果を待つことにしました。
ジャスティンは相当ウィルス量があるということで、引き続き治療をしていましたが、やはり下痢の症状がなかなか治まらず、ジャスティンの兄弟である、ベンジャミンや、シャーロットも下痢になり、体重減少がみられるようになりました。
再度、インターフェロン、タミフル治療を行いました。
しばらくして、ケーナインラボからの結果は、、全員検査した子陽性・。。
ケーナインラボのPCRのほうがパルボウィルスを幅広く検出できるように設計されているとのこと。。
ガビーン。。。
でも、これで、従来のパルボとは少し形が違うパルボであることは判明しました。今回ネコリパで蔓延したパルボは、少し弱毒性のパルボなのかもしれません。なので、焦らず、まずは、全員が体調万全になるよう治療をつづけていくことを決意しました。
インターフェロン、タミフルは1週間連続投与し、1周間は休薬。途中体調を崩すことがあれば投薬を再開。
治療をしているうちに、下痢がとても多くなってきたのですが、それはお腹の虫の影響で下痢になっていた可能性もあります。駆虫薬なども併用しながら、下痢止めや抗生剤を投与したり、補液をしたり、猫たちの体重測定や、食事量を毎日管理して、粛々と日々の治療にあたりました。
パルボウィルス排出には、2ヶ月ほどかかる、、と言われています。
7月末頃には、11頭全員、体調がよくなり、明らかに元気になってきた気がしました。
再度、、8月に入り、PCR検査の挑戦しました!
お店のほうは、1ヶ月お休みをいただき、2ヶ月目からは完全隔離状態にして営業を再開しました。布類は全て新しく変更し、消毒もやりきった、、、というほどやりきりました。
安心してお客様をお迎えできる体制を整えて再開したのです。
とうとう全頭陰性に!!!
6月から、2ヶ月間の治療。そして、徹底した隔離作戦。
長かったような、、短かったような、、、、、
8月6日、、、とうとう、、、全頭 陰性!!!!の検査結果がでましたー!!
子猫たちの回復を信じて待ってくださっていた、里親候補の皆様にもすぐにご連絡を入れました。
ジン・カシス・ラムは、陰性証明がでて、元気になった状態でトライアルスタート今は正式譲渡になり幸せに暮らしています。
ジャスティン、ベンジャミン、シャーロット、オペラは、ネコリパブリックのシャーシャー部屋にデビュー。
その後、ジャスティン、ベンジャミンは同じお家へ。シャーロットは先住猫さんがいるお家へ譲渡され、とことん可愛がってもらっています。
カルアも、譲渡会に参加して新しい家族が決まりました。
ラフロイグとシェリーも、パルボを克服して譲渡会に参加してすぐに新しい家族が決まりました。
母猫の可憐と、エリザベスは、1階の洋室スペースにデビュー。
エリザベスは、カフェデビューしたとたん、食欲を発揮し、人の分まで食べるのでぶくぶく大きくなりました。
可憐ちゃんはその美貌で、多くの雄猫たちをとりこにし、洋室のアイドルとしてしばらくの間過ごしました。
その後、、ラムを迎えてくださったお家が、可憐ちゃんも家族に迎えてくれました。
エリザベスにも、素晴らしいずっとの家族が見つかり、すでに正式譲渡になっています。
オペラは、まだシャーシャー部屋でのんびり暮らしています。保護した当時はそれはそれは凶暴で、ジャックナイフのようなパンチがとんでくる子でしたが、今は人をそれほど恐れていません。おやつも大好き。鼻ツンもできるようになりました。
こんな可愛いんだもの、、きっと近いうちに、ずっとの家族が決まると思います。
パルボに感染した、12の命、、、一匹も失うことなく、ずっとの家族につなげられたことは奇跡だと感じています。
早くに治療を開始したこと、感染をひろげなかったこと、徹底した隔離と消毒、そして、毎日のスタッフの懸命なお世話。全て欠けても実現できなかったこと。。。
この経験を通して、ネコリパブリックは、また一つステージを上がることができたと思っています。
エリザベス保護当時
↓
エリザベス
譲渡直前(丸くなりましたー)
可憐
保護当時子育て真っ最中
可憐(譲渡直前、アイドル時代
オペラ(保護当時、ジャックナイフシャーシャーの頃)
オペラ(シャーシャー部屋でおやつねだれるようになりました!)
ジン カシス カルア ラム
ジャスティン
ベンジャミン
シャーロット
ラフロイグ&シェリー
パルボを克服した子は最強の免疫を持つ子
今回、パルボを克服した12匹は、最強の免疫をもつ子。きっときっと長生きしてくれると思います。
一匹の命も失わなかったこと。。
そして、公表したこと、しっかりとお店も休業したこと。
ひとつひとつの決断が、間違っていなかったんだ、、と確信しています。
今後は、パルボの子が来ても、しっかりと検疫を行い、絶対に感染させないことを徹底し、また、諦めずに命と向き合い、できるだけのことをし、どんな子でも幸せにつなげていきたいと思っています。
そして、なによりも、保護した猫たちには3種混合ワクチンがいかに必要かを発信していきたいと思います!