パン屋
ある日、無一文でお腹をすかせたジュハーが町へやってきた。一軒のパン屋からいい匂いがしていたので、店へ入っていき主人に言った。
「あんたさんがこの天から下された贈り物のようにステキなパンのご主人で?」
「そうです。わたしが主人です」
ジュハーはもう一度聞いた。
「あんたさんが預言者ムハンマドがお住いになる天国のパンとおんなじくらいええ匂いのするパンのご主人で?」
「そうです。わたしが主人です」
パン屋の主人はジュハーがお腹が空いているのでパンを一つもらいたいと遠回しにほのめかしていることには気づかなかった。ジュハーは言った。
「わからんやっちゃな。何を待ってんねん…自分のもんやったら行って味おうて楽しまんかいな!」
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