⑬マネジメント不在
パワーハラスメントが発生している環境に、発達障害疑いの後輩が入社してきた。当然、後輩も他のメンバーと同じように上司からハラスメントを受けていた。しかも後輩の歓迎会の当日に、他の社員の目の前で「オマエなんか俺の一存でどうにでもなるんだぞ」と言われていたらしい。
私はその時別の場所にいたのだが、居合わせたほかの社員が上司の発言に驚き、そのことを部長に報告したとのこと。その問題はその後話題にされることはなかった。
後輩が入社する1年ほど前に、私から部長に上司のパワーハラスメントについて相談をしていた。何度目かの相談で、部長は気の毒な顔をして私に言った。
「あいつ、俺より先に入社していて、俺の言うこと聞かへんねん。悪いけど自分たちで頑張って。あんなにチームミーティングやってるんやったらできるでしょ」
これはまずい。マネジメントがいない。どうにかしなければ。
同僚と相談し、チーム内での禁止事項を記載したグラウンドルールを導入した。グラウンドルールを上司も含めて守ればチーム内のパワハラが緩和されることを期待したのだ。
グラウンドルール導入をパワハラ上司に提案し、上司は快諾したが、結果上司は守ることはなかった。その取り組みがうまくいかなかったことを部長に報告したが、部長は助けてくれることはなかった。
そんな時に、総務部が社内環境改善のための匿名掲示板を設置していた。私は悩んだ末に困りごとを書き込んだポストイットを張った。
「管理職にパワーハラスメントに対応するように依頼しましたが、自分たちで何とかしろと言われました。どのように対処すればよいでしょうか?」
2週間ほどたち、総務部からの回答が各ポストイットに張り付けられた。私の質問に対する答えは次のようなものだった。
「各部の管理職にパワーハラスメントに対応するように改めて指示を出しました。それでも対応しない場合は、総務部か社外ハラスメント窓口に相談してください」
その後、改めて部長に上司のハラスメントに対応することを依頼した。部長は対応すると約束した。しかし、今にして思えばこの力づくのやり方は部長から敵視される取り組みだったように思う。